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俺の部屋にある段ボールの中、異世界(旧)  作者: 風大
第一章 『目覚める歴史たち』
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1章 17.呪い=記憶≠呪入魔法

 エンザエムの涙が止まったのを確認したレイルが言う。


「呪いは解けたようでよかった―――じゃないけど。正確には呪いは解けてないんだよね」


「どういうことだ?」


 首を横に振るレイルに問いかける。呪いというのは過去にトラウマとなった記憶だと思っていた。けれどレイルが言うには違うらしい。

 賢者の後継者のナーハが呪入魔法じゅういまほうで呪いをエンザエムにかけて、指示を出して奴隷のように動かしていた。その呪いを解くためにレイルはエンザエムの体や精神全てを呪いがかかる前に時を戻し、一瞬で進めた、が呪いは解けることなく―――


「―――過去に戻ったエンザエムは過去に持っていたトラウマを無くさず持ったまま呪いも解けずに帰ってきてしまった。ってことだな?」


「……うん」


 一瞬暗い表情になるが、すぐに笑顔になり話を続けた。


「それで呪いなんだけど、呪いがすごく厄介でね~。本当に嫌になっちゃう。だからロー君に頼もうと思って精神世界に連れてきたってわけっ!」


 いつもの調子に戻ったレイルはドヤ顔で言う。いくら暗くなっても明るくなれるレイルがすごいなと感心しながら俺は考え込む。

 時を巻き戻しても解けることのない呪い。この呪いは呪いをかけた奴の言いなりとなってしまう、か。呪いとしてはあるあるだが、またもや次元が違う。普通は呪いを解く魔法やレイルがやったように時を戻して呪いがかかる前まで戻し無くすことをすれば呪いは解けるはず。ニヒルの強さといいナーハの呪いといい本当に意味が分からない。


「魔法でなんとかは――」


「―――ならない」


「解決方法は――」


「―――今のところない……ローくぅん……助けてよぉ……」


「お前は―――」


「気持ちわ……ってあー!またやった!ロー君は本当にずる賢いぃ~!!ひど~い!」


 頬を膨らませプンスカと怒っているレイルを哀れな少女を見ているかのようにエンザエムは見つめている。うん、怖い。


「―――エイちゃん……その目、やめてほしい、なぁ~?」


「―――」


 目を輝かせてパチパチと瞬き。そしてまたレイルはエンザエムを見るが何も変わっていない……わけではなく、変わっている部分もあった。エンザエムの周りに無数の氷柱と炎のボールがあったことだ。

 若干怖いが、レイルよりかは性格も良し顔も良しナイスバディ。よーしレイルに撃ってもいいぞ~。


「聞こえてるけど!?ロー君!―――!助けて!!ナイスバディなところ以外は認めるから!お願い!エイちゃんも、ね!?」


「―――エイ、『ちゃん』?」


「ひぃ!エイ様!」


「『エイ』、様?」


「ひぃ!エンザエム様!」


「―――」


 レイルが後ずさりしながら謝っている姿はイライラしていた心もかなり和む。レイルには悪いが今エンザエムが描いている魔法陣全ての魔法をレイルに叩き込んでもらいたい。精霊だから大丈夫だろう。保証はないけれど。

 目で訴えるレイルは無視し後ろを向く。途端、レイルの悲鳴、地面が割れる音や爆風が背中に感じた。ご愁傷様と心の中で囁き、数分間の間エンザエムの好きなようにやらしてあげた。

 破壊の音が鳴りやみ、俺は振り向く。正座をしているレイルと説教をしているエンザエムを一旦止め、俺が考えた呪いを解く方法を話始めた。


「呪いは魔法だろ?魔法を使った奴、まあ賢者の後継者って名乗ってる奴をやっつけたら魔法が消えるんじゃないか?」


 俺が魔法を使っていた時、ガルに殴られ魔法陣が消えたことがある。魔法を使っている側に何か衝撃や『死ぬ』などのことが起きたら魔法は消える可能性が高い。ただ―――


「相手はエンザエムに指示をして攻撃したり守ることができてしまうんだよな。俺が魔法を放ったときにエンザエムが指示されて魔法に当たってしまう。最悪の場合『死ぬ』ってことまであり得る。だとしたら呪いを解くも何もない」


「……私は精神世界なら大丈夫ですけど、現実に戻ってしまうと……あの人に……」


「………これが限界だ。俺は力も知恵もねぇし、頼りがいのない男ってわけよ」


「ふーんだ!もうすごいいい男だし、ロー君…は……?」


「なんだ……?」


 レイルの表情が変わり、周りを見渡す。何かあったのかと思っていると背筋が凍った。何かが起きる。


「―――ロクさん……来ます……」


「ロー君!また来た!」


 また、という言葉に頬を固める。この精神世界で且つここに来れる存在。そんなチート野郎、1人なら知っていた。

 何で今、今からっていうのに。なんであいつが来るんだよ。

 ガラスが割れる音が響き渡り、地面や天井にひびが入っていく。ひびから白い世界より白い光。物凄く輝いた光がここに降り立った。


「呆れるね。不快で心外だとも君に思っているよ。幸せを、欲を満たすために必要なのはまずそこにいる賢者からだ」


「―――!」


 地面がひび割れ、破壊の音とともに衝撃波が襲う。とっさに魔法で壁を造り、衝撃波を受け止めようとするが砂のように崩れ落ち、また衝撃波が襲った。


「マジでチートだろ!ぁあああああ!!」


 体は宙を浮き、衝撃波で吹き飛ばされる。内臓が潰れそうになるくらいの圧だ。飛ばされた体は徐々に地面に近づき打ちつけられた。精神世界ではない土煙が現れた人の姿を覆い隠す、がそいつは虫を払うかのように手を振り、煙をかき消した。


「私は賢者の後継者であり、『世界』に愛された存在、騎士。ニヒル・グラディウス・エンザエム」


 白い騎士服で光のように輝く金髪。そして正義感という欲にまみれて似合っていない青い瞳。最強が再び現れてしまった。

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