第二十八話 裁きの光
「ファレイヴィス……」
物言わぬ身体になった華炎龍を前にして、リーシャがそっと呟いた。
華炎龍の身体にはいまだに光粒が纏わり付いていて、それがしばしば脈動するように蠢くのが不気味だった。
「……完全に亡くなってる。回復魔法ももう、意味はないみたい」
「……そっか。ありがとうシルヴィア」
シルヴィアは手を体の前で組み、跪いて弔意を捧げる。魂よ、安らかであれと。
「――薄情かもしれないけど、次の計画を考えなくちゃいけない。龍を殺すような存在が居るなら――一刻も早くパーティーの皆と合流しないと」
「……そうね。霊龍の元にたどり着くための案を考え直さないと」
リーシャが俺の傍まで歩いてくる。
「シルヴィア、神話の中に他の明龍族は居なかったの?」
「……神話の中に登場するのは四体。一体は霊龍レスカディア。そしてもう一体が華炎龍ファレイヴィス」
「うん」
「あと――銀翼龍メギアと雷賢龍エウレクス。これだけね……」
「住処も分かったりしないか……?」
「銀翼龍は確か……ケルレイ鉱山に住んでいるって伝承が残っていたはず。雷賢龍はミカレア巨山だったから」
「……近いのはミカレア巨山か。ミスケル皇国にあるから、一週間くらいで移動できるはずだ」
事態はもう次のフェーズに移っている。
四の五の言っていられない。
「じゃあ、早速ミカレア巨山に向かいましょう。さっきの奴が他の龍も狙っているかもしれないし」
「そうだな……。行こう」
俺がそう言った瞬間だった。
世界を揺らすような叫び声が響いた。
「なんだ……?」
「ユキヤ! あれ!」
リーシャが空を指さした。
彼女が示した先には――雲に映る巨大な影があった。
叫び声が一層大きくなっていく。
「ま、さか……」
シルエットが大きくなる。
……そうだ。
あの影は――。
――――――オオオオオオオオオオオッ。
「銀翼龍……」
「……杖を構えろ」
様子がおかしい。
明らかに狂乱状態にある。
――オオオオオオオオオオオオッ。
「来るぞ!」
莫大な衝撃が俺たちを襲った。
その一度の羽ばたきが、世界を割らんばかりの衝撃をもたらす。
『――――お前か』
怒りを内包した声が響き渡る。
『私の友を殺したのは――お前かッ』
龍の口元に白色の光が集中する。
「――違う! 私たちは……」
「駄目だリーシャ! 聞こえてない……!」
巨大な光が俺たちに向けられた。
『裁きを受けよ……ッ』
防御も回避も間に合わない。
――視界が光で埋め尽くされた。
第二章終了となります。
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