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激突!帝国の槍


 深夜まで帝国の盾の活動報告書を見ていた。

 ダンジョン50階層まで依頼で行っていたらしい、冒険者で言うとA級の実力だろうか。

 それでもまだまだ皆の潜在能力を引き出せていない。すぐに70階には行けるだろう。


 シャルは部屋に遊びに来なかった。

 そういえば銀狼の牙は70階に素材集めにいくはずだったが、無事だろうか。

 シャルのことは心配だが、他人の事を気にしている余裕はない。


 想像以上に帝国騎士の初日は疲れた。

 早く寝ようと横になるとすぐに意識を失った。




 翌朝も模擬戦を5人で行う。

 カリーナやアオイに帝国の槍の対策をしなくていいのか。と心配された。


 「魔獣と戦う時に万全で戦えると思わない方がいい。帝国の槍との模擬戦があるからと言って、朝の訓練で手を抜いたら模擬戦に出さないからな。」


 オレが少しだけ脅すと動きが良くなっていった。

 皆、帝国の槍との模擬戦に出たいのだろう。

 正直、模擬戦に出す三人を誰にするのか決めていなかった。


 昼食を取り、帝国の槍との模擬戦の時間を迎える。


 「さあみんな張り切っていこう。」


 皆いい顔をしている。


 広場に着くと、兵士たちが輪になりこちらを全員が見た。誰かが模擬戦を漏らしたらしい。

 ルノガーさんがこちらに近寄ってきた。


 「ヨースケ、楽しそうなイベントだから人を集めておいたぞ。王様も上から見ておる。元S級の強さを知らしめるチャンスだ。」


 犯人は身近なところに居た。


 「まあ頑張ります。首がかかっていますから。」


 クライスが取り巻きを連れて駆け寄ってきた。


 「よく来たな。ヨースケ。お前の無様な姿を皆に知らしめるいい機会だ。今日が隊長として最後だな。なにか言うことはあるか。」

 「ない。オレたち帝国の盾が勝つからな。」

 「言うだけならタダだからな。すぐに始めようぜ。」 

 「その前に少しだけ作戦会議をさせてくれ。」


 クライスは文句を言ったが、引き下がってくれた。


 皆と円になり作戦会議をする。


 「さて、本番だ。皆調子はどうだ。」

 「あなたの地獄のような訓練でヘトヘトですわ。」


 たしかに皆ボロボロで疲れている様だ。


 「それでいい。帝国の槍との模擬戦は…そうだな。じゃんけんしてくれ。」

 「なんてすって~! ヨースケ負けたら辞めるんでしょ。本気なの? 」


 カリーナは叫び、皆驚いた顔をする。

 オレにも企みがあっての決定だ。


 「本気だ。ダンジョンではオレが居ないケースも想定される。まさかオレが居ないと戦えないなんてこともないだろう。」

 「そうだろうけど。」

 「これは隊長命令だ。疲れている状態で帝国の槍に勝つ。今日の訓練を思い出せば大丈夫だ。」


 オレはじゃんけんに参加しない。

 じゃんけんの結果、カリーナ・サナ・ソフィの三人が勝った。

 負けたアオイは少し寂しそうな顔をしている。


 「よし決まりだ。サクッと勝ってきてくれ。行くぞ! 」

 「「「帝国の盾ファイト! 」」」


 皆で声出しをしてカリーナ・サナ・ソフィが話しながら前にすすむ。

 帝国の槍のクライスは驚いている。


 「おいおい、隊長は出ないのかよ。とんだ腰抜けだな。」

 「言ってろ。オレたちは誰が出ても勝つ。」


 前衛はカリーナ。後衛はサナとソフィ。

 相手も前衛はクライス。後衛はマグナとサイみたいだ。

 昨日アオイがくれた書類にはそう名前が書かれていた。


 「ワシが審判を務める。騎士らしく正々堂々と戦うように。始め! 」


 ルノガーさんの声でクライスがカリーナに斬りかかる。

 カリーナが躱しながら反撃する。

 力ではクライスに分があるが、カリーナも負けていない。


 こうなると大事になってくるのは後衛の力関係だ。

 魔法では先行を取ったのはマグナとサイだ。

 二人が巨大なファイヤーボールを放つが、サナとソフィがウォーターウォールで打ち消す。


 サナとソフィはあえて、先行を譲ったように見える。

 何かしら、策があるのだろう。すぐには反撃に転じない。


 「おいおい、こんなもんかよ。カリーナ、このままじゃ隊長さんがクビになるぜ。」

 「戦闘中に余裕ですわね! 」


 クライスは余裕だと思っているのだろうが、押してはいるがカリーナを倒せていない。

 クライスたちに決め手がない状態だ、がこちらも訓練で疲れている。

 いつこの均衡した力関係が崩れてもおかしくはない。


 先に痺れを切らしたのは、マグナとサイだった。

 マグナとサイが長く詠唱をしている。同じ魔法を重ねて詠唱することで、

 強力な魔法を放とうとしている。


 「「くらえ! エクスプロージョン<超爆発>」」


 サナが無詠唱でウォーターウォールを展開する。

 二人がかりの魔法を無詠唱で打ち消すのはさすがはサナの魔法量。


 魔法同士がぶつかる。爆発を起こして視界が悪い。砂埃が舞っていて現状の確認が出来ない。

 そのスキに乗じてソフィが駆けている。

 カリーナと斬りあっているクライスを後から斬りつけた。クライスがよろける。


 「この卑怯者! 」


 クライスが叫ぶが、このスキを見逃すほどカリーナは弱くはない。終わりだ。

 カリーナが剣を振り上げてクライスに斬りかかった。


 「そこまで! 勝者帝国の盾! 」


 囲んで見守っていたギャラリーたちが歓声を上げる。


 「無詠唱でエクスプロージョンを防ぎやがった。」

 「カリーナもクライスに負けていなかったぜ。」

 「やっぱり、ソフィたんが一番かわいい。」


 口々に感想を述べているが、一人やばいやつが居ないか。

 まあいい。オレたちの勝ちだ。

 三人がオレとアオイの元に笑顔で帰ってきた。


 「やりましたわ。ヨースケ。」

 「なに一人でやったみたいに言ってるのよ。私の呪文がなかったらあなたクライスに負けていたわよ。」

 「お兄ちゃんやったよ~! 」

 「ああよくやった。頭を使ったな。満点だ。」


 クライスは膝をついて落ち込んでいるようだ。

 まさかオレたちに負けるとは思っていなかったのだろう。


 「今回は帝国の盾の勝利だな。よくやった。」

 「実力通りですよ。」


 ルノガーさんも嬉しそうだ。


 「待てよ。油断しただけだ。オレは負けてない。ヨースケ、サシでやろうぜ。」


 クライスは立ち上がりオレの前に来て睨んでいる。

 ギャラリーが歓声を上げる。


 どうやらオレはクライスとサシで戦わないといけないみたいだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 馬鹿だろ、こいつ。自分から油断した事バラシやがった。 油断しなきゃ勝てたってか?そんな事はないでしょ。そもそも、体調が万全でもない相手に、押し切れない方が弱いんじゃん。 多分サシでやって…
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