ゼダンの全開
闘気を解放してから10秒経たないうちに剣聖が、1分後にゼダンが現れた。
「なんだイグナシオかよ?賊にしては強すぎると思ったぜ。」
ゼダンが軽口を叩く。
「うちに遊びに来たのか?」
剣聖が問う。
「そうなんだが途中でオッサンの娘に絡まれて大変だったわ。」
剣聖が顔を引き攣らせる。
「お前エストお嬢様に怪我させたのか?」
ゼダンが妙に食ってかかる。
「怪我はさせてないさ。良い経験させてやっただけ。」
しらを切るオレ。嘘は言ってない。
「そうか、鍛えてくれたのか。すまんなイグナシオ。」
娘のおっぱい揉まれて礼を言うとは奇特なオッサンだぜ。
「気にすることはない。出来ることをしたまでさ。」
オレも良い経験させてもらったけどなあ。ぐふふ。
「目がイヤらしいことになってんぞ?」
あぶないあぶない。
「ところでゼダン。お前随分と強くなったな?」
「ああ、サリウスさまに鍛えてもらってるからな。」
「良き良き。テオドールたちも城で元気にしてたぞ。」
「そうか。アイツらにも負けないように修行しないとな。勿論イグナシオ、お前にもだけど。」
この日は大公邸で夜飯をご馳走になり一晩泊めてもらった。
明くる日
屋敷が騒がしい。
次第にオレのいる部屋に近づいてきている。
念のため剣を引き寄せる。
部屋の扉が音を立てて崩れ落ちる。
「イーーグーナシーオーーー!!」
ゼダンが現れた。
「おはようゼダン。」
鼻くそをほじりながら挨拶をする。
「てめえお嬢様にやってくれちゃったなあ?」
「なんかしたっけ?」
「さっき泣きながら帰ってきて『イグナシオ』って名乗った冒険者に胸揉まれたって!」
「躾のなってないガキを揉んでやった覚えはあるが?」
「それがお嬢様だっての!表でろやイグナシオ。」
「お前も揉んでもらいたいのか?」
返事を聞く前に大公邸の広い中庭へ飛び降りた。
ゼダンも続いて飛び降りる。
空中でオーラブレードを8回飛ばしながら。
・・親父さん、ゼダンは成長してますよ。
同じく8発のオーラブレードで叩き落とす。
ゼダンは着地と同時に四分身しつつ、剣聖技・12連撃を放つ。合計48連撃だ。
思った以上に強いじゃん。
連撃を叩き落としつつ感心した。
横目で観客がいるのを確認、剣聖とあの時の娘だ。
腕を組んで見てるので参戦してはこないだろう、と高を括る。
きたら死ぬだけだ。
オレは両手の指先にファイアーボールを作る。
10発のファイアーボールをゼダン目掛けて放つ。
余裕で躱すゼダン。
背後で軌道を曲げて再びゼダンへファイアーボールを向ける。
その間に新たに10発のファイアーボールを生み出しゼダンへ放つ。
ギリギリで躱そうとしたところで爆発させた。
直撃ではないがダメージを受けただろう。
ゼダンの分身が消える。
オレは全闘気、全魔力を魔剣に込めて必殺の構えを取る。
「ここまでッ!!!」
剣聖の大声でピタリと動きを止めた。
「次は貴方の番…ですか?」
「今度は間違いなく殺してしまうから君とはもうやらない。」




