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攘皇党総裁

「さてまず我々『攘皇党』のことを話そうか。」

シエルはそう言って語り出した。


『攘皇党』は皇王体制を打倒するため7年前に結成された。

初期メンバーは24人、すべて皇国の地方都市カドレア出身の者たちだった。

初めは高位高官に就き内部からの改革を目指していた。

しかし、権力者に近づくにつれこの国の制度が腐りきっていることに気付く。

初期メンバーの1人、エイビー・ハートラーはそれでも平和的な解決を目指し攘皇党を離れ『尊民党』を作ってその指導者になった。初期メンバーのうち8人がエイビーに付いて行った。

今では議会で勢力のある党派になるまで成長しているが、国政を動かすまでには至っていない。

またある者たちはより急進的な改革を目指し過激さを増して行った。その者たちは『天誅』と称して皇国の要人を襲撃しており、先日も財務大臣がその兇刃に斃れたばかりだ。

リーダーは『ズイザン』と呼ばれていて、攘皇党初期メンバーらしいが誰であるのかは分からない。『斬奸党』と自称している。

『攘皇党』はこのように分裂しながらも方針を内部からの改革から皇王打倒へと変化させ、平民の間で基盤を固めていった。

尊民党との違いは武力に頼ることを辞さない点、斬奸党との違いは無差別に要人を斬らず、皇王のみを狙い流れる血を最小限に収めようとしているところである。

議会警備兵第四中隊は秘密裏に攘皇党の私兵と化しており、武力面の取りまとめ役をシエルが担当している。


「まぁざっとこんなもんだな。何か聞きたいことはあるか?」

「そうだな、攘皇党の指導者はどんな人だ?それと今後具体的に何をするのか?」

オレの問いにシエルが答える。

「よく聞いてくれた。我等の指導者は偉大なる攘皇党総裁、シオン・カーライルだ!そうあのカーライル王国の元第三皇子で今は一市民として皇国で活動している。」

え?カーライル王国ってシャルとアリスがこの間滅ぼしたとこですよね?

「今後の活動についてだが今夜我が党の幹部が集まる会合がある。ちょうどいいからキミも来たまえ!」

「…はい。ありがとうございます。」

シャルとアリスは置いていこう。


――――――――――――――――――――


夜になりシエルに連れられ会合が行われる酒場に来た。

この酒場は二階建てになっていて二階部分で幹部が会議を行い、一階でその他の党員が酒を飲みながら自分たちの上役の帰りを待つという寸法だそうだ。

「こんな大きな飲み屋があったんですねーー!」

アリミノが呑気そうに感嘆の声をあげる。

こいつも置いていこうと思ったんだが従者だからついて行くと聞かず終いには道端に転がって泣きながら駄々をこねたから仕方なく同行を許可した。

「おまえ酒飲めたっけ?」

「明後日まで飲んでも潰れない自信があります!」

「ハメを外し過ぎるなよ?」

「イグナシオ様こそハメたくなったら言ってくださいね?」

ど淫乱変態処女エルフの相手は疲れる。

会合の前からテンションダダ下がりのオレを見かねてシエルが話しかけてきた。

「今日集まる幹部の皆んなは凄い人揃いだぞ?」

「閃光の異名を持つ剣客、ユリウス・ラインハルト。愚者の王、ナルザス・マーキュリー。西海の論客、コルタン・トードリ。賢者の弟子、サウザー・テンペスト。何れも皇国に名だたる一角の大人物だよ。」

「まあ、シオン総裁は頭抜けているけどね。」

ヤバい!誰一人として聞いたことがない!!

「す、すごいですね。そんな人たちが一堂に会すなんて」

「だろう?全てはシオン総裁の人徳だよ。」

シエルはニコニコしながら答えた。


酒場に入るとすでに酔っ払いが大量に生産されていた。

人数は4、50人。

建物の内部は横に20m,縦に10mあり天井が高く4mはある。二階への階段は手前と奥にあり、シエルは迷わず奥の階段へと進んだ。


「おっまたせ〜!シエルさんのご到着だよ〜!」

扉を開け放ちおどけたようにシエルが中に向かって挨拶をする。

「今日はスペシャルなゲストを連れてきたんだ!イグ…」

「お初にお目にかかりますイグナシオ『公爵』閣下。わたくしはシオン・カーライルと申します。お見知り置きを。」

シエルの言葉に被せるようにシオンと名乗る人物からの挨拶を受けた。

公爵閣下?オレの素性を知っているのか?この男油断ならないな。

オレは手に汗をかいた。





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