魔力
東京での魔力が確認された
こうなった以上戦士たちも各々戦闘体制をとり、魔力周辺の人々を避難させる
「まぁあいつらなら大丈夫か」
「随分と仲間思いだなぁ〜」
「あぁ!信頼は大事だぜ兄ちゃん?」
「ガンダだ、よろしくね〜」
若い男は笑った
東京、品川のとあるビルの上でキィと若い男が話している
「見逃しては〜くれなそうだねぇ〜」
「そうだな
悪いが重罪だ。
ここで消えてもらう」
「ん〜参ったねぇ〜
こんな子供を殺すのは、趣味じゃないんだけどねぇ〜」
ゆっくり喋る男だが、目は既に戦闘モードに入っている
キィは散策中にたまたま男が扉を開いた瞬間を見ていた
キィも召喚魔術で刀を出し戦闘体制に入った
―
「さっきの魔力…あーなるほどね〜」
「とうとう現れたようだな」
渋谷で異変に気づいたシルビアとモーザ
突然未知の力が世界に現れたせいかこうゆう異常に子供は敏感だ
道に座って泣き出してしまった
シルビアが腰を下ろしてその子を頭を撫でた
「大丈夫だよー、悪い人達は私たちがやっつけちゃうから
早くお母さんの元に帰りな〜」
優しく微笑んだら子どもも泣き止んで走り出した
「向かうかシルビア?」
「ん〜あんまり周りまで迷惑かけないでほしいよね〜」
そうゆうとシルビアは召喚魔術で自身の錫杖を取り出して一回ついた
「それじゃあ行きますか」
2人はすぐに新宿方面に向かった
―
一方この頃新宿では戦いが既に始まっていた
「ねぇ君、あの人あなたのお父さん?」
「そうですよ。それが何か?」
「いや…ところであなた達の目的は何?」
「あれ?もう気づいていると思いましたが…」
「扉を開けたのね」
少年の返答がなくなる
やっぱ気づいているなという顔をした
「重罪だって知ってるよね?」
「知ってますよ」
罪の意識はある
何でこんな子供がこんな事をするのだ
リナの表情が少しずつ険しくなってくる
「何でこんな事…今ならまだ」
「うるせぇんだよ!」
突然の少年の大声にリナも驚く
何かを背負っている。それは確かなようだ
「死ぬ気でやれよ…七人の戦士!」
少年が手に魔力を込める
本気な殺意、もう戻ることはできないようだ
「そう…」
リナが悲しそうに発した
もうこの子を救うことはできない。何があったのかはわからなかったけどここまで追い込まれている事態があったことは事実。
気持ちはわからなくはない。かつて自分も同じ目をしていたから…
召喚魔術でリナは大きな戦槌を出してゆっくり構えた
「"神器・魔槌 トール"
ごめん、もうあなたを救えない」
2人の戦いはさらに激化していく
― 新宿中央公園にて
こちらも戦闘が始まろうとしていた
「お嬢さんどこかで見たことある気がするなぁ」
「あらそうかしら?一応元王女なんでね。
あなたは何者なの?」
「わたしか?わたしはゾルンと言うものだ。
ちなみにさっきの子は我が息子のオウザ」
「わたしたち会ったことないよね」
少し気味が悪い
そもそもユキが王女だったのは50年以上前のことだ
男性の見た目はちょうど50歳前後。知っているわけがない
「あなた、人間じゃないわね」
「それは、お互い様だろう」
ゾルンは頬を上げて答えた
「まっ!どっちみちわたしはここで死ぬんだ…
せいぜい邪魔させてもらうよ」
言い終えると同時に一気に距離を詰めてくる
刹那ゾルン拳がユキを貫いた
(!?感触がほとんど無い!実体じゃ無いのか?)
「残念だったね」
ユキが右手を挙げると同時に危機を感じたゾルンが後ろに逃げる
「何なんだ、君の魔力は」
「私の魔力は"氷雪"
氷と雪の性質を自在に操れる」
「なるほどね。さっきから体の動きが鈍いのは体温低下によるものか…
シンプルかつ恐ろしい魔力だね」
追い詰められているのは確かだが、ゾルンからは焦りが見られない
「相性はまぁ〜五分五分ってとこだね」
「っ!!」
ゾルン両手を地面についた
「知ってるかい?土にはアルミニウムが含まれているのだよ」
公園の土のアルミニウムが槍状になって生成される
「我が魔力は"錬成"!
そしてアルミは冷えるほど強度も上がる。
お分かりかな?もう勝ち目はないよ?王女様」
魔力を利用する戦術、戦い慣れしているようだ
そしてユキはあることに気がついた
思い出したくない過去の記憶…
―50年以上前の話―
旧大陸の北側にある雪の王国"スノーベントレー"
この国では魔力の私的利用を禁じていた
魔力による差別や上下関係が珍しくない世界だったが、それを良しと思わなかったユキの提案によって国王が動いたのだ
結果は失敗だった
良くも悪くも魔力が使えると言うことは人々の中で一定の均衡を保つために必要だったのだ
魔力禁止に対する反対運動が行われ、ついには反対派からの反逆が始まった
ユキは国と両親を失った
魔力に触れていない肯定派は反対派に歯が立たなかった
彼女の両親は、王城内で串刺しにされて絶命した
―
「そうか…お前が…」
「んぉ?」
周辺の気温がどんどん落ちていき、芝生すらも凍りついてきた
「お前が殺したのかぁぁぁぁ!」
ゾルンが攻撃をするよりも前にユキが巨大は氷壁で周囲を巻き込んで攻撃した
「あれは!ユキ?」
「父…さん?」
少し離れたところで戦っているリナもユキの魔力の増幅に驚いていた
「リナ、向こうに行ってやれ」
1人の男がゆっくり歩いてきた
両手に異様な形の剣を持って
「ルキア!」
「ここは俺がやろう。あっちの様子を見てきてほしい」
「…わかった」
ルキアに託してリナはすぐにユキの元へ向かった
「次から次へと…」
「悪りぃな小僧。すぐに終わらせてやる」
「くっ!」
その言葉にオウザがイラついて一瞬で距離を詰めた
だがルキアは冷静に攻撃を交わしてオウザの腹に膝蹴りのカウンターを入れた
ドサッ!っと鈍い音がした
「〜〜〜〜がはっ!」
「お前、何で魔力を使わねぇ」
「ぐッ〜〜〜、うる…せぇ…」
吐きそうになりながらも何とか正気を保っている
この2人には圧倒的な差があった。というよりリナとも差があった
「俺はリナのように甘くはないぞ。
さっさと魔力を使え」
「うるせぇぇぇぇ!」
上体を起こすと同時にルキアに拳を打ち込んだ
グサッ!
拳に構わずルキアはオウザの横腹に片方の剣を刺した
とっさにオウザはルキアと距離をとった
「はぁっ!はぁっ!ははっ!こんな程度じゃ死なねっ!?」
突然目の前の景色がぐるぐる回転した
(あれ…?何だこれ?体が言う事を聞かない!
空が暗い…)
ルキアの扱う双剣は東の大陸に住む毒蛇を素材としている
その毒は青酸カリの1万倍の効果を持つ
「残念だよ…君の全力を見てみたかった。
さて!俺も向かいますか」
―
「オウザがおちたか…」
「俺の仲間は優秀なんでね!」
品川にてキィとガンダが戦闘していた
「悲しまないのか?」
「ん?あ〜そうゆう意味ね〜」
キィはガンダが仲間の死を悟ってニヤついたのを見逃してはいなかった
「どうでもいいね〜そんな事
全部ただの過程に過ぎないから」
「どうゆう事だよ」
意味深な事を言うガンダにキィも少し戸惑った
「君は知る必要ないんだよね〜
君も過程の一つだからね〜」
「ああそうかよ。んならその過程とやらをぶち壊すまでだ」
とにかくこいつらの思い通りにさせてはいけないと直感した
必ずここで仕留める
「魔力解放…」
「!!」
突如キィの視界が明るくなる
ガンダの魔力だ
「発砲」
キィも防御体制をとった
直後ドカーン!と爆発音をあげてキィは吹き飛ばされた
数十メートル吹き飛んで立ち上がった
「ってぇなー
まぁやられっぱなしも性に合わなぇわな
気合い入れますか!」
パシッ!っと両頬と叩いて気合いを入れ直した
「あれ?生きてるじゃ〜ん」
「いい魔力だな!うちの国の騎士団なら歓迎されるぜぇー」
「めんどくさいのは嫌いでねぇ〜
僕の"大砲"だったら国ごとぶっ壊しちゃうなぁ〜」
「安心しろよ
井の中の蛙って事を思い知らせてやる」
キィはゆっくりと刀を構えた
「魔力解放」
キィの持つ刀の刀身が伸びた
異様なオーラを発している
(何だあの刀?明らかに普通ではない!奴の魔力か?)
魔力を解放した以上キィ本人の魔力だと考えた
普通の刀だとしたらそれが正しい
「神器"破刃 ホムラ"!」
「っ!!」
「さぁ、こっからが本番だ!」
お互いの魔力の使用、今2人の激闘が始まろうとしていた




