表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/107

第十八話 同郷

 王城の中ではもちろんフードを外して歩く。

 不審者だと思われて王城の人たちに迷惑をかけると悪いからね。


 メイドさんや執事たちの横を通り過ぎると、彼らが深々とお辞儀をしてくる。

 前回ここを訪れたときも同じような事をされたが……どうしても慣れない。

 戦争の抑止力として役立ってはいるのかもしれないが、実際には何もしていないから――なんとなく居心地の悪さを覚える。


 自分たちの力を兵器と見なすような策だから、あまり誇りに思えないというような事情もあるけど。

「書斎は確かここだったな……」


「道順を覚えていたみたいな振りをしないで。なんども道案内してもらったでしょ」

「道覚えるの苦手なんだよな……。城の中が一つの町みたいになってるから方向音痴にはきついぜ……」

 コンコンと書斎のドアをノックする。


「ヴィスケル~。居るか~?」

「……そんなテンションで話しかける相手なの?」

 リーシャのジト目が頬に突き刺さったが、まぁまだ致命傷ではない。


 余談だけど、リーシャのジト目ってすごく可愛いんだよな……。俺の意味不明な行動が増えてきている要因はこのジト目なのではないだろうか。

 リーシャのジト目が俺を狂わせる……。


「――ユキヤか? 入っていいぞ」

「へーい、んじゃ入りまーす」

「ちょ、ちょっと……」


 書斎の扉を開けると、山のように積み上げられた書類に囲まれながら筆を走らせる男が見えた。その目元には深いクマができている。


「やぁ、ユキヤ。無事でよかったよ」

「お前が無事じゃなさそうじゃねぇか」

「隣国サンが炎上してくれたおかげで仕事パラダイスだよ。やったね」

「有史以来一番の引きつった笑みじゃないか?」


 中学生みたいな言い合いをする俺たちを見て、リーシャは困惑の渦に呑み込まれているようだった。

 その雰囲気を感じ取ったのか、ヴィスケルは筆を机に置いてこちらを見た。


「で、ユキヤ。そちらのお嬢様はどちら様で?」

「ああ。この子はリーシャ。エルフの里の姫様だ」

「り、リーシャと申します。以後お見知りおきを……」


 リーシャは楚々とした所作で自己紹介をする。


 だが。


「そんなに畏まらなくて大丈夫だぞリーシャ。こいつ貴族式の礼儀とか一切知らないから」

「礼儀とか学んでる時間があったら実用的な学問を詰め込むべきだと思う」

「――な? こういう奴なんだ。効率厨ってやつだな」

「僕如きが効率厨を名乗るなんておこがましいよ。その称号はRTA走者達に捧げられるべきだ」


「……あーるてぃーえー?」

 ヴィスケル。

 紆余曲折を経て皇帝の座に至った彼は――俺と同じ日本からの転移者だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆☆☆☆☆から、作品の率直な評価をよろしくお願い致します。 また、『ブックマーク追加』と『レビュー』も一緒にして頂けると大変励みになります。 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ