ひまじん
手紙はアリスからだった。
騎士官学校で選抜クラスに入れたことや近々騎士爵に叙爵されることなど書かれていた。
叙爵されたらパーティを開くので遠いけど是非来てもらいたいとのこと。
ヒマおぶ暇人のオレは喜んで参加すると返事を書いた。
「おーいテオドール!オレまたカーライル王国行ってくるわ。」
一瞬険しい顔をしたテオドールがオレに聞く。
「司祭さまのおっぱいが恋しくなったのか?」
「ばーか、司祭さまは男だぜ?学校のときのクラスメイトでアリスっていたじゃん?」
「アリスのおっぱいが恋しくなったのか?」
「ち、ちげーよ!あいつが近々騎士爵に叙爵されるっていうからお祝いに行こうかと思ってさ。」
僅かに動揺するオレ。
「そういやお前アリスと仲良かったもんな。行ってこい行ってこい。ただこの話は皇城ではあまりしない方がいいかもな。」
「どういうことだ?」
「最近カーライル王国が軍備を急速に拡張しててさ。そのせいでウチの隊でも結構ピリピリしてるぜ。」
「なるほどそういうことか。気を付けるわ。」
「お前のことだからあまり心配はしないが気を付けて行ってこい。」
オレの知らないところでそんなことになってたのね。
アリスはまだ学生だから平気だろうけどテオドールやニースは従軍することになるかもしれないな。
荷造りをしていると皇帝陛下から呼び出された。
カーライル王国行くのがバレたのか?
まあオレは軍属じゃないし大丈夫だろ。
「皇帝陛下にイグナシオが拝謁いたします。」
「堅苦しいのはよせ。今日イグナシオくんを呼んだのは君だけ褒賞をあげてなかったことを思い出してな。」
「何の褒賞ですか?」
「我が子らを救ってくれた褒賞だ。テオドールは近衛、ニースは魔法師団、ゼダンは剣聖の弟子になる便宜を図るという褒賞を与へている。」
「君は何を望む?」
「うーーん?考えつきませんね。」
「例えばだが爵位とか宝物とか、シャルロットとか?」
ニヤリと笑う皇帝陛下。
「若輩の身ゆえ受けることができません。」
「ならば?」
「望みというかお願いがあります。こんどカーライル王国に行き知人の祝賀会へ参加するのですが手土産に困っておりました。そこで皇家秘蔵のワインを一本いただきたく思います。」
「それはいいが今我が国と彼の国は緊張状態にあってな。今行くと帰ってこれなくなるかも知れぬぞ?」
「覚悟はしておりますが必ず帰参します。」
「ならばよし!行って参れ。何かあったら自領に帰っているサリウスを頼るが良い。」
ルーデシア大公領はカーライル王国に直接接している。
「ありがたき幸せであります。」
これで皇帝陛下の許可を得て大手を振ってカーライル王国へ向かうことができる。
オレも学習したのでシャルにカーライルへ行ってくるってお手紙を出しておこう。
皇都ヴィリオンを出発する。
目指すはアリス・マレニア・リーグレット騎士爵(仮)邸だ。
通り道だからゼダンにも会って行こうかな。
今回は初めて馬に乗って旅をする。
ダンジョンで稼いだお金で買った愛馬「イプシロン」だ。
身体は黒くて額のとこが白くなっている馬。
新たな相棒とともに西へ向かった。




