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議会警備兵

「皇国は内乱寸前なことが分かったから放置するとしてブタを探そうと思うんだが手伝ってくれるか?」

「ブタってボクを捕まえてたヤツのことだよね?」

シャルはその辺りの記憶が曖昧だ。

「そうだ。」

「じゃあボクはもちろん参加で!粉々にしてやる。」

「ワタシはサポートに回るわ。」

アリスが答える。

「2人で組んで探索にあたろう。シャルとアリスチームとオレとアリミノチームな?」

「「異議ありっ!!」」

2人同時に叫んだ。息がぴったりだ。

「お前らじゃコイツの面倒見れないだろ?」

朝の素振りで疲労困憊、五体投地しているアリミノを指す。

「4人一緒でいいんじゃない?」

「今回は潜入調査だからなー、4人だと目立つよ。」

「ならボクにいい考えがあるよ?任せて!」

自信満々でシャルが言い切った。これはもう止められないやつだ。

「あ…はい。」

オレは力無く応じた。


――――――――――――――――――――――


オレたちは『傭兵』として議会に雇われることにした。

皇国は傭兵に議会の警備をさせてるんだって。シャルさん物知りね、さすが皇族。

傭兵による議会警備兵の第4中隊にオレたちは配属された。

中隊長はシエル・アウグスタン。皇国の平民階級出身で元々は正規軍にいたが平民だからか現部隊に出向させられている男だ。年はまだ若く24歳になったばかり。

議会警備兵は1個中隊毎に順番で貴族議会、聖職者議会、平民議会の警備を受け持ち、割り当てがない日は非番となる。

今日、オレたち第4中隊は聖職者議会の警備についている。

剣と鎧は支給品もあるが自前のものがある場合は自分の物を使用することもできるため部隊の装備は統一感が全くない。

「たいちょ〜〜。暇すぎる。腹減った。」

部隊で一番情報を持っていると思われる隊長に近づくためわざと馬鹿なふりをする。アリミノの真似をすれば容易い。

「マスター!わたしのお弁当食べてください。」

このバカ、マスターって呼ぶんじゃない!

「君たちは同年代に見えるのにマスター?って何のマスターなんだい?」シエルが不思議そうに問う。

「何を隠そうここにいるイグナシオは公爵家当主。コイツは従者。だからマスターなのさ。」アリスが得意げに説明する。

このバカどもは…

オレの困り顔を察してシャルが助け舟を出してくれた。

「というのは冗談でイグナシオは剣術のマスター、師範なんです!」

おいおい、それもどうかと思うぞ?

「そうか!君は剣が得意なのか。俺も都の剣術道場に通って免許皆伝なんだぜ?」シエルが張り合ってくる。

「でもイグナシオの方が強いよ?ボクが言うから間違いない!」シャルさん、何かこの展開身に覚えがあるんだけど…

「よし!じゃあ決闘だ。君が勝ったら俺の副官にしてやる。」

「「受けて立つッ!!」」声を揃えてシャルとアリスが応じた。

もう知らない。

「マスターの剣初めて見れます。楽しみです。」

バカミノ、お前オレの剣術の弟子ってことになってるんだぞ?

第4中隊の暇人ども(全員)がわらわらと集まってきた。賭けをしてる奴もいる。

そんな中、オレはシエルと対峙した。


シエルはロングソードを大上段に構えている。

上段の構えは相手より自分が格上出ないとまず使わない構えで、要はオレが舐められているということだ。

対するオレは普段使いの大剣ではなくアリスから借りたバスタードソードを中段に構えた。

審判役を買って出たバスク小隊長がコインを投げる。

コインは空高く跳ね上がり地面に落下して音を立てて転がり落ちた。

後を合図にオレはシエルに肉薄して突きを放つ。

余裕で躱されオレの首めがけてシエルの長剣が振り下ろされる。

既の所(すんでのところ)で前転して躱し間合いをとる。

オレも随分手加減したけど中々の遣い手だ。敬意を表して少し本気を出すことにした。

「また突き技かい?俺には通じない――」

確かに同じ軌道の突きだが今回は『四段突き』だ。

シエルは咄嗟に防御態勢に入る。

しかしお構いなしに一撃目がシエルの長剣を弾き飛ばし、二撃目、三撃目、四撃目が寸分違わず右肩を貫く。

長剣と右腕が空に弧を描いて同時に地面に落ちた。

「シャル!!」

シエルが苦痛で叫び声を上げる前にシャルが《完全治癒(パーフェクト・ヒール)》を無詠唱で使う。

何事もなかったかのように腕が生えている。

地面の血溜まりがなければ決闘などなかったかのようだ。

「…ここまでとは。」

シエルが溜息混じりに呟いた。

「イグナシオの剣技も素晴らしいがそこの御嬢さんのヒールも凄い!これは頼もし過ぎる!!」

先ほど腕を切り飛ばされているのをもう忘れたのかシエルは興奮している。

「中隊長、あまりはしゃぐと貧血で倒れますぜ?」

審判役をやっていたバスク小隊長が苦言を呈した。

「バスクくん、これを喜ばずにいられるか?我が隊の戦力は格段に上がったのだ。」

「そっちの金髪の女の子ももしかして強いのか?」

「少なくともオレよりは強いですよ。」

「聴いたかい?もはやこれ以上の戦力は必要あるまい。打倒皇王の機は満ちたのだ!!」

「シエル!!お喋りがすぎるぞ!!」

バスクが叱責する。

「おっと!そうだ、意志確認がまだだった。」

「なんの意志確認ですか?」

「我々『攘皇党』に入党する意志確認さ。」

油断のならない笑みを浮かべシエルが話し始めた。



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