不条理な世
夜が明けた。
不条理は世の常だ。誰しもがこの不条理と向き合わなくてはならない。
幸か不幸か死して尚生きている俺も例外ではない。
神器の力のお陰で生きている。
眠っている佐助を見ながら隕鉄が呟いた。「いつの世も若者が犠牲になる。」
「隕鉄、この国はどうなっているんだ。」
隕鉄は少し躊躇いながら話し始めた。
「先日のお話は覚えておいでですか?この国はスオウ帝国の傘下ですが悪政を強いているのです。奴隷制、刀狩り、重税が主な例でしょうか。ミツルギを含む小国がスオウ国の傘下になった時その国の者は奴隷とされました。それに反発した一部の者たちで形成されたのがレジスタンスです。そして大規模な戦が始まりました。今から100年ほど前の事です。武人の力を使い圧勝したスオウ国はこれから敵対する者が出てこないように刀狩りと称して武人を集め始末したのです。それから階級に応じて税をかけました。下の者が重い税を取られ生活に追われる日々に・・・。
反逆する力も気力も奪われ今に至ります。」
佐助が目を覚ます。
「おいらも一緒について行っていいかな。荷物持ちでも何でもするから頼むよ。」
「仕方がない。これも何かの縁だ。」
「ミツルギ城の跡地にもう一度行こう。」
「良かった。この神棚はそのままだったか。」
「確かこの辺りに」・・・ガゴッ!
井戸の横に隠し通路が出てきた。下に階段が続いている。
「ここは父上との秘密基地でな。」
部屋に入ると当時のまま全てが残っていた。
小さい部屋の中には宝箱と机の上に手紙が一通残っていた。
~総司へ~
この手紙を見ているという事は私はもうこの世に居ないのだろう。
お前が国を民を導きより良い国にしてくれる事を願う。
支えとしてナトリの里に向かうと良い。韻鉄の柄紐を解けば韻鉄が良くしてくれよう。
あとを頼む
「父上・・。」
宝箱を開けると腕輪が入っていた。
腕輪を着け外に出ると帝国兵に囲まれていた。
「国家反逆罪の容疑で連行する。」
韻鉄が小刀になっていた。
「白雪、佐助を頼む。」
~スオウ帝国皇帝の間~
「失礼します皇帝陛下。現在200年振りに神器の反応を感知致しました。」
「そうか・・・ようやく・・・。何としても手にいれるのだ!」
200年か・・・我が大願が叶う時がもうすぐ・・・。
「わははは!!」