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ディリシアの魔女

「何!?ディリシアが奪還されただと!?」

伝令兵からの凶報にハーティア王太子は狼狽する。

「帝国にそれほどの指揮官がいたのか?」

「その者は神託を受けた聖女だと妄言を放ち帝国兵とともにディリシアを10分で落とした上、続けざまにワシーズ砦、マレーネ砦を攻略、結果1日でサリウス大公領を奪還されました。」

「ありえん、ありえんぞ…。あそこには8万の友軍がいたのに。悪魔めッ!」

「兵たちは彼の者のことを『ディリシアの魔女』と恐れており士気が下がっております。しかも今回の敗戦で我が軍の補給線は断たれてしまいました。更に騎兵1万がディリシアを発ったとのことです。」

「俺が行くしかないな。場合によっては皇都の包囲を解き全軍を上げて決戦にもちこむことも考えねばなるまい。」

ハーティアは歯軋りをした。

「ディリシアの魔女…その名忘れんぞ!」


ハーティアは皇都包囲している軍勢をすべてこの地に転進するよう伝令を出した。彼我の部隊の進軍速度と陣地構築の時間を計算し決戦に有利となる地形を見つけたのだ。

「このラガハの地ならば我が軍の武力を最大限有効に発揮できよう。」

ラガハはディリシアから皇都への街道上にある。

沼が付近にある湿地帯であるため一帯は泥でぬかるんでおり、浅瀬に浮橋を設置して通行できるようにしてある。

湿地帯の北は深い森、南は沼になっていて騎兵の進軍は不可能、どうしても街道に沿って進むしかない。

ハーティアは湿地帯の東端に陣を引いた。

両翼にロングボウ兵、中央に重装歩兵、第二陣に騎兵を配置、第一陣には敵騎兵対策のため塹壕と長杭を打ち、両翼のクロスボウ兵は火線が交錯するように角度をつけている。

黒騎士団必殺のダブリン戦術に十字砲火を組み合わせた必滅の陣形、ハーティアは黒威衝天陣と名付けた。

「殿下、敵騎兵が街道に姿を表しました。その数およそ1万。」

「うむ、前情報どおりだな。うちの本隊の方はどの辺りまで来ている?」

「はっ!約2時間後にはこちらに到着する模様です。」

「黒威衝天陣はあくまで受け身の陣形。相手の出方次第だが…。よし、俺はこれから騎兵小隊を率いて前線の視察に出る!」

「ははっ!お供いたします。」


―――――――――――――――――――――


「シャル、前方に敵兵がいる。黒い軍装から見るに黒騎士団だな。」騎馬で疾走しながらシャルに話しかける。

「黒騎士団、王太子ハーティア直属部隊、王国兵、敵、テキコロスコロスコロスコロス!!!!」

シャルの馬が突然加速し続ける、オレも鞭を入れ追いかけるがどんどん離されていく。これが伝説に聞く『超速領域(ビヨンド・スピード)』なのかッ!!?

周りの騎士達も全速で追いかけているがシャルの単騎駆け状態になってしまっている。

マズイマズイマズイ。この先は湿地帯だ。

「ボクに続けーーーー!!!」

「聖女さまに遅れるなっ!」

「聖女一番やりかよ?ド派手にクールじゃん!!?」

みんな好き勝手やりやがって。

今や我が軍の隊列はめちゃくちゃ、ただのレースと化している。

先頭はシャル、次に軽装騎兵の皆さん、最後に重装騎兵の皆さんが続く。

敵の陣形が見えた。ロングボウのクロスファイアーで殲滅を図るようだ。このままではそのとおりになってしまう。

前方を見るとシャルが湿地を抜けそのまま敵陣中央へ突貫していく。

両翼からロングボウ兵が一斉射を行うが単騎だからか当たらない。そのままシャルは敵兵に馬ごと体当たりをかまし上空へ吹き飛んだ。

「なるほどああすればいいのか!みな聖女さまに続けーーーッ!!」

偶然にも散開状態となったまま軽装騎兵が敵陣へ突っ込んでいく。ロングボウ兵も応戦するがこちらが密集していないため殆どの矢が空を切る。

体当たりを食らった敵陣には動揺が走り戦列が乱れている。そこへ遅れてきた重装騎兵が突撃を敢行、敵歩兵を撃破する。

オレはその間にシャルを探していた。

「やっと見つけた。」

シャルは気絶して倒れていた。まったくとんだお転婆皇姫だぜ。

シャルを担ぎつつ戦況を確認するとうちの重装騎兵はその後、敵第二陣の騎兵を粉砕していた。潰走する歩兵のせいで騎兵の逃げ場がなくなったのが功を奏したようだ。

残るは両翼のロングボウ兵だが遮蔽物のない弓兵が騎兵に勝てる道理がない。オレはシャルの介護に専念しよう。

ふと道端に目をやると人が転がっていた。生きてはいるっぽい。

そいつは黒いフルプレートアーマーに赤マントを付けている。話に聞くハーティア王太子か?

シャルを木陰に寝かせてそいつの兜を脱がす。

金髪で整った顔立ちの20代前半の男だった。

間違いない、コイツは王太子だ。


オレはハーティア王太子を捕虜にした。



お読みいただきありがとうございます。

いつも勢いで書いているので齟齬や誤字があるやもしれません。

今回出てくる『魔女』と言う呼称ですがノワールのような『魔女』のことではなく、悪魔的に強い恐ろしい女と言うような意味で使ってます。

伝わりづらかったらすみません。

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