プロローグ
窓の外から、蝉の鳴き声がする。
「……うっせぇ…元気すぎだろ…」
カーテンが閉まったままの窓を睨みつける。
真昼だが、部屋は暗い。
カーテンを開ければ良いのだが、開ければ灼熱の太陽が俺を迎えることになるだろうから、開けない。
2年前に外を出て以来、この部屋から出ていない。
世間一般的に…いわゆる…「引きこもり」
本来、学校に行っていれば、俺は高校二年生である。
ネットゲームをしている途中だが、パソコンの電源をきる。
色々なネットゲームを、この2年間やってきたものだが、そろそろ、飽きてきた。
「……昔のゲームでもやるか…」
小さく呟く。
椅子から立ち上がり、クローゼットを開け、奥の方にある段ボールを取り出す。
懐かしみながら、ゲームを一つ一つ見ていく。
と、ここで。
「…なんだこれ…」
それは、一番下に綺麗な赤の包装紙があった。
手に取ってみる。
重さ的には、普通のゲームと同じ。
「…開けてみるか…」
兄貴や、妹のだとしても、こんな所に入れるのが悪い。
開けてみると、パッケージには絵がなく、ただDVDらしきものが入っているだけであった。
「…珍しいな…ふむ。やってみるか」
好奇心旺盛なのは良い事だ、うん。
自分に言い聞かせて、パッケージからゲームのDVDを取り出し、ゲーム機に入れ、電源ボタンを押す。
『Another story』
もう1つの物語…。
スタートボタンを押す。
『……ようやく来た…』
可愛らしい声がしたかと思うと、
……テレビ画面から、光が溢れだした。
「…は?なんだこれ!?」
成すすべもなく、俺『榊野 勇太』は、光に包まれた。