再会と覚悟
この世界には魔女がいる。
何人いるかは分かっていない。
ただ確実に1人は存在する。
魔女は、悪魔を使役しあらゆる魔法を使い熟す。
今では名前すら聞くことがない古代魔法や禁忌魔法すら使用する。
傾国傾城ならぬ滅国滅城を単騎で果たせる数少ない存在で古くから人族はもちろん魔族からも恐れられていた。
魔女が最後に確認されたのはカーライル王国である。
―――――――――――――――――――――
「おまっ!死ぬかと思ったぞっ!!」
「わたしも突然イグナシオがいるから嬉しくて死ぬかと思った。」
「くっ…!」
こんなんで貴族さまの端くれになれるのかよ?
「こんなんで悪かったわね?」
しまった、こいつ読心術使うんだった。
「わたしのこともう忘れちゃったの?わたしはイグナシオのこと考えない日はなかったのにメソメソ。」
「口でメソメソ言うな。ワザとらしい。」
「えへへ、イグナシオに会えたからテンション上がっちゃった。」
「わたしに会いにきてくれたんでしょ?」
「次いでだよ次いで!で?叙勲やらパーティやらはいつなんだ?」
「あー。」
頭を掻き困ったような顔をする。
「なんか戦が近いからって叙勲式は省略になってパーティは中止になっちゃった。ごめんね?」
え?そんなに状況差し迫ってるの?
「わたしも学徒動員とかで第一師団の騎兵中隊長になったの。アリス・マレニア・リーグレット少佐よ?カッコいいでしょ。」
「は?また随分と出世したな。」
「あなたが《軍神》なんてくれるからよ。」
「あれ?そいや学徒動員とか言ってたけどお前も前線出るのか?」
「天下無双の《軍神》さまが出ないわけないでしょ。それに手柄を立ててお家再興しなきゃ。」
「騎士爵じゃ一代限りだもんな。」
「そうそう。」
「でもお前たしか天涯孤独だから家継がせるやついないんじゃ?」
「子ども作ればいいじゃない?」
「そんな相手いるのか?」
「…目の前にいるよ。」
真っ赤になるアリス。
目を伏せてるから本当か嘘か分からない。
「はいはい。」
オレは聞き流すことにした。
さてと…パーティもなくなったことだし土産渡して…アッ!
「あら?お土産くれるの?悪いわね。」
お土産なくなったことを心を読んで知ってるはずなのに意地悪くアリスがお礼を言う。
さっきの流したの怒ってるのか?
「当たり前よ。乙女に恥かかせて。」
どこまで本気なんだか。
さてと困ったな。叙勲パーティで超高級ワイン飲んで貰うつもりだったんだが…。
ふとイプシロンと目が合う。
「この馬やるわ。名前は『イプシロン』。きっと戦場でお前の役に立つ。」
「ありがとう。貴方だと思って大切に跨るわ。」
言い方!!
しかしこいつと話してると楽しいな。
時間が経つのも忘れる。
日が暮れ始めてきた。
「じゃあオレはこれで。武運長久を祈る。」
「今度会う時はどこでかしら?」
遠い目をするアリス。
「どこでも一緒。オレたちはオレたちさ。」
「気楽なものね。」
「またな!」
「貴方だけはわたしを嫌わないでね。」
オレが去った後、アリスは祈るように呟いた。




