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ねえイグナシオ?

「あなたワタシの裸見たでしょ。」


刻が止まる。

冷や汗が滝のよう流れる。

何で知ってるこの女?

危険だな…ここで殺

「ここでワタシを殺してもいいけどその前に話を聞いてくれる?」

確信した。

読心術だ。

模擬戦の開始30分前、味方は全員配置についていて周りには誰もいない。

「わかった。聞こう。」

「ワタシはこの模擬戦に絶対勝ちたいの。そのために貴方に力を貸して欲しい。」

「何故?」

なるだけ短文で回答する。思考を読まれないように。

「ワタシは没落貴族の家系なの。貴族に返り咲くのが父祖の代からの悲願なの。」

アリスは語り出した。

「この模擬戦は出来レース。騎士に対歩兵戦を体験させるのが目的なの。ワタシたちは当て馬なのよ。」

まあ確かにこの人数、この編成と装備、勝てる見込みはない。

「だけどこの戦局をひっくり返すことができれば。」

「出来れば?」

「騎士官学校に転入できるかも知れない。そういった前例もあるの。」

「だからお願い。力を貸して!」

少し間をおいてオレは答えた。

「いいよ!」

でも裸を見たことは不問にしてくれるのかな?

「そのつもりよ。だけど一言言わせてくれるかしら。」

「どうぞ。」

「小さい胸で悪かったですねッ!!」


模擬戦が開始された。

こちらは本隊を先鋒に右翼左翼は少し下がりそれに従う、いわゆる魚鱗の陣だ。

相手は2列縦隊となっている。

オレは《閲覧》を使用した。

敵の運動エネルギーはそのまま前方へ向かっている。

「アリス!敵は正面突破が狙いだ!」

「承知しました。」

指令を下すアリス。

本隊が下がり右翼左翼は上がった鶴翼の陣に変化した。

「オレたちも本隊へ合流するぞ!」

「はい!」

アリスとオレは本隊の救援へ走った。

敵の騎兵とはあと数分で接敵する。

走りながらアリスが叫ぶ。

右翼左翼が中央に突貫した敵騎兵を包むように進軍させた。

あとは乱戦をどちらが制すか。

装備が軽装なウチが僅かに有利か?

味方先鋒へ敵騎兵が刺さった。

3〜4人の味方歩兵が跳ね飛んだ。

鶴翼の陣に空いた空隙目掛けて後続の騎兵が突貫する。

そこにオレたちが間に合い穴を埋める。

これで本隊付近で戦闘しているのは味方8人敵4人。

囲んで機動力を殺してるうちに右翼左翼が横槍を入れた。

狙い通りの乱戦だ。

騎兵は馬を捨てランスを捨てロングソードを抜いた。

白兵戦ならば重装兵よりも軽装兵に利がある。

時間共に騎兵たちは体力を消耗し敗退していった。


冒険者学校の大勝利である。

アリスが潤んだ目でオレを見る。

オレは大きく頷くことで返事をした。


騎士官学校の教師だけでなく冒険者学校の教師も唖然としている。

騎士官学校が敗北を喫するのは10年ぶりだからだ。

こういう勝利もなかなか良いものだな。

歓声を上げる仲間の輪の中にいるアリスがオレに手招きをした。

アリスの方へ歩き出すとアリスも輪から走り抜けオレの胸に飛び込んできた。

「ありがとう。ありがとうイグナシオ。」

泣きながら感謝の言葉を繰り返す。

「アリスが頑張ったからだよ、よくやった!」

オレの言葉を聞いたアリスはオレの背中に回した手の力を強くした。

あー鎧がなければ良かったのになあ。

「残念おっぱいでもよろしければ後で進呈しましょうか?」

アリスの思いもかけない申し出に噴水のように出た鼻血で答えた。

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