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第三十七話 忠誠心

「……あれ、ユキヤ?」

「……なにが起きたの?」


 目を覚ました二人に向けて微笑みかける。

「なんか色々あってメギアに認めてもらえた」

「何も説明になってないんだけど」


 呆れたようなリーシャの声音が――――何よりも懐かしく思えた。

 あの世界にはルージュもゼクルもシルヴィアも居たけれど、リーシャだけは翌日に到着することになっていたから会えなかったんだ。


 感慨を抱き締める俺を尻目に、シルヴィアがメギアに話しかける。

「あの……メギア様。何があったのかお聞かせ願えませんか。何が原因であなたを怒らせてしまったのか未だに分からないので……」

『――――聖女がそれほど殊勝な態度を見せるのは初めてのことだ。大変愉快だ』


「あ、あの……」

『元から聖女と聖霊姫に怒りなど向けておらん。我が気に食わないのはそこに突っ立ている男だけだ』


「なんで俺そんなに嫌われてるんですか……」

『自分の胸に聞け』


 自分では分からないから聞いてるんですって……。

「えっと……私たち、霊龍の元へ連れて行ってもらいたいんです。イリエス王国の炎を消さないといけなくて……」

 リーシャがメギアに向けて交渉を始める。

 どんな条件を提案されるかなぁ……。


『聖霊姫に頼まれたら断ることはできないな……』

「え、本当ですか……?」

 なんか贔屓してない?


『アイツは気に食わないが』

「俺のこと嫌いすぎるでしょって……」

 ふん、と言ってメギアは視線を逸らした。


『それで……いつ出発するのだ』

「できるだけ早いほうがいいから……今からでも大丈夫ですか?」

『構わんが……少し、ソイツと二人で話をする時間をくれ』


 メギアが顎で俺を指す。

 やっぱ俺のこと好きなん? ツンデレなの?


「じゃあ……私たち、ちょっと遠くに行ってますね」

 シルヴィアがそう言って、心配そうな視線を俺に向け続けるリーシャを引っ張って遠ざかっていく。


『随分と気にかけられているじゃないか……聖霊姫からも聖女からも』

「まぁ……それなりに長い付き合いになるしな。親友だと思ってくれてるんじゃないか」

 俺がそう言うと、メギアは大きくため息をついた。


 龍なのにいやに人間っぽい動作だなと思いながら見ていると、メギアは小声で呟く。


『人間という生物はこんなにも察しが悪いものだったか……?』

「おい聞こえてるぞ銀翼龍。誰が人外だ」


『当たらずと言えども――――というやつだろう。……さて』

 失礼なことを言う龍だな……。


『お前に訊きたいことがある』

「なんだよ」


『罪を思い出したお前の忠誠心に――――変化はないのか?』

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