表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/12

追放


 「ヨースケ。最弱のお前は追放だ。今すぐこのパーティから出ていけ。」


 パーティリーダーである幼なじみのケヴィンからオレは追放を言い渡した

 オレたちは冒険を終えて宿についている飲み屋でクエスト達成のお祝いをしている最中に、急に追放だなんて言われても、はいそうですか。とはならない。


 【銀狼の牙】はS級冒険者パーティになったばかりだ、ケヴィンに至っては功績を認められて帝国から勇者を任命されている。ケヴィンは幼なじみ。赤髪が特徴。記憶がある頃からの幼なじみで、村を出てから一緒に銀狼の牙で冒険をしていた。


 パーティメンバーはオレ含めて5人。もう一人の幼なじみをシャルロット見た。シャルロットは手を握りしめて発言した。


 「私は昨日も言ったけど、反対よ。ヨースケはこのパーティの最初からの功労者だもの。」

 「それは昨日も話しただろう。ヨースケはもう実力的に厳しい。オレたちは勇者パーティだぜ! ヨースケもわかっているだろ、パーティの脚を引っ張ってるってことを。冒険者の中でお前は最弱って言われてるんだぜ。追放は俺様の優しさなんだぜ。」


 オレの職業はテイマーで鷹使いを。鷹のジークハルトが相棒だ。

 たしかにオレは戦闘には不向きだが、最弱と言うのはひどい。

 相棒のジークを活かして索敵や斥候。補助魔法での後方支援。冒険以外での雑務は全て担ってきたんだ。


 「オレは戦闘は弱いさ。でも、それだけが冒険じゃないだろ。索敵だって立派な役割だ。」

 「俺たちはS級パーティだぞ。ヨースケの代わりなどいくらでもいる。戦えて雑務もできて俺たちのパーティに入りたいやつなんてわんさかいるさ。」


 銀狼の牙が引く手あまたのは事実だ。オレにもS級パーティまで頑張ってきた自負がある。それだけの理由で納得できるわけがない。


 「私も賛成。ヨースケより強い男がいいわ。」


 そう言うのはアマンダ。魔法使いでケヴィンの女だ。髪色は紫いつもケヴィンが好む露出の多い服を着ている。アマンダはケヴィンが口説いてパーティに無理やり入れた。中級魔法までしか使えなくて魔法使いとしては正直そこまで強くはない。


 「実力が伴っていないのはアマンダもだろ。」

 「なんですって。」

 「まあアマンダ。こいつとは今日で最後なんだ。優しくしてやろう。これで2票目だな。お前たちはどうだ。」


 当然、オレのことを良くは思っていないアマンダはムキになり席を立つが、ケヴィンが手で制した。


 見渡すと、他のパーティメンバーのクリストとシャルは黙っている。


 「みんなよく考えてみろよ。勇者の俺様が剣では帝国一の実力者だ。クリストの力は帝国一。アマンダの魔法力は賢者にも引けを取らない。シャルは教会お墨付きの聖女だ。回復で『銀狼の牙』の力になってくれる。」


 ケヴィンがオレを指さして言った。


 「ヨースケ、お前にはなにが出来るんだよヨースケ。テイマーのお前に何が出来る。」


 銀狼の牙はパーティ構成がいいとよく褒められていた…オレを除いてだが。

 オレはテイマーだ。鷹の相棒の力を借りないとなにも出来ないさ。

 そんなの最初にパーティを組んだ時から分かっていたじゃないか。


 「おまえがジークを使わずに出来ることを言ってみろ。」

 「………後方支援のバフだけさ。それも聖女シャルよりは弱い。」

 「そうだよな。よかったよ。お前が自分の実力の無さを一番理解していて。ジークハルト以外には、なにもお前にはないもんな。」


 この帝国ではジョブが全てだと言われている。ジョブによって扱いが違うのだ。

 ジョブは15歳になると天啓として一人に一つだけ得られる。

 勇者や戦士などは戦闘で大きく活躍ができる能力が手に入るし、魔法使いや聖女は強力な魔法が使える。


 ちなみにテイマーは下級ジョブ扱いされている。

 ただ動物を従えるだけ。


 オレは15歳の時に、天啓でテイマーというジョブが言い渡された。

 天啓を聞いて落ち込んだが、努力で補おうと抗ったさ。

 必死に剣を振って鍛えたし、頑張って後方支援のバフを覚えた。


 だが、聖女シャルロットのバフは強力だった。オレなんかが数年かけて覚えた魔法を数日でマスターした。

 どれだけ剣を鍛えても、ケヴィンやクリストと模擬戦をして一本も取れたことはなかった。


 つまりオレには冒険者としての才能がないってことだ。


 「今の話を聞いてわかった。ヨースケには残念だが俺もケヴィンに賛成だ。」


 黙って聞いていたクリストが言う。クリストは力持ちで斧を振るうのだが、温厚で寡黙なな男だ。オレと一番仲が良かったクリストさえもオレが不要だと思っていたのか。


 「これで3票目だ。決まりだな。どうもシャルロットは反対みたいだがな。」


 ケヴィンがヘラヘラと笑いながら言った。


 「私は、先程から申している通り、反対です。考えてみて下さい。今まで銀狼の牙をサポートしていたのは誰です。」


 聖女候補のシャルロット。教会から派遣されて一年前に銀狼の牙に加入した。元々幼なじみだったが、天啓でジョブが聖女と言われてからすぐに教会に引き取られた。


 シャルロットは誰もが振り返る美人だ。銀髪に青色の目。胸は全くといって良いほどないが、スタイルが抜群に良い。今まで幾多の男たちが告白しているが、誰も付き合えていない。高嶺の花だ。


 「さっきから言ってるだろ。それは別の奴がやるさ。前衛も後衛もできる盗賊をもう雇った。まあこれは決定事項だ。」


 後任をもう雇っただって。そもそも話し合いですらないじゃないか。オレは言葉が出なかった。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


「面白かった。」


「続きが見たい。」


「頑張って更新して!」


と思った方は、


下にある☆☆☆☆☆をタップして、作品の応援をお願いいたします!


面白かったら「星5つ」あんまりだなと思ったら「星1つ」

正直に感じた気持ちで押してくださいね!


重ねて、ブックマークもお願い致します。


何よりも励みになります!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ