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俺の部屋にある段ボールの中、異世界(旧)  作者: 風大
第二章 『奴隷の国』
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2章 12.あのことによる風

遅れてすみませんm(_ _"m)

 *


 ロクさんと別れてガルさんと今の都市の状況把握と剣聖騎士を探す役割を果たそうと都市内を駆け回っている。汚れなどが1つも付かずそもそも1つもないしほこりすらもなく不快を感じさせない清潔で不気味なこの都市がおかしいと思わない人がいるのだろうか。


「でも……誰も違和感すら感じてない……私もロクさんに言われてから不気味だなって思うようになったけど、言われなかったらたぶん……」


「何も違和感も不快感もなく、だったろうな」


 私の呟きにガルさんが付け加える。その言葉に私は小さく頷き、走ることに集中していく。とその時ガルさんがその集中を遮るように話を切り出した。


「集中遮ったらすまねぇけど、とりあえず俺たちはどこへ向かえばいいんだ?」


「そそ…そうですね……」


 予想外の問いかけに足の動きがにぶる。思考が彼の問いかけで一瞬止まりかけたがすぐに思考を再開させた。

 私とガルさんで行く場所は剣聖騎士との待ち合わせ場所。私にだけエンザエムさんが待ち合わせ場所を教えてくれた。ロクさんとガルさん、そして私のパーティーのリーダー的存在であるロクさんには言わずどうして私にだけ教えたのかということに疑問は残るけれど、一番会える可能性の高い待ち合わせ場所に行くしか手段はない。


「ということで、私とガルさんでこの都市にある『スイーツ店』に行きたいと思っています」


「―――っ」


「が……ガルさん?」


「―――」


「………えーっと…」


 ガルさんの問いかけに私が返すと、彼は言葉を出さず息を少しだけ吐く。呆れや失望の吐息ではなく驚きなどと言った吐息だった。なぜか静まり返った空間に走る2人の足音しか響いていない。気まずさなどもありしばらく何も言わず目的地に向かって走った。すると数分ほど経ったぐらいに彼の口が開き、こちらに顔を向けた。その顔は今までに見たことのないほど晴れやかで。


「何もなかったらパフェ食ってもいいよな!だろ!?リーダーには黙って食ってその後に……」


「さすがにダメですよ。何もなかったら黙って食べようとなってたかもしれませんけど、状況が状況ですから」


「そうか……わりぃ」


 思わぬギャップに驚きはしたもののロクさんが危険な人と戦っているとするとそんな場合じゃない。けれどこのことが終わったらスイーツを食べたい気持ちはある。


「このことが片付いたらみんなで食べましょうね」


「――ありがとよ」


 暗い表情だった彼に光が差しこみ、優しく微笑んだ。感謝と謝罪混じりのその微笑みにつられ私も微笑みスイーツ店へと走って行った。

 スイーツ店にはかなり近くにあり、ロクさんと別れて行動して10分ほどで着いた。それでも10分間走り続けたのもあり、私はかなり息を切らして体中に空気中の酸素を吸っているところだ。ガルさんは亜人であるためずっと元気。


「ここが剣聖騎士との待ち合わせ場所なんだよなぁ」


「は、はい……ここが…そうです」


 途切れ途切れに言いつつ呼吸を整える。そして地面を向いていた顔をそのスイーツ店へと向けた。そこにある店はまったく違和感はない。ただ、問題はその店の目の前にいるオレンジ色の結い上げられた髪で白く透き通る綺麗な肌。そしてあの子にはでかすぎると思ってしまう赤い鳥が描かれたローブのある白い騎士服のよだれを垂らす子供だった。


「ガルさん……あれが……」


「そうだな。リーダーの言うロリ野郎剣聖騎士だろうな」


「はぁ~みんなが食べてるパフェ美味しそぉだなぁ~」


 あの子には悪いけれど物凄く気持ち悪い。あまりの気持ち悪さに声をかけようか戸惑っているとガルさんが隣から消えていていつの間にか剣聖騎士だと思われる子供に話しかけていた。


「お前が剣聖騎士か?」


「うんうん!そう!クイは19歳の可憐な美女のクイ!もしかして賢者が言ってた3人の人?なのに3人じゃなくてあの女の子とおじいの2人しかいないけど……」


「おい。おじいってなんだ。俺をじいさん呼ばわりか!?」


「そうだもん。髪がおじいだもん。もんもん」


「なんだとぉ!?やんのかおい!」


「もんも~ん。クイには勝てないよぉ~」


「やめてください!ガルさんもクイちゃんも!」


 けんかへと発展しそうだった2人をギリギリ止め、ちょっとした説教をする。クイちゃんのほうは礼儀正しく反省したがガルさんだけは納得いかない様子。ただこれだと話が進まなくなるため子供っぽい彼を放って話を切り出した。


「まず、クイちゃん………19歳なんですよね?本当に……」


「うん。クイも正直これ言っても信じてくれないかなって思っちゃってるんだよね……なんだろう……口調が変わっちゃったからかな……」


 どこか悲し気な表情で話す剣聖騎士に疑問を抱く。ガルさんも疑問を抱いているのか首を傾げて一点を見つめている。

 19歳なのに体も口調なども子供らしい感じだと確かに19歳と言っても誰も信じてくれない。ただ今の様子を見ると何かしら理由があって語調などが変わったと言っているように感じられる。もしかすると今の都市の状況と何か関係があるのかもしれない。


「クイちゃん……いやクイさん。私はクイさんが19歳だということも剣聖騎士だということも信じます。だからと言ってはなんですが、その……口調が変わった理由などとか教えてくれませんか?」


「クイのことはクイでいいよ。うーん………」


 何かに引っかかっているかのように眉を下げながら返答に悩む。そんな彼女の姿を無言で見つめていると首を傾げて悩んでいたガルさんが急にスイーツ店を指差した。


「中に入ったほうが良いだろ」


「は、はぁ……」


「分かった~」


 突然のことに私は目を丸くさせるが彼はスキップしながら中に入って行った。クイも顎に手を当てながら入っていく姿を見る。ガルさんは見た目に反して子供っぽいんだなと思い、吐息をこぼして後に続くように中に入ろうとした時だった。


「―――?すごい強い風……」


 急に突風が吹き、体が風で押される。ただすぐに止んだ風に妙な気分を覚えながらもスイーツ店の扉を開け、中に入って行った。

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