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魔女の都合

「さてとなかなか俺の都合のいい展開にはならないか。困ったものだ。」

宙に浮いたままノワールは嘆息する。

「キサマッ!何故ここにいるぅ?」

青ざめたデブが息も絶え絶えに叫ぶとノワールが答えた。

「そこのモノに呼ばれたからよ。」

オレを指差す。

「な、なーにーぃ!?そいつはキサマの眷属なのか!?」

「今は違う、多分これからもな。」

ノワールが興味なさそうに答えた。

「ではコイツは貰っていくが文句があるなら聞こう?」

「ボクを殺さないのか?」

「さあな、気分次第だ。」

面倒臭そうに言う。

「ど、どうぞお持ち帰りください。」

デブが土下座をして情けない声を出す。

土下座といっても醜く膨らんだ腹がつかえてとても土下座には見えない。

「そう言うことだ。行くぞ。」

「あ、アイツらも頼む!」

「チッ、これも『貸し』だからな?」

オレは空中に浮かんでいる。シャルとアンリも浮かんでいるのが見える。

『転移!』

ノワールがそう唱えた瞬間、景色が変わった。


オレたちは塔の屋上にいる。さっきまでいた塔ではない。

更に大きいし高い、何より小綺麗だ。

「何処だここは?」

「俺の塔だ。」

シャルとアンリを探す、ノワールの背後に転がっている。

「そいつらを治療させてくれないか?」

「治すのは良いがすぐに自殺するのでは?」

あれだけの凄惨な目に遭ったのだ。正気に戻ったら何をするかわかったものじゃない。

「まずはあのまま気を失わせておけ。その間に俺とオマエの話をしよう。」

「そうだな。『借り』は返さないとな。」

ノワールはニンマリする。

「話が早くて助かるぞ。」


オレはノワールから4回チカラを借りた。

1回分の対価はヒトの一生に値すると言う。それが4回だ。

「オマエから取り立てる対価は、俺の都合に付き合って貰うことでチャラにしよう。」

「何をすればいい?」

「【始まりの魔女】を殺せ。」

「【始まりの魔女】の眷属にすら手も足も出なかったんだが?」

「俺がオマエを鍛えてやる。強くなってから殺せばいい。」

「分かった。元々オレに拒否権は無いからな。」

「理解が早くて良い。」

「では《契約》を交そう。」

ノワールも《契約》スキルを使えるのか?

掌に魔法陣を書いている。

「出来た。俺の手を握れ。」

言われるがまま握る。

「どんな契約か聞かないとはな。」

「コイツらを助けてくれたんだ。どんな契約でもするさ。」

「まあそんなに悪いモノでも無いさ。」

ノワールは契約について説明する。

内容は、ノワールに敵対することが出来ないこと、ノワールが望むまで修行をすること、【始まりの魔女】を殺すまで契約の解除が出来ないことだった。

「俺の話は終わりだ。そいつらの手当てをしてやれ。」

「なあ?オレの神聖魔法で壊れてしまった精神を治癒できるものか?」

「壊れた精神は治癒できまい。魂に傷が入ってしまっているからな。」

「なるほど…。」

オレは少し考えた。


まずはシャルロットから治す。

完全回復(パーフェクト・ヒール)』を発動する。

もぎ取られた手足が生え、空洞だった眼窩に眼球が形成され、切断された鼻と耳が再生した。

次に『神聖清拭(ホーリー・クリーン)』をかけた。

汚れていた顔や身体がキレイになった。この魔法はある程度の精神汚染も治すことが出来る。

「ア″ア″ア″ア″ァ″ーーーッ!!」シャルロットが叫んだ。

「イ、イグナシオ!見ないで来ないで殺してお願いッ!!」

当たり前だがシャルロットの負った傷は深い。

神聖清拭(ホーリー・クリーン)』を多重詠唱する。

20の光の輪がシャルロットを覆う。

「イグナシオ、ボクはもうダメなんだ。だから殺して…」

幾分回復をしたようだが根治は難しい。

シャルロットには死んで欲しくない。

「シャルロット、オレはお前を見捨てない。必ず楽にしてやる。例えオレのことを忘れてしまったとしてもだ。」

「イグナシオ?どういう意味?」

「今からシャルの時間だけを巻き戻す魔法をかける。文字通り何も無かったことになる。オレと出会ったことさえもな。」

「待って!それだけは嫌!!あなたのことを忘れるなんてしたくないッ!!」泣きながら絶叫する。

「忘れるんじゃないんだ。初めから『無かった』ことになる。」

「尚更ダメじゃない?お願い!もう死にたいって言わないからッ!!」

首を振る。

「お前が苦しむところを見たくない。お前にはいつも笑っていて欲しい。分かってくれ。」

「笑う!笑うからッ!何でもするからッ!!」

シャルは泣き顔で無理矢理笑顔を作ろうとする。

オレは間違っているのか?

「…分かった。シャルがそこまで言うなら時間遡行の魔法をかけるのは保留にする。その代わり条件が3つある。」

「ボクはその条件を全て飲みます。」

「まだ言ってないんだけどな?」

思わず苦笑する。

「イグナシオが『いる』ならばボクはどんな事にも耐えてみせるわ。」

「一応言っておくけど、余りに苦しそうならば問答無用で時間遡行魔法をかける事、状態を観察するために常にオレの側から離れない事、弟には時間遡行をかける事、いいかな?」

シャルが抱きついて来た。

「もう二度と離れないわ!」

「オレももう二度と離さないから覚悟しておけ。」

シャルが涙を流す。

「辛いのか?」

「ううん、うれしいの。その言葉を聞けただけでボクは救われるわ。」


やばい、アンリを放置していた。

向こうでピクピクしているのをノワールば棒キレでツンツンしている。


オレは急いでアンリを回復し問答無用で『時間遡行』を行使した。



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