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起きてばっかの気がするんだが。

 森で意識を失ってどれほどの時間が経ったか。目を覚ませば、西洋の高級ホテルのような一室だった。最近、起きるたびに違う景色が目の前に広がっているような気がする。まぁ、そんなことはおいておいて。意識を落とす前、確かに手から何かすごく熱いものが出て、全身を焼かれるような熱に襲われた覚えがあるのだが、体にこれといった痛みは感じない。


 包帯で巻かれているあたり、ここに連れてこられてから治療されたのだろうか。だとしたら、何とかして感謝を伝えねばなるまい。そんなことを考えていると、重厚な音を立てて部屋の扉が開いた。


「失礼いたします。お目覚めになられましたか?」


 ザ・クラシカルメイドといった感じの衣装に身を包んだ女性が部屋に入ってきた。


 「お身体に支障がなければすぐに辺境伯様との謁見をお願いします」


「ええと、はい。わかりました」


 正直な話、情報の処理が全く追い付いていない。何せ、森での出来事はおろか、ここがどこかということすら考える間がなかったのだ。それとも、『辺境伯様』とやらと会えば教えてもらえるのだろうか。

 そんなとりとめのないことを考えながら、長い廊下を歩いた。



~~~


 「到着いたしました。私はここで」


 メイドさんに一言お礼を告げ、ドアを押して部屋に入る。とても整えられているとは言い難い、雑然とした部屋。壁一面の本棚にはところせましと本がつめこまれているが、点々と、虫が食ったように入っていない箇所がある。


 「いやぁ~散らかってるところに呼びつけてもうしわけないねぇ~」


 執務室のデスクに座っている男性が、いかにも貴族ですといった服装で手をぷらぷらこちらを見据えている......といってもその双眸は開いているのか閉じているのかもわからないほどに細いわけだが。


「と、自己紹介が遅れたね。カルター。ただのしがない田舎の貴族さ」

「えぇっと、ご丁寧にありがとうございます。佐久間ユウスケと申します」

「い~よい~よ。そんなにかしこまらなくても。むしろお願いがあるのはこっちなんだからさ」


 お願いとは。正直こちらにも聞きたいことは山ほどあるのだが、まぁ質問は後でも問題ないだろう。


「ズバリ、君には勇者として、現在交戦状態である『魔人』たちの討伐に向かってほしいんだ」


 怒涛の勢いで情報量が増え続けている。勇者に魔人?一体コイツは何を言っているんだろうか。


「ツッコんでなかったけど、君の心の声、なかなかに失礼だね~」

「......今、どうやって?」

「ま、人の記憶や意識なんかに直接干渉できる魔法が使えるってだけだよ」


 魔法だと?確かに、ここにきてからというもの違和感の連続だったが、ここにきてとうとう訳が分からなくなってきた。


「まさか君、転生者かい?それなら、いろいろ教えてあげないといけないかな。ちょっとこっちにきてくれるかい?」


 いわれるがままに近寄ると、がしりと手をつかまれる。


「今から、君に必要な知識をありったけ流し込むからね。ちょっと頭が痛むだろうけど、我慢してくれよ?」


 そして、言われた通りに頭に鋭利な痛みが走り、またまた僕は意識を失うこととなるのであった。


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