呪術
翌日、ティルトとアイザックと
珍しく本人が着いてくると主張したクラウドの3人を連れて
昨日の子どもの家に向かった
子どもの家は貴族の家が並ぶ高級住宅地の中にあった
「ここだよハニーちゃん」
また、馬鹿でかい門があり
相当な貴族であることを窺わせた
……正直にいうと行きたくはないのだが……
ベルを鳴らし、執事が出てくる
アイザックの顔を見ると顔を顰めた
何故?アイザックはここの息子と娘を連れ帰ったのでは?
「何のご用でございましょう?」
「昨日の子どもに聞きたいことがあって来たのだが」
「生憎でございますが、坊っちゃまは出かけてらっしゃいます」
「あ!昨日の姉ちゃんと兄ちゃん!」
……執事の言葉とは裏腹に昨日の子どもが屋敷の中から私たちに手を振った
「…………」
「…………ご案内致します」
「姉ちゃん!妖精の薬持って来てくれたのか?」
玄関をくぐると昨日の子どもが飛びついて来た
「坊っちゃま……この様な者と関わると大奥様に叱られますよ」
「何言ってるんだよ!この姉ちゃん達が昨日助けてくれたんだぞ!
それに母さんの病気も治るかもしれないんだ!」
期待させている様で悪いが、石化病なのが本当ならば妖精の薬は使えない
「ですが……」
「もういい!姉ちゃん達は俺が案内するから!
姉ちゃんこっち!」
子どもに案内されるまま向かうと
豪邸の外れにある小屋に案内された
「母さん、入るよ?」
そこには簡易なベットで横たわる女性と
その女性につきそう昨日助けたもう1人の子どもがいた
「お母さん、今眠ったところだよ」
「この姉ちゃんが妖精の薬を持って来てくれたんだ!」
「そうなの?これでお母さん助かるね!」
確かに女性の手足は石になっている
顔もマダラだが石になっている部分もある
でも……これは……石化病じゃない……と思う
石化病は手からか足から徐々に石化していくパターンもあるが
基本的には一気に全身が石化する場合が多い
こんな風にマダラに石化することはない
「これは石化病じゃないのだ!」
ティルトもそう思った様だ
「マスターこの部屋から尋常ではない魔力を検出した
ここは人間にとって有害である
繰り返す、有害である」
いや、有害って……
ちょっと待って
「クラウド、魔力の出どころはどこ?」
クラウドが指したのはベットに横たわっている女性だった
彼女から大量の魔力のが溢れている?
そして、本人は石化しかけている……
1度、小屋から子ども達を連れて出る
「なんで出るんだよ
妖精の薬持って来てくれたんじゃないのかよ!?」
「ねえ、誰がお母さんを石化病って診断したの?」
「大奥様が連れて来たの医者だよ」
さっきも出て来たな大奥様……
それに病人を寝かせるにしてはベットが粗末すぎる
この家……どうなってるの?
「ティルト……どう思う?」
「ミコはどう思ったのだ?」
「私は……これは石化病じゃない
呪術の類いだと思う」
「ティルトもそう思うのだ
しかも、かなり強力な呪術なのだ
相手が出来るだけ苦しむ様にかけられているものなのだ!」
ティルトも同じ考えだとすると……
「言いにくいけど、君たちのお母さんの病気は石化病じゃない
呪いによるものだよ」
「なんだよのろいって!?」
「そのままの意味だよ
誰かが君達のお母さんを呪っている」
「お母さん呪われてるの?」
誰が何の為に……?
「マスター微量だがこの少女からも同じ異常な魔力を感じる」
クラウドがそう言うと小さい方の子どもが手を隠した
「見せて」
見ると、指先が石化しかかっている
「異常な魔力と共にいる時間が長かった為に影響が出たと考えられる」
ああもう!絶対面倒ごとじゃない!
でも、もう乗りかかっちゃったし……
「お母さんを助けてあげるから全部話して最初からね」
子ども達の話を聞くとこうだった
この子達の父親が貴族で母親はメイドだった
2人は恋仲になったが大奥様にバレ、メイドは屋敷から追い出された
その頃お腹の中にはこの子達が……そして街の外れで子ども達を産んだ
兄妹だと思っていたが双子だったらしい……
父親の方のはメイドが忘れられなかったが、
家の為に別の女性と結婚したが死別
そして、街でメイドと再会し、自分に子ども達がいることを知る
そして、屋敷に連れ帰り、めでたしめでたしという訳らしい
……ややこしい上に面倒な家の子どもを助けてしまった……
最初は4人で仲良く本邸で暮らしていたらしい
だが、母親の体調がおかしくなると大奥様にこの小屋に追いやられたと……
話を聞く限り、怪しいのは大奥様だけど
何故父親は大奥様の言いなりな訳?
「ティルト、呪いを辿れる?」
私には魔力が見えないので判断できない
「うーん、多分、媒介が近くにあると思うのだ!」
「媒介?」
「呪いの藁人形とかなのだ!」
藁人形ってまたベタな
「そういうものをこの家で見たことは?」
「ないよ!」
「……し、知ってる」
「チャミ、知ってるってどういうことだよ」
「執事のワトソンがこの間、藁人形持っていたのを私見た!」
「ワトソンって?」
「さっきの執事だよ」
「それじゃ執事さんに話を聞きにいきましょう、アイザック」
「はいはーい、やっとお兄さんの出番だね
もう忘れられてるのかと思っちゃったよ!」
その後、さっきの執事を探したが見当たらない
他の執事に尋ねると大奥様の使いで外に出たとのことだった
師匠と住んでいた時に呪術についても学んだ
私には適正はなあったので使えないが……
解除の方法は3つしかない
1つ術者自身が解除する
2つ術者が死ぬ
3つ呪術返しを行う
「なあなあミコ、ティルトのフランシーヌなら呪いも食べられると思うのだが?」
「……一応聞くけどフランシーヌって?」
「食人花なのだ!
あ、でも、口に咥えて呪いだけ食べたらペッさせるから大丈夫なのだ!」
何が大丈夫なんだか……
「あの母親の方はだいぶ呪いが進行していたのだ
だから、早く食べてしまったほうがいいのだ」
「その食べるってのは呪い返しに当たる訳?」
「違うのだ
呪いの的をフランシーヌに移すだけなのだ
だから、呪い自身はなくならないのだ!」
母親を助ける為には食人花に食べさせるのが1番だけど
それじゃ、呪いの抜本的解決にはならない……
……結局、執事は夕方になっても帰ってこなかった
子ども、ヴァンに明日訪ねることを約束し、その日は夢見草に帰った




