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激突!クライス戦


 周りの目もあるし、断るわけにはいかないだろうな。


 「いいだろう。ただし、オレは剣士ではない。なにを使っても文句は言わないな。」

 「ああ。さっきは油断しただけだ。ぶっ殺してやる。」


 ギャラリーが歓声を上げる。騎士や兵士たちは戦闘が大好きらしい。


 先程のカリーナとの戦いを見る限りだと、剣士としてはオレよりクライスの方が数段強い。

 策を練らずに戦えば負けるのは目に見えている。


 「ヨースケやっておしまい! 」

 「ヨースケなら大丈夫でしょ。」

 「ヨースケさん、ファイトです! 」

 「お兄ちゃん応援するよ~」


 皆も応援してくれているんだ。無様な姿は見せられない。

 前に進み、クライスと対峙する。


 「ルールは先程と同じだ。始め! 」


 クライスはすぐに斬りかかって来なかった。

 オレはバフをかける。速度アップ・攻撃力アップ・防御力アップをかけた。


 「オレから行くぜ! ヨースケ! 」


 クライスが斬りかかってくるが、攻撃は重い。バフをかけてもまだまだクライスが全てにおいて上だ。

 少しでも防御をミスすれば一撃で決着がつくな。手数で勝負だ。

 ロングソードを投げ捨てて、腰に帯刀していた双剣を抜く。


 「来いよ。ヨースケ。叩き潰してやる。」


 オレはクライスに斬りかかる。

 何度も何度も執拗に左右から攻撃する。


 双剣のメリットは手数だ。相手が一本剣の場合、どちらかで相手を斬れる。

 クライスに傷はつけられるが、致命傷を与えるのは厳しそうだ。


 「さっきから蝿みたいにフラフラしやがって! 」


 クライスのイライラはピークを迎えているのだろう。

 息も荒く、反撃が雑になってきている。


 クライスが横に薙ぎ払う攻撃をバックステップで躱す。


 クライスは追撃をしてこない。間合いを計っている。

 次に大きな攻撃が来る。そのスキを突く。


 二人の間を静寂が包む。


 来る。


 「くらえ! 十文字斬り! 」


 クライスの剣士スキルの十文字斬りだろう。縦横に素早く斬るスキル。

 疾いが、ケヴィンほどは疾くはない。


 まずは縦から振り下ろしてくるところを、二つの剣をクロスさせて間で受ける。

 瞬きする間もなく、横に薙ぎ払う剣が来るが、なんとか受け流す。


 受け流したことでクライスがよろけた。


 「ジーク! 」


 ジークが空高くから直滑降で降りてきてクライスが剣を持っている右手を突いた。


 「なんだコイツ! 」


 クライスが衝撃で剣を落とす。

 慌てて拾おうと手をのばすが遅い。オレは双剣をクライスの首につける。これで終わりだ。


 「勝者ヨースケ! 」


 先程よりも大きな歓声がオレを包んだ。

 カリーナたちが走って寄ってくる。


 「危なかった。戦闘能力はオレなんかより数倍クライスが上だ。」

 「くそっ。こんなヒョロヒョロのやつに負けるなんて…」

 「そう言うな、オレに運が味方しただけだ。」


 クライスに手を差し伸べるが、その手を弾いて、クライスが一人で立ち上がった。

 

 「クライス、あなた約束を忘れていないでしょうね。」

 「ちっしょうがねえ。認めたくないが、負けたのは事実だ。帝国の盾を馬鹿にしてすまなかった。」

 「いいんだ。また模擬戦をしよう。」


 クライスが嫌々ではあるが頭を下げるとは思っていなかった。

 クライスは謝った後、すぐに広場を去っていった。



 「よくやった。ヨースケ。」

 「危なかったです。」

 「皆も帝国の盾を認めるだろう。」

 「ええ。そうなればいいですが。」


 ルノガーさんと固い握手をする。


 ギャラリーの騎士や兵士たちに囲まれた。

 オレの肩を叩きながら褒め称える。帝国の盾が周りから尊敬されるようになればいい。

 

 アオイの顔を見ると不服そうだ。


 「ヨースケさんたちだけ戦ってずるいです。」

 「そう言うな。次はアオイが出ればいいさ。」

 「私だけ見ているだけですよ。不公平です。」


 アオイは冷静沈着なイメージがあったが、ムキになっている。

 アオイにもこんな一面もあるんだな。


 「そこまで言うなら、他のやつと模擬戦をしてみてはどうだ。」


 ルノガーさんが発言すると、アオイが目を輝かせる。


 「いいんですか! やります! 」


 他の騎士や兵士たちも目を輝かせて手を挙げる。

 「オレにやらせてくれ!」

 「いいやオレだ。お前はすっこんでろ。」

 「オレはソフィたんと鬼ごっこがしたい! 」


 「そうだな。ふむわかった。勝ち抜き戦でやろう。順番だ。」


 ルノガーさんの指揮で所属など関係なく模擬戦が始まった。

 帝国の盾のメンバーは強く数回は勝ち抜くが、相性によっては負けたりを繰り返していた。


 オレは座って観戦していると横に女性が座った。


 「隣良い? 第三隊隊長のヨースケね。私は第一隊隊長のエマ。よろしく。」

 「ああ。よろしく。」


 エマは帝国の騎士で最も強いことで有名だ。共和国との戦争でも活躍し、教会とのいざこざでも活躍したはずだ。数年後には将軍になるのが間違いないと言われている。

 会うのは始めてだが華奢な体でどこにそんな力を秘めているのか不思議な女性だ。


 「あなた強いのね。」

 「馬鹿言うな。エマとやれば一度も勝てないよ。」

 「そう? そんな事ないと思うけど。」


 それから沈黙が続く。


 エマはどちらかというと無口な女性らしい。


 「あの子、触れたりするの?」

 「?」

 「あの鷹の子。」

 「ああ。ジークハルトか。」

 

 口笛を吹くと空を飛んでいたジークがおれの肩に降りてきた。


 「ほら。触ってもいいぞ。」

 「ありがとう。」


 エマがニヤッと笑い、ジークを撫でる。


 「ヨースケが羨ましい。こんなに可愛いパートナーが居るなんて。」

 「ジークは昔からの相棒だからな。」


 オレの返事には一切関心を持たず、ずっとジークを笑いながら撫でている。

 帝国の騎士には変わった人しかいないのかもしれないな。


 帝国の騎士は飽きなさそうだ。シャルは元気にやっているだろうか。

 心配になり空を見上げた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


「面白かった。」


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