騎士官学校
学校生活3ヶ月目
オレはあれから闘気のコントロールと闘気の量を増やすことに専念した。
担任のドフォーク先生によると常に闘気を出し続けることで闘気量は徐々に増えるし、同時に体内で闘気を循環させることで闘気コントロールだけでなく、闘気の質も練れるということだった。
お陰で今のオレはクラスでは敵なしの体術遣いとなった。
相変わらずボッチだけどね。
でもでもでもでもそんなのカンケーねー!
闘気を扱えるようになったお陰で剣も上手く操れるようになった。
闘気を剣に纏わせるなんてことまで出来る。
やったぜオレ!
そんなある日、騎士官学校と交流のための合同訓練があることが発表された。
騎士官学校卒業生のドフォーク先生のツテみたいだ。
具体的には学校同士の集団模擬戦を行うようで今日の授業からそのための訓練をするとのこと。
普段はボッチなオレもこれには参加出来そうで今から楽しみだ。
今回はウチのクラスの20人が歩兵、相手の騎士官学校生20人が騎兵の編成でやるんだって。
オレの前世の記憶だと歩兵で騎兵を相手するのはかなり難しい気がするんだが・・・
授業が始まった。
まずはそれぞれの役割分担を決めることになった。
指揮官1名、本隊10名、右翼と左翼にそれぞれ4名、最後に伝令1名だ。
指揮官はすぐに決まった。
クラス一の人気者、アリスたんだ。
オレの命に変えても君を守るッ!!
あれからキミは口聞いてくれないけれど。
本隊や右翼、左翼の人員も次々と決まっていった。
うむうむ良きかな良きかな。
「せんせー、配置決まりました。」
アリスが高らかに宣言する。
「じゃあメンバー表を出してくれ。」
アリスからメンバー表の提出を受けたドフォーク先生が眉を顰めた。
「アイツは伝令でいいのか?」
「はいっ!」
被せるように即答するアリス。
「おーい、イグナシオ!お前伝令だって!」
クラスで1番強いの多分オレなんだけど伝令っすか?
気が抜けた顔をしたオレをアリスが一瞬微笑んだような気がした。
クラスで集団戦の動きを確認する訓練をした。
アリス指揮の下、自在に進退を行う各部隊。
作戦としては本隊が盾で騎馬突撃を受け止め機動力を封じたところを左右からの挟撃で倒す算段だ。
伝令役のオレはやることも無いので隅でノの字を地面に書いて暇つぶししていた。
模擬戦を明日に控えた放課後、アリスがオレの方に歩いて来た。
そしてすれ違い様に
「明日はワタシの側を離れないでね。」
と囁いて去って行った。
オレはその言葉と残り香の良い匂いを忘れないように脳髄に刻み込んだ。
模擬戦当日
騎士官学校のやつらが現れた。
フルプレートアーマーに全身を包み、長大なランスを掲げ、悍馬に跨った20騎だ。
アイツら殺しに来てない?
ウチの方は木製の大楯、革鎧で本隊はスピアを右翼左翼はブロードソードを装備している。
まあ、大半が町人の子弟だから仕方ないよね。
アリスたんだけは鉄製の鎧兜を着けている。
何着ても似合うよキミは。
オレは革鎧に訓練で使ってる木剣だ。
教会のお布施で高いもの買ってもらうわけにいかないからね。
―――――模擬戦が始まる。