祝勝会
口をキンギョのようにパクパクさせているオレにシャルロットが語り始めた。
「ごめんねイグナシオ。ボクたちの事情に巻き込んじゃって。」
シャルロットの方に目をやる。
「ボクはルーデシア帝国第二皇女。アンリは第四皇子なの。」
は?貴族どころか皇族だって?
「ボクたちは城を無断で抜け出してダンジョンに行ったの。貴方達はボクらを唆した誘拐犯だと思われたのよ。」
なるほどだから拘束されて尋問受けたのね。
「お詫びじゃないけど今日これからパーティをしない?ダンジョンからの生還祝い。」
急速な展開に言葉が出てこない。
首をコクコクとすることで同意を示す。
「よかったー。断られたらどうしようと思った。」
アンリがホッとした声で言う。
「断るわけないじゃない。だってボクたちは友だちなんだからさ。」
悪戯っぽく微笑むシャルロット。
あっ、ちくしょう!さっきの聴いてやがったのか?
テオドールたちのところへ行きソファにドカッと座るオレ。
「お前ら適応早くない?」
「だって冒険者だもの。どんな環境にでも適応しなきゃ。」
ニースがケラケラと笑いながら言う。
「お前も風呂入ってこい。そんなバッチい格好じゃあ皇女・皇子さまの御友人としてみっともないぞ。」
いつの間にか小綺麗な服を着ているテオドールが笑いながら言った。
ニースもゼダンも貴族みたいな服を着ている。
「お前らほんと馬子にも衣装だな。」
捨て台詞を残しオレは風呂へ向かった。
風呂にいくとライオンの口からお湯が流れ出ていた。
一面大理石の耀く石畳だ。
「イヤッホーーい!」
湯船に向かって突撃だ!
「待て少年!湯船は身体を洗ってからだぞ。」
突然肩を掴まれ止められた。
振り返るとオッサンが立っていた。
このオレの動きを止めるとは、何者だこのオッサン!?
「こっちだ。着いてこい。」
仕方なくオッサンに着いて洗い場へ向かった。
こうやって石鹸を使って……
オッサンの風呂講釈は長々と続いた。
ようやく解放された。
危うく逆上せるところだ。
オレはみんなと合流してから会場へ向かった。
会場に入るとレースのついた白いテーブルクロスの上に豪華な料理が所狭しと並んでいる。
「イグナシオ風呂はどうだった?」
アンリがニヤニヤしながら話しかけてくる。
「変なオッサンに絡まれて大変だったわ。」
「そのへんなオッサンって誰だか知ってる?」
シャルロットまでニヤニヤして聞いてくる。
うっとおしいなあもう!どうせすでに地雷踏んでるんだろうから開き直るわ。
「知らねーけど有名人?」
「この国の皇帝よりは有名だな。」
威厳のある声が後ろから聞こえてきた。
「皇帝陛下に拝謁いたします!」
その場にいる全員が跪いた。テオドール達も含めて。ホントコイツらはもう!
「君がイグナシオくんかな?子供たちが世話になったな。礼を言う。」
すっかり跪くタイミングを失った。
「は、ははーーーっ!お褒めい、いただき光栄でございます!」
なんとかそれっぽい対応が出来たかな?
頭を上げると皇帝陛下の隣にさっきのオッサンがいた。
コイツ何者っすか??




