表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

運命の出会い

 その子は驚く俺にこう言った。


「あなたも私と同じで「祝福」されちゃったんでしょ?」


「えっ?」


 祝福? チート魔法のこと? それとも高級肉になっちゃったこと?

 言われたことを理解できずに混乱する俺に彼女は続ける。


「私はスティーミ。私も最近体が金色になっちゃって群れを追われたの。家族は皆違うのに、私だけ祝福されちゃって。ただでさえ祝福されたオークは高級肉として人間から狙われる上に、一人ぼっちで追放されるなんて、もう絶望だよね」


「えっ、じゃあ、自分が高級肉だからって家族もそうとは限らないの?」


 俺の問いに彼女、スティーミは頷く。


「うん。あなたは祝福されたオークについて群れにいる間に教わらなかったみたいね。突然変異みたいにして生まれちゃうから、本当に珍しいの。成長するまでは体の色も変わらないし」


 そういうことだったのか。まさか厄介の種だから追い出されたなんて。


「昔は仲間達からも本当に祝福されてたんだけど、人間達が祝福されたオークの肉を好むってことがわかってからは、祝福されることは絶望的なことだとされてるの……」


 スティーミは悲しそうだ。それも当然だろう。生き抜くことは非常に困難だといっていい。


「いつ捕まったり殺されちゃうかわからないけど、でも、仲間がいる方が少しでも安心だから、せめてやられちゃうまで一緒にいようよ」


 悲しい話だし可哀想だが、確かにそうかもしれない。いや、他人事ひとごとじゃないんだった。

 しかし、そこまで聞くと、あることが気になったのでそれをスティーミに言ってみる。


「あの、スティーミは魔法って使えるの?」


 俺の質問に、彼女は怪訝そうな顔をする。


「魔法? 人間が使うやつ? オークには普通使えないでしょ?」


 他の世界は知らないが、この世界のオークは魔法が使えない。人間ならば、修行を積んだ一部の者だけが使える。それがこの世界での魔法だ。

 そこで俺はいくつか魔法をスティーミに見せることにした。


「ちょっと見ててね」


 集中力を高めようと深呼吸する俺を見て、スティーミはきょとんとしている。

 まずは『火炎放射』だ。その後に『雪降らし』、『植物操作』、『瞬間移動』といった具合に続ける。

 もっと続けようかなとも思ったが、いくらチートといえど魔力の消費はあるので、この辺でやめておいた。


「どうなってるの……?」


 ほとんど言葉が出ない様子のスティーミ。それもそうだろう。神様にこの力を与えられた俺は相当イレギュラーな存在なのだ。

 俺は全てを正直に話す。俺が元々別世界の人間であること、転生のこと、チート魔法のこと。

 流石に驚くスティーミだったが、彼女は信じてくれた。俺が言ったことも、俺自身のことも。俺が元人間で、今の祝福されたオーク達にとっての敵だったことを知っても、前世のことだから関係ないと笑ってくれた。


「信じてくれてありがとう。俺の名はソーテ。これからよろしく」


「うん、よろしくね、ソーテ。ところでこれから行くところなんだけど、ピオーグアイランドって知ってる?」


「ピオーグアイランド?」


 当然、知らない。


「そこはね、オーク達の楽園と呼ばれる島で、たくさんのオークが平和に暮らしているの。私達と同じ祝福されたオークもいて、そのオーク達の力で外敵の侵入を阻んでいるのよ。だからそこへ行こうと思うんだけど、どう?」


 不思議な話だが、行ってみる価値はある。俺は少し考えると笑って頷いた。


「うん、わかった。一緒に行こう」


 こうして俺達は夢の島ピオーグアイランドを目指して旅に出た

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ