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☆一方、銀狼の牙は②

Side:シャルロット視点

 

 私たち銀狼の牙はヨースケが抜けた翌日、70階の風龍フェンドラゴンの素材を取るためにダンジョンに入った。


 帝都のダンジョンは帝都から歩いて数分の距離にあり、100階まであるが誰もたどり着いたことがない。100階にたどり着くことを目標に活動する冒険者パーティは多い。


 ダンジョンは10階毎にボスが出現する。

 転移陣が10階毎にあるので、60階に転移してから70階を目指す。


 フェンドラゴンの討伐はクエスト難易度はA級であるが、龍の中では気性が穏やかで、強い方ではない。

 銀狼の牙はフェンドラゴンを何回か倒したことがあるから問題はないと思うけど、

 今の銀狼の牙の現状を考えると不安が残る。


 「そんな顔するな、シャル。俺が守ってやる。」

 「すごく心配で…ニコルさんが加入してから始めてのクエストですし、もう少しレベルを落としてもよかったかもしれません。」

 「俺がいるんだ。大丈夫だ! ったく、シャルは心配性だな。」


 ケヴィンが私の肩をポンッと叩く。アマンダがすごい顔で睨んでいる。

 ケヴィンはそんな様子を気にかける様な人間ではない。気にせず先頭にあるき出す。

 私ははぁとため息をついた。




 「そういえば、今日の報酬っていくらだった? 依頼書見せてみろよ、ニコル。」


 今は69階の最奥で休憩をしていた。

 階段を上がり扉を開ければフェンドラゴンと戦闘が始まる。


 「私ですか? 私が知るわけないじゃないですか。」

 「どういうことだ。お前がギルドで依頼受注してくる約束だろ。」

 「そんなの、シャルにでもさせましょうよ。私したくないです。」


 ニコルが座りながらケヴィンに答えた。

 どうやらニコルはクエストを受注していないらしい。


 「あ? お前もしかしてクエストを受注してないのかよ。」

 「ええ。そんなことやりたくありませんから。シャル、今から受付してきて。」


 ニコルの発言に戸惑う。メンバーと顔を見合わせる。


 クエストは必ず討伐前に受注しないと報酬はもらえない。

 クエストは基本的に受けられるのは一組だけだから、ダンジョンに行くその日に受注しないといけない。

 今日ダンジョンに行く前に受注しないといけないのだが、ニコルはしていなかった。

 ここまで来たのは無駄足で、また戻って受付をしなければならない。


 「私一人で戻ることは出来ません。一度戻りましょう。」

 「生意気ですね。後衛しかできず戦えないくせに口答えですか。」


 回復魔法と光魔法しか使えない私が一人で往復してくる事はできるわけがない。

 ニコルは嫌がらせで言っているのだろう。


 「いや、このまま行こう。誤魔化せば良い。」


 ケヴィンが立ち上がり言った。


 「辞めましょうよ。バレたら怒られますよ。往復一時間もあれば戻ってこれるじゃないですか。問題を起こせばすぐにA級に落とされますよ。」

 

 S級パーティは皆の模範にならなければならない。

 報酬がもらえなくてケヴィンが後で怒るのが目に見えている。


 「そこまで言うなら、一人で戻ればいいじゃないですか。私はケヴィンさんに賛成です。」


 ニコルが私と目があうとニヤッと笑った。

 

 「シャル、大丈夫だ。俺が責任を持つ。皆もどうだ。」


 アマンダとクリストは頷く。

 嫌な予感しかしない。


 「よし。まずはフェンドラゴンを倒すぞ! 」




 フェンドラゴンは想像していた以上に苦戦した。

 いつもであればヨースケがバランスを取ってくれるのだが、ニコルは違った。

 ケヴィンたちと共に前線に闇雲に突っ込み、怪我を負う。

 バフと回復を私が一人で担うことになり後手に回るようになっていった。

 

 挙句の果てに、金貨50枚はするケヴィンの赤龍の盾が壊された。

 これにケヴィンが激怒して無理やりスキルを使って攻撃するがフェンドラゴンは倒せない。


 数十分の戦闘の末、私たち銀狼の牙は一時撤退することになり69階で休む。

 銀狼の牙の雰囲気は最悪だった。誰も何も発しないし。

 皆失敗に苛ついている。当然だ私がパーティに参加してから始めての敗北だった。



 「最悪だ。赤龍の盾が壊された。高かったのに。クソが! 」


 ケヴィンが苛立ちを隠さずに床を殴る。


 「今日は戻って、また挑戦しましょうよ。盾がないとフェンドラゴンには勝てません。」


 ケヴィンを冷静にならないとまたすぐに再戦すると言いかねない。


 「なんでシャルがそんなに偉そうに決めるんですか。あんたの回復とバフが遅いから負けたじゃないですか。」


 ニコルは私を睨んでいる。

 

 「私は…今までと同じ様に戦いましたよ。それに、ニコルさんが無理に突っ込んだことで陣形が壊れたんですよ。」

 「はぁ? 私のせいにするの? 」


 ニコルが立ち上がり私の服を掴む。


 「もういい。やめろ。」


 クリストが私とニコルの間に入り止めてくれた。


 「そうやってシャルのことが好きだからクリストはシャルのかたを持つんですね。」

 「そんなんじゃない。」

 「じゃあなんですか。私が悪いとクリストも思ってるんですね。」

 「だから、そんな事は言っていない。」

 「いい加減にしろ。お前らもう黙ってろ! 」


 ケヴィンが制するが、ニコルがパーティの文句を言い、言い合いが始まった。


 ヨースケがいなくなっただけで私たちはろくに冒険すら出来ない。

 パーティはバラバラ。それぞれがやりたいことをやる戦闘。うまくいくはずがなかった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


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