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軍神と黒騎士

カーライル王国とルーデシア帝国

元々カーライル王国はルーデシア帝国カーライル公爵領だった。

ミハエル・カーライルが独立を宣言したことから両国の間で戦争が起きた。

最初はルーデシア帝国の一方的な攻勢だった。

一時はカーライル王国の首都ベイルまで30キロメートルまで肉薄された。

しかし、アテネパトラの戦いでカーライル王国は圧倒的な勝利を収め、現在の国境まで押し返した。

《黒騎士》スキルを持つミハエル・カーライル王が陣頭に立ったからだ。


戦場でのスキルと言えば《軍神》が有名である。

800年前、《軍神》スキルを持った将軍ナガシゲが農民兵700で正規軍20000を相手に戦い、指揮官を含めた13000人を討ち取り勇名を馳せた。

しかしその後《軍神》を持つ者は出現していないため、スキルの詳細は分かっていない。


一方、《黒騎士》は度々世に現れる。

アテネパトラでもその威力を遺憾なく発揮している。

ミハエル王は陣頭に立つと《黒騎士》を発動させた。

すると配下の兵は途端に『死兵』と化した。

この時の兵力差は、カーライル王国軍3000に対しルーデシア帝国軍は15000、見渡しの良い平野での戦、とても勝てる見込みはないはずであった。

ミハエル王は自ら先頭に立ち蜂矢の陣でルーデシア軍へ突入する。

ルーデシア軍は包囲殲滅にかかるもカーライル軍から落伍者が出ない。『死兵』とは死を厭わなくなるばかりか、たとえ命尽きても身中の力、魔力や闘気が果てるまで敵を斃し続ける禁忌の御技なのである。

カーライル軍は2000の損害を出したもののルーデシア軍を蹴散らすことに成功した。ルーデシア軍は5000の屍を野晒しにしたまま撤退した。


歴史は皮肉にも今の世に《軍神》と《黒騎士》を産み落とした。

まるでどちらが優れたスキルかを競わすかのように。


カーライル王国では《軍神》の誕生に軍の上層部が沸き立っていた。

未だ騎士官学校生の身分だが、既にその者を中心とした軍制改革が始まっていた。

国祖ミハエル以来続く昔年の恨みを晴らすべく与えられた力を十二分に振るうため刃を研ぎ澄ませていた。


―――――――――――――――――――――


ルーデシア帝国皇都ヴィリオン

今いるのはオレ、テオドール、ニースだけだ。

ゼダンは晴れて剣聖の弟子として大公領で本格的な修行に入り、シャルロットとアンリは親善外交のためルーデシア帝国の南方にあるマレドニア神聖皇国に出かけている。


テオドールは近衛歩兵連隊の見習い下士官として採用され、日々訓練をしている(遊んでくれない)。

ニースは魔法師団に入団、こちらも日々訓練をしている(遊んでくれない)。

つまりオレは暇なわけだ。平和っていいネ。

狼からドロップした魔剣―――鑑定してもらったら微かな魔力を帯びてるものの大した剣じゃないんだって。

なにが『神殺し』なんだか。

まああんな弱い狼からレアなアイテムが出る訳ないんだよな。

使うけどさ。


そんな中、一通の手紙が届いた。


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