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顔合わせ


 翌朝、寝覚めは良かった。ご飯を食べてジークにも餌を上げて準備完了だ。

 迎えに来てもらうためにギルドに顔を出す。


 「おはよございます。カインさん。少し約束の時間より早かったですかね。」

 「おはよう。ヨースケ。ちょうどいいタイミングだ。今使いの人が来てくれていたよ。」


 カインさんの隣に女性が座っていた。


 「あなたがヨースケさんね。はじめましてアオイです。第三隊では副隊長を任されています。これからよろしくお願いしますね。」


 アオイと名乗った少女は立ち上がり丁寧に頭を下げた。


 長い黒髪に黒い目。帝国の出身ではなさそうだ。帝国では黒髪の人に自分以外で初めて会った。

身長は160cmくらい。帝都の紋章が書かれた服を着ている。剣を携えていて姿勢も良く、立ち振舞が美しい。感覚だが、アオイは勇者のケヴィンよりも強い気がする。


 「はじめましてヨースケです。よろしくお願いします。」


 オレも深く頭を下げて挨拶する。

 年齢を尋ねられて答える。オレは17歳だ。


 「ヨースケさんは同じ年ですね。嬉しいです。部隊のみんなも年齢が一緒の子が多いんですよ。」


 アオイが笑った。年令が近いだけで安心する。


 「そうですか。仲良くなれるといいのですが。」

 「みんな良い子達ですから、大丈夫です。みんな楽しみになっていますから、早速行きましょうか。」


 カインさんにお礼を行って、アオイと共に城内へ向かった。


 道中アオイと話をしたが、帝都の出身ではないらしい。南の島国大和国というところの出身みたいだ。

 他の第三隊はメンバーはアオイを合わせて7人いるらしいが、そのうち3人は地方に遠征しているらしい。


 「着きました。こちらが私たち第三隊の部屋です。ルノガーさんがお待ちです。」


 城内に来たのはケヴィンが勇者認定される時にパーティで参列した一度だけだった。

 第三隊の部屋はカビ臭い地下の部屋が割り当てられているなんて、どうも歓迎されていない様に感じる。


 部屋に入るとお世辞にも広く奇麗とは言えない室内。

 オレ含めて8人いればギュウギュウ詰めになる広さはずだ。


 「よく来たな。ヨースケ。ワシが軍事顧問のルドガーだ。第三隊の責任者。カインから話は聞いている。何でも聞いてくれ。」


 ルノガーさんと握手を交わす。


 「はじめまして。ヨースケです。こちらが鷹のジークハルトです。よろしくお願いします。」

 「冒険者と聞いていたが、行儀が良いみたいだな。」


 ルノガーさんは昔は将軍を務めていたらしいが、様々な立場を経て第三隊を顧問として見守る立場らしい。


 「それで、オレは今日から何をすれば良いんですか。」

 「毎週依頼が来るから、うまくメンバーに割り振ってこなしてくれ。ヨースケが無理にダンジョンに行く必要はない。今週の任務はメンバーがこなしておるから、明日までは顔合わせと隊員と仲を深めてくれ。実際に働き始めるのは来週からだろう。」


 任務以外の時間はどの様に過ごしてもいいみたいで、基本的には訓練所で剣や魔法の訓練をしていることが多いらしい。


 「待機しているメンバーがそろそろ訓練場から戻ってくるはずだが…」


 扉の外から女性数人の騒がしい声が聞こえてきた。

 扉が開くと三人の女性が立っていた。


 「ルノガー様、只今戻りました。」

 「お疲れ様。訓練はどうだった。」

 「もちろんわたくしが圧勝しました。まだまだカリーナには負けませんわ。」

 「あんですって~? サナも苦戦していたじゃないよく言うわ。」


 金髪の女性同士が言い合っている。

 心配になりアオイとルノガーさんの顔を見るがいつものことの様だ。首を横に振っている。


 「まあそう争うな。紹介する。彼が第三隊の隊長に就任するヨースケだ。」


 皆の視線がオレに集まる。


 「はじめまして。ヨースケです。これからよろしくお願いします。職業はテイマーで、こちらの鷹ジークハルトが相棒です。今までは銀狼の牙というパーティで冒険者をしていました。」


 三人が顔を見合わせる。


 「はじめまして。私はサナ=ポーンです。サナと呼んでください。主に魔法を使います。」


 行儀よく頭を下げて挨拶したのはサナ。

 ポーン家は帝国の公爵家。カインさんもポーン家だから恐らくカインさんの妹だろう。

 金髪の髪に金髪の目。身長は150cmくらいで小柄。魔道士の格好をしている。


 「ポーン家ということは、カインさんの妹かな。」

 「お兄様をご存じですの? 」

 「すごくお世話になっているよ。これからよろしくサナ。」

 

 サナと握手をする。共通点があるから話しやすそうだ。


 「私はカリーナ=シュタインですわ。よろしく。そこのサナと違って魔法は使えませんが、騎士として剣には自信があります。」


 凛と佇む女性はカリーナと言うらしい。

 金髪の長髪は腰まであり、透き通った青髪の目。

 背はオレとそこまで変わらない170cmないくらいか。カリーナは騎士の格好をしている。


 シュタイン家は帝国で最も古くから存在する公爵家。佇まいだけで育ちの良さが分かる。

 二人の言い合いを見ると、サナとカリーナは犬猿の仲らしい。


 「私はまだヨースケが隊長だと認めたわけではありません。弱いものに従うのは御免です。これ以上第三隊が舐められたくはない。」

 「皆がオレを実力不足だと思うなら、オレはいつでも隊長を降りる。ルノガーさんに言ってくれ。」

 「そうですか。わかりました。見定めさせてもらいますわ。」


 カリーナの表情を見ると、嫌味で言っている訳ではなさそうだが、

 彼女には騎士として活動してきたプライドがあるのだろう。

 いきなり外から入ってきて隊長と言われてもいきなり認められないのは理解できる。


 「お兄ちゃん、私ソフィ。よろしくね。」


 最後に元気よく挨拶してくれたのはソフィ。茶髪に茶色の目。年もまだ幼い。身長も140cmあるかないか。メイドが着るメイド服を着ている。

 

 「よろしく。ソフィ。」


 「顔合わせは終わったみたいだな。基本的にはワシはこの部屋にいないから、なにか話があればいつでも部屋に来るように。最後に、第三隊の名称が決まった。【帝国の盾】だ新しい制服は来週にでも届くはずだ。他の基本的な業務はアオイに聞いてくれ。」


 そう言うと、ルノガーさんは部屋から出ていった。


 帝国の第一隊は【帝国の剣】と呼ばれていて、第二隊は【帝国の槍】と呼ばれているとアオイが説明してくれた。


 それにしても、ここまで丸投げされるとは思わなかった。

 皆の視線がオレに集まる。


 「ヨースケさん、これからどうしましょう。」

 

 アオイがオレに投げかけた。


 「そうだな。皆で模擬戦するっていうのはどうだろうか。これからダンジョンで魔獣と戦うことも多いだろうし、皆の戦力を確かめたい。」

 「私もヨースケが上に立つ者として見定めさせてもらいますわ。」


 カリーナがオレの目を見て言った。


 皆強そうに見えるが、やるしかない。

 オレは戦闘はあまり得意ではないが、自分の存在意義を示さなければならないな。

 

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