オールグリーン
真っ白い部屋で目が覚めた。
首筋が痛い。首を触ると豆粒程のシコリがある。何か植え付けられているのか?
辺りを見渡すも部屋には窓や扉が無かった。どうやって入ったのだろうか?
時間の感覚がない。何事もなくただ時間だけが過ぎていく。
「室長、心拍、健康状態共にオールグリーンです。いつでも始められます。」
「では、少し負荷をかけてみましょうか。」
天井から水が出てきた。
拷問か?水攻め?いったいなんだ?とにかく逃げ道を・・・。四方に扉や窓はない。唯一開いているのは水が出てくる、あの穴だけ。
もうすぐ天井にまで水が達する。まもなく空気もすえなくなるだろう。
穴を通ればもしかしたら・・・。水が満たされ空気が無くなると穴は閉じた。
クソ!!くっ苦しい・・・。いっ息が・・・。
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目が覚めるとまた同じ何もないただ白い部屋。
あれは夢か?服も濡れていない。しかしあの感覚は確かに・・・。
ピチャ・・・。頬に水滴が。見上げると天井から水が出てきた。
これは夢か?何なのだ?
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これで何度目だろうか・・・。数える事すらやめてしまった。
水の中で苦しみの中死んでいく感覚だけが残る。現実なのか夢なのかすらわからなくなってしまった。
また天井から水が出てきた。抵抗すら虚しい。
「対象、思考が著しく低下しています。」
「諦めるのが早すぎですね。では、毒にはどれだけ耐えれるか検証しよう。」
水が終ったかと思えば今度はガスか。
紫色の煙が部屋に充満する。
「ウエエーウガアアアッガガガ」苦しい・・・だれか・・・。
「対象、136回目の死亡確認。」
「何度見ても不思議な光景ですね室長。まるでビデオの巻き戻しの様に全てが元の状態に戻る。」
「この能力・・・。今の科学力では説明がつかん。どうして現象自体が改変されるのだ?」
ブツブツ言いながら右往左往している。
「死なないモルモットが手に入ったんだ。出来うる限りの人体実験も同時にしていこう。」
~帝国領オオタテ~
「おねえちゃん!!これ見て!!」
佐助は一枚のチラシを持ってきた。【世界の刀匠展】と書かれている。
「こんな時に見に行きたいなんて子供ですね。」
「違うよ!!これ!ここ!」
「これは隕鉄様!!でかしました!佐助!」
「へへへ。」
「ここに流れ着いて3カ月やっと若様に繋がる情報が手に入りました。」
「どうするの?」
「そうですね・・・。先ずは隕鉄様を何とかしましょう。」
~世界の刀匠展~
所狭しと刀や武器が並べられている。
場内にはアナウンスが流れている。
(現在の帝国では刀狩りが行われて以降、テロは起こっておらず平和が続いています。)
少し離れた所にケースに隕鉄が飾られている。
「隕鉄様・・・聞こえますか?」
返事がない。
「ねえ佐助?どうやってここから助け出そう?」
「マジかよ・・・策もなくきたの?もう!!」
佐助はあきれ顔で白雪を見ている。何かを諦めたようにため息をつくと何やら忙しくし始めた。
「あの佐助?何を・・。」
「ちょっと邪魔!・・・準備が必要だな。おねえちゃん、とりあえず外に出ようか。」
「はい。佐助くん。」