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決戦・ノヴィグラード

イグナシオがシャルロットたちを救出したその頃、皇都の西に位置するノヴィグラードという地で帝国軍とカーライル王国軍、マレドニア神聖皇国軍との間で大規模な戦闘が行われた。

後の世で語られるノヴィグラード会戦である。


帝国軍は皇都救援のため駆けつけたトラン第二皇子率いる無傷の東方師団2万と魔物との戦さで損耗したレアル第三皇子率いる北方師団1万、それに皇都から出撃したユージン・ルーデシア皇帝直卒の近衛騎士団5千がノヴィグラードの東方にある丘陵地帯に布陣した。

アルヴィス第一皇子は3千の将兵で皇都の守備に残った。

カーライル王国、マレドニア神聖皇国の連合軍は、帝国軍が布陣した丘陵の西に流れるブルイヤール河を挟んだ山岳地帯に陣取る。

軍神アリス率いる第一師団2万が右翼、黒騎士ハーティア王太子率いる第二師団2万が左翼、中翼の先鋒にマレドニア神聖皇国が誇る不死隊(アタナトイ)1万、中翼中央にカーライル王パウルス・カーライルの3万が布陣した。


決戦前夜、皇帝ユージンは本陣の天幕で2人の皇子と将官を集め軍議を行った。

「味方が3万5千に対し敵は8万、2倍以上の兵を相手に正面からぶつかるのは愚策です。私の麾下、東方師団全軍で夜襲を掛けたい!」

第二皇子トランは勇敢にも父である皇帝に夜襲を進言した。

「2万もの兵で夜襲をした例は史上皆無です。成功するわけがありません。兄上が軍神以上に戦さ上手なら別ですが。」

第三者皇子レアルが皮肉をこめて窘める。

「2人の意見は分かった。他の意見はあるか?」

第二皇子の側近を務めるベルモット伯爵が具申する。

「敵は我が領土深くまで侵入しております。連戦に次ぐ連戦で疲労の極地にあり兵站も十分ではありません。陣地を要塞化し長期戦を図りつつ敵の兵站を潰せば軍神といえど敵ではありません。」

「バカを言うな!少なくとも黒騎士師団と不死隊が疲弊する訳がない。《黒騎士》スキルと不死隊伝説を知らんのか?敵に軍神あり、我が方に軍神なし。勝敗は決しております。ご賢明な判断を!」

近衛騎士団長を務めるジスカール公爵が発言をする。

近衛の長が降伏を進言するとは。

ユージンは頭を抱えた。

本来であれば皇都に籠城し各地からの救援を待つのが上策である。

北と東から救援にくるも勝手にノヴィグラードに陣取り決戦せざるを得ない状況にしたのは2人の皇子である。

撃破された南部の残存兵力を第三皇女が纏めつつあるという話も聞いているし、サリウスの残した軍もこちらに向かっている。

「皆の意見は分かった!軍議はこれにて終了とする。トランは騎兵大隊を率いて敵の兵站を潰せ!他は守りを固めて軍勢の結集を図る。それまでは決して敵の誘いに乗るな!」

皇帝の決断に軍議は散会となった。


先手を打ったのは連合軍だった。

早朝、ブルイヤール河に発生する霧に身を隠して黒騎士師団が渡河、帝国軍先鋒の東方師団と戦闘を開始する。

歴戦の黒騎士師団と集団戦経験のない東方師団、更に濃霧の中からの奇襲でもあったことから帝国軍は混乱状態となり、トラン皇子に代わり指揮を採っていたベルモット伯爵が討ち取られた。

友軍の苦戦を察知した皇帝ユージンは後詰に北方師団を投入。

これで帝国軍3万に対し連合軍2万、数的優位にたった帝国軍が押し切るかと思われたが、背に河を背負った黒騎士師団を攻めきれず戦線が膠着する。

1時間ほど後、3倍の敵相手に善戦した黒騎士師団も疲弊したのか隊列が崩れ潰走を始めた。

すかさず追撃に当たる帝国軍。敵中に突出する。

ブルイヤール河中での追撃戦となり黒騎士師団に多数の被害が出て河が紅く染まった。

その時、帝国軍の左側面から驚愕の声が上がる。

いつの間にか渡河した不死隊が横槍を入れたのだ。

さらに前方からはカーライル王パウルスの軍勢が押し寄せてくる。黒騎士師団の潰走は見せかけで即座に反転攻撃を仕掛けてきた。

河の中で挟撃を受け、帝国軍3万は壊滅、レアル皇子以外の将官全員が討死した。

敗北を悟った皇帝ユージンは近衛騎士団に守られて皇都を目指し撤退するも先回りしていた軍神師団の待ち伏せに遭い敢えなく捕虜となってしまった。


皇都ヴィリオンは包囲を受け再びの籠城に入った。





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