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ケヴィンの誘い


 「元気にしてるのかよ。ヨースケ。」


 ニヤニヤと笑いながらオレの肩にケヴィンが手を置いた。


 「ああ。」


 正直、こいつと話したくない。追放されてからまだ数日しか経っていないに、

 よく話しかけられるなと思う。


 「お前、無職なのか。」


 どうやら、オレが今何をしているかは知らないみたいだ。


 「いや。知り合いに拾ってもらったよ。」

 「冒険者はもう続けていないのか。」

 「そうだな。落ち着いたらダンジョンに行く予定だ。」


 どうやらケヴィンはオレが今何をしているかは知らないみたいだ。

 そりゃケヴィンはオレなんかに興味もないもんな。


 話を切り上げて皆が待っている部屋に戻ろうとするが、肩を掴まれる。


 「待てよ。まだ話は終わっていねえ。」

 「まだなにかあるのか。」

 「いやな、俺もヨースケが嫌いで追放をしたわけではないんだ。」

 「はぁ。」


 我ながら間抜けな返事をしてしまう。

 いきなりケヴィンはなにを言い出すのか。ケヴィンがオレを追放すると言ったのを覚えていないのか。


 「ニコルを加入させたけどうまくいかねえ。赤龍の盾も壊されてよ。ヨースケが居た頃は何も考えずにクエストに集中できていた。」

 「そうか。」


 ニヤニヤと笑いながら話すケヴィンは正直めちゃくちゃムカつく。

 オレが強ければ一発殴ってやりたい。

 なにが言いたいのかさっぱりわからない。


 「お前も銀狼の牙は恋しいだろ。シャルと冒険もできる。」

 「まあ愛着はあったよ。それでケヴィンはなにが言いたいんだ。」

 「銀狼の牙の荷物持ちさせてやるよ。戻ってこいヨースケ。」


 ケヴィンがドヤ顔で手を差し出す。

 正直こんな状況ではい。戻ります。嬉しいです。とはならないだろう。

 ケヴィンはクエストの失敗続きでおかしくなったのかもしれない。

 

 「すまないがケヴィンたちの銀狼の牙には戻れないよ。オレには今の仕事がある。」

 「あ? てめえ断るのかよ! 」


 ケヴィンの声は大きくて、明けの明星の中で呑んでいる冒険者たちの視線が集まる。


 「ケヴィン。オレは追放されたんだぞ。他をあたってくれ。」


 オレは会話を終わらせて、歩きだすと、肩を引っ張られて床によろける形で倒れた。


 「いい加減にしろ! いつまでくだらない意地を張っているんだ。ヨースケ。」

 「それはこっちのセリフだよ。ケヴィン。」


 オレはお尻についたホコリを叩きながら立ち上がる。

 ケヴィンの顔を見ると、目が血走っている。


 「これが最後のチャンスだ。ヨースケ戻ってこい! 」

 「残念だけど、オレには新しい仲間がいるし無理だ。ニコルの加入もオレは忠告しただろう。」


 ケヴィンにはなにを言っても通じない。頭に血がのぼっている様だが、

 オレも酔っ払い相手に話すのは面倒くさい。


 「すまないな。オレの仲間たちが待っている。戻らせてもらうよ。」

 「そうか。俺の優しさを断るって言うのか。残念だ。」


 ケヴィンが剣を抜く。

 帝都の中で剣を抜くのはご法度だ。誰であれ見つかれば憲兵が飛んできて捕まる。

 それも冒険者が多くいる明けの明星で剣を抜けばギルドに報告がいって、罰を受ける。


 「ケヴィン辞めろ。お前捕まるぞ。」

 「お前だ? いつから偉そうになったんだよ。ヨースケ!!! 」


 剣を振り上げたところで、叫び声がした。


 「辞めてください! 」


 この声は、シャルの声だ。

 肩で息をしているところを見ると、教会に報告に行っていて遅れて到着したというところか。

 

 「ケヴィンさん、皆見てますよ。次に私たちが問題を起こしたらA級にランクダウン。勇者も取り消しだって言われているじゃないですか。」

 「だけど、ヨースケが。」

 「だけどじゃありません! ダメなものはダメです。剣をしまってくだださい! 」


 シャルの勢いに押されてケヴィンが剣をしまった。


 「ほら、皆の席に戻りますよ。いつもの個室ですよね。行きますよケヴィンさん。」

 「チッ。覚えておけよヨースケ。絶対に銀狼の牙には戻れせないからな。」


 絶対にと言われてもオレはもう帝国の盾の一員だ。

 今更土下座をされても銀狼の牙に戻るつもりはない。


 シャルがケヴィンの背中を押して奥に連れて行った。

 シャルが振り向き、後で行くね。と口をパクパクさせていた。

 


 ◇


 個室に戻ると、皆かなり酔っているようだ。

 机の上に置かれている空の空き瓶の数が物語っている。

 ルノガーさんに至っては机に突っ伏してい寝ていた。


 「ヨースケどこに行っていたのよ。遅かったわね。」

 「ああ。昔の知り合いにあってな。」

 「お兄ちゃんがいなからソフィ退屈だったの。」


 ソフィが席をたち、オレの膝の上に座った。

 周りの皆が酒を呑んでいるがソフィは未成年だ。

 退屈なのはしょうがないが、少しだけかわいそうだ。


 「ソフィ。そういうのはしちゃダメれしょ。」


 顔を真赤にさせたアオイがソフィを嗜めるが酔っていてもう正しく話せていない。


 「お兄ちゃん、いいよね? 」

 「まあな。」


 潤んだ目でソフィに聞かれて断れる男はいないだろう。

 

 「やった~お兄ちゃんいいこいいこして? 」


 いいこいいこしてが何か分からなかったが、どうやら撫でてほしいみたいだ。


 「ソフィは甘えん坊だな。」

 「ソフィレディだもん。甘えん坊じゃないもん。」


 ソフィの頭を撫でる。

 ソフィの茶色の髪はサラサラで先程のケヴィンの事を忘れるくらい癒やされる。


 「ソフィだけずるいですわ。」


 寄って顔を真赤にしているカリーナがジッとこちらを見つめる。


 「ずるいと言われても……。」

 「わたしも撫でてほしいです……。」


 普段は冷静なアオイまでこんなになるなんて思わなかった。

 酒は恐ろしいなと改めて思う。


 「皆、酔いすぎだ。ルノガーさん起きてください。ここらへんでお開きにしましょう。」


 皆同じ寮で生活しているらしいので、ルノガーさんが送っていった。

 シャルが遊びに来るだろうし、オレも部屋に戻ろう。


 まだ帝都の騎士として働きだして二日目だが濃密な時間で疲れた。

 明日から二日間はお休みだ。なにをするか考えながら休日を楽しもう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


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