剣聖
その男の剣技は極限まで磨き上げられていた。
一撃が凄まじく重い。
初撃は弾けたが、腕が痺れている。
オレよりはるかに格上の証だ。
「御紹介しよう『剣聖』サリウス・ルーデシア皇弟殿下だぁ。」
首なしの剣聖は優雅にお辞儀をする。
『剣聖』の無残な登場に戦慄した。
「しかしルーデシア皇家の方々は勤勉だねぇ。皇姫・皇子はブタに堕ちても子孫を残そうと励んでるし、皇弟は首がないのにボクのために戦うんだもんねぇ。」
サリウス大公は戦死なされていたのか。しかし一体誰が剣聖を討ち取れる?
「剣聖も魔女には敵わなかったのさぁ。」
こちらの想いを見透かすようにデブが喋った。
ここでも『魔女』か。
神々の力を超越した存在、この世の悪夢、唾棄すべき魔女。
「あっ、剣聖に『狂化』かけるの忘れてたぁ。」
デブが指をパチンっと鳴らすと剣聖に黒い靄がかかる。
瞬間、剣聖が消える。
右腕が熱い。
見ると上腕から腕が切断されている。
剣聖技《影狼》だ。
オレは剣聖の技を幾つか見たことがある。
神々の加護をフルブーストする。
腕を再生する暇なく連撃を仕掛けられる。
「おやおやぁ?腕とれちゃいましたねぇ?姫さまを助けに来たカッコいい騎士さまが台無しだよぉ。」
左腕だけでは剣聖を捌ききれない。確実に削られていく。
数合撃ち合うが圧倒的に不利だ。
仕方ない。
オレは剣を使わす体術だけで剣聖の剣を回避する。
当然完全には回避できず被弾が多くなる。
その一つ一つが普通ならば致命傷となる。
オレは被弾と同時に治癒して何とか堪える。
切断された右腕も再生した。
避けつつオレは魔剣に全闘気・全魔力を集中する。
更に数合のち体内の全てのチカラが凝結した。
魔剣が輝き出し刀身は鍛刀しているかのように真っ赤になった。
超臨界状態だ。
「喰らえ!『星王闘魔断頭剣』ッッ!!!」
頭上に振り上げた剣から強大な闘気と魔力が混ざり合ったモノ、混合魔闘気が吹き上がり塔の地上構造物が全て消し飛ぶ。
剣聖に向かって振り下ろす。
目標地点には通常の千倍の重力がかかり剣聖は回避が遅れ直撃を喰らう。
大地が割れて殆どの衛兵が飲まれた。
大地に飲まれなかった者も剣圧で引き千切られてしまった。
剣だけを残して剣聖は消し飛んだ。




