橋脚の根元に僕の顔が貼り付いていた、
悪夢の中で目覚めたとき、本当に恐ろしいのは「自分」を見失うことかもしれません。
一瞬で不条理な狂気へと引きずり込む、短くも濃密な怪異の記録です。視界の歪みと痛みのリアルな手触りを、どうぞ足元から感じてみてください。
真夜中、自分の部屋で目覚めると、視界が奇妙に低かった。
何かがおかしい。腕も脚も動かない。いや、動かすための身体そのものが見当たらなかった。必死に眼球だけを転がすと、視界の端に異様なものが映る。
ぐにゃりと関節が逆を向き、不気味に蠢く巨大な一本の生肉の足。その肉塊の「足の裏」から、僕は外を眺めていたのだ。皮膚と肉が融解して融合し、足裏の皮膚の皺と僕の顔面が重なり合っている。
タッ、タッ、タッ。
頭上から響く重苦しい足音。狂気に満ちたその「脚」が地面を蹴るたび、僕の顔面は冷たいアスファルトに強く押し潰され、鼻骨が砕ける嫌な音が頭ろくに響いた。口の中に砂と自分の血が流れ込む。
「痛い、やめてくれ!」
叫ぼうとしたが、口は足裏の肉に縫い付けられて開きもしない。
やがて脚は立ち止まった。ゆっくりと、僕の顔面が真下の「暗闇」へと向かって踏み下ろされる。そこには、口を大きく開けて待っている、もう一人の僕の顔があった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日常がふとした瞬間に反転し、自分という存在すら侵食されていく恐怖を描いてみました。足裏の冷たさや痛みの感触が、少しでも皆様の皮膚に届いていたなら幸いです。
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