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最後の戦い

「避けて!!」


 俺達は魔力節約の為に『変身』を解き、敵の攻撃を避ける。魔術料理人と名乗るその男は、フライパンやおたまに魔力を乗せ、衝撃波を飛ばしてくる。


「危ない!!」


 俺は魔力を使って脚力を強化し、スティーミを体当たりで飛ばす。俺は敵の技の直撃を受けたが、『絶対防御』を同時に発動していたので助かった。


「まだまだあっ!!」


 敵は腰に投げた包丁を何本も投げつけてくる。それらも俺に直撃し、俺は魔法のおかげで傷こそ浅いものの大ダメージを受けた。


「くっ!!」


「これで終わりだ!!」


 敵はフライパンとおたまを直接俺に叩きつけてとどめを刺そうとする。しかし、そこでスティーミが『超風圧』で敵を弾き返した。


「ぐわっ!!」


 俺は立ち上がり、スティーミに呼び掛けた。


「行くよ!!」


「うん!!」


 ドン!! と俺達の攻撃が音を響かせる。二匹の魔力をフルに使った体当たりで腹を突かれ、敵は気絶して仰向けに倒れた。


「やった……遂に、夢の島に……行けるんだ!!」


 俺達は人間の姿に『変身』して抱き合い、そして船に乗ってピオーグアイランドへと向かった。


「ソーテ、あのね」


「なに?」


 スティーミは人間状態の俺の鼻をつついて耳元で囁いた。


「人間の時の姿もかっこいいよ」


 船の上で、俺達は静かにキスをした。

 いつまでもこのままでいたい、そう感じた。

 以前聞いた通り、ピオーグアイランドは、たくさんのオークが暮らす平和な島だった。この世界のオークの好物の果物もたくさんある。


「凄い……こんなところだったなんて……」


 俺達は『変身』を解除することも忘れ、この光景に見とれていた。

 辺りを見渡すスティーミの元に、空から何かが降りてくる。


『ここは名も無い夢の島。我が庭へようこそ』


 その聞き覚えのある声に俺は思わず振り返る。そこにいたのは、間違えて俺を高級オークにして転生させた神様だった。


「あ、あんたは、あのときの神様!!」


『久しぶりだのう。まさかお主がここに辿り着くとは、転生を失敗したときは焦ったが、結果オーライだったな』


「ここは、一体どこなんだ?」


 俺は神様に詰め寄る。


『ここは私が造った楽園だ。しかし、世界中の生き物が住むには小さすぎた。だから、汚れなきオークにしか到達できない特殊な島にしたのだ』


「汚れなき、オーク……?」


『ああ。オークは人間からは穢れたものとして扱われることが多いが、オークには純粋な心の者が多い。勿論、オークの中でもこの楽園に辿り着けるものは少ない。この島にお主を転生させたときにはまさかここに来ることが出来る者だとは思わなかったが……』


 神様はスティーミを一瞥した。


『出会いがお主を照らしてくれたようだな』


 それを聞いた俺はスティーミを見る。

 目が合った。思わず目を背ける。

 恥ずかしくなり見上げると、青空が広がっていて清々しい気持ちになれた。

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