表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】二周目の人生で学園無双 ~人類最後の冒険者、【絶滅エンド】を避けるため成り上がる~  作者: 絢乃


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/22

017 謎のカリキュラム

 翌日も、俺はアリサと過ごした。

 二人で散歩したり、ファミレスでランチをしたり。

 まるで恋人のように過ごしたあと、夕方ごろに解散した。


 両親からは、

「おいレン、ちゃんと避妊はしただろうな!?」

「あんた国魔に受かったり恋人ができたりどうしちゃったの!」

 などと言われたが、面倒だったので適当に流しておいた。

 ちなみに、俺とアリサは別に付き合っていない。


 そんな休日の余韻を残しつつ、さらに次の日。

 つまり、今日――いよいよ、国魔での授業が始まった。


(入学式の日にテストがあったせいで今日からって感じがしないな)


 そんなことを思いながら校門をくぐる。

 その瞬間、スマホがピロローンと間抜けな音を鳴らした。

 国魔の専用アプリだ。


 国魔では、このアプリに授業内容が送られてくる。

 休んだり遅れたりする時の申請もアプリを通して行う仕組みだ。


『402号室へ行くこと』


 最初の指示はそれだけだった。

「腕立て100回」等の内容を想像していたので拍子抜けする。


(つーか、402号室ってどこだ……)


 とりあえず校舎に入った。


 普通の高校と違い、この学校にはPT単位でカリキュラムが決まる。

 また、どんな授業を受けさせられるのかはその日になるまで分からない。


 この点については、入学式の日にシズハが教えてくれた。

 国魔のカリキュラムは、人間ではなくAIが決めているそうだ。

 PTの状態を診断し、最善の内容を自動的に決定するという。


「ここだな」


 ようやく見つけた402号室は、かなり小さな教室だった。

 一般的な教室の半分、いや、3分の1程度の広さしかない。

 扉は一つだけで、廊下からは中の様子が見えない仕組みだ。


「初日から時間ぎりぎりじゃん!」


 扉を開けた瞬間、アリサが声を掛けてきた。

 教室には、彼女の他にユキナとシズハもいる。

 他の生徒はいなかった。


「おはようございます、レンくん」


 ユキナがペコリと頭を下げ、シズハも「おはよー」と挨拶してくる。

 俺は二人に挨拶を返しつつ、教室の内装に目を向けた。


 黒板やホワイトボードはなく、代わりに大きなモニターがある。

 校内放送用のスピーカーと、あとは監視カメラが設置されていた。

 その他の点は普通の教室と同じで、教壇や生徒用の机など。


「昨日、ちゃんと眠れなかったの?」


 アリサが心配そうに尋ねてくる。


「いや、普通に眠れたよ。ただ402号室が分からなくて迷っていた」


「あはは。LINEで聞いてくれたら教えたのに!」


「そうか、LINEがあったな、忘れていた」


 他愛もない会話を繰り広げる。

 しかし、このやり取りにシズハとユキナは驚いていた。


「アリサさん、雰囲気が柔らかくなったね。土曜日のデートがそんなによかったの?」


「すごく楽しかったですよ! 実は土曜だけじゃなくて昨日も一緒に過ごしていたんですけどね」


 アリサが嬉しそうに話す。


「え、昨日も!?」


「私が無理を言ってレンに泊まっていってもらったんですよ」


「泊まった!? じゃあ、二人は早くもそういう……?」


 アリサの説明を受けて、シズハは完全に誤解していた。

 ユキナにいたっては「羨ましい……」などと意味不明なことを言っている。


「違いますよ、シズハ先輩。たしかに泊まりましたけど、先輩の言う“そういう”アレ的なやつじゃありませんから!」


 俺は慌てて釈明した。


「なんにしても、アリサさんが友好的になってくれて助かったわ。改めて、よろしくね」


「は、はい、よろしくお願いします! 入学式の時は……本当にすみませんでした……!」


 アリサはペコペコと頭を下げ、シズハやユキナと握手を交わす。

 それが済んだら、俺たちは適当な席に座った。


「シズハ先輩、今日はここで何をするんですか?」


「私も分からないわ。もうすぐ時間だから、モニターに表示されるんじゃないかな?」


 シズハ先輩がそう言った瞬間、壁際のモニターがピカッと光った。

 本日の活動内容が表示されている。


『メンバー同士の信頼度向上を目的とした強化プログラム』


 ご立派なタイトルだが、内容はふざけたものだった。

 ジェスチャークイズ、伝言ゲーム、似顔絵当て、エトセトラ……。

 いわゆる「コミュニケーションゲーム」と呼ばれる類のものだ。


「何これ、アホらし。私たち、遊びに来たんじゃないんだけど」


 アリサは大きなため息をついた。

 苛立った様子でモニターを睨んでいる。

 そんな彼女を、シズハ「まあまあ」となだめた。


「むしろラッキーだったと思おうよ!」


「このお遊びのどこがラッキーなんですか?」


 アリサが飛び掛かりそうな勢いでシズハを睨む。

 俺も同感だった。


「だって、この授業も評価に含まれるのよ。ほら、あそこにカメラがあるでしょ? あれで私たちの様子を記録して、AIが成績に反映するの」


「つまり、今日はここで楽しくわいわいするだけで満点ってこと?」


 俺が言うと、シズハは「そういうこと!」と笑顔で頷いた。


「そう考えたらラッキーなのかも? 15位に落ちたばっかりだし……。でも、こんなんじゃミコト様みたいになれない気がする……」


 喜ぶべきか怒るべきかが分からずに困惑するアリサ。


「わ、私、こういうの苦手です……」


 ユキナは不安そうな表情を浮かべていた。


「AIが考えてくれた内容だし、きっと役に立つよ! 騙されたと思って取り組んでみましょ!」


 シズハが話をまとめる。

 俺とアリサ、ユキナは頷いた。


「それにしても、何でもかんでもAIだな……」


「2040年はもっとAIが普及していたんじゃないの?」


 アリサがニヤニヤしながら言ってくる。


「俺が言うと『しょうもないネタを擦るな』とか言ったくせに、自分が言うのはアリかよ」


「合わせてあげてるのよ! レンも協調性ってものを身に着けることね」


 俺は苦笑いでため息をついた。


 ◇


 俺たちは指示に従ってコミュニケーションゲームを始めた。

 最初は馬鹿にしていたが、実際にやってみると普通に面白い。

 他の三人も楽しそうに笑っていて盛り上がっている。


 だが、しばらくして問題が発生した。


『1年の王城レン、至急、校長室へ向かうように』


 突然、呼び出しの校内放送が流れたのだ。

 俺たちの顔から笑みが消え、一転して静かになる。


「レン、あんた、何かやらかしたの?」


 アリサが心配そうに顔を覗き込んでくる。


「いや、特に思い当たることはないけど……。呼び出しってよくあることなんですか?」


 俺はシズハに尋ねた。


「職員室に呼ばれることは稀にあるけど、校長室への呼び出しは初めてだわ」


「レンくん……大丈夫?」


 ユキナも不安そうな表情で俺を見る。


「とりあえず行ってくるよ。呼び出しが理由で抜けるわけだから、AIだってマイナス評価はしないだろう」


「これからって時に退学処分とかされたら許さないからね!」


 アリサが言う。

 入学式の時に退学を迫ってきた人間とは思えないセリフだ。


「そうならないことを祈る……というか、そうなってたまるか!」


 俺は立ち上がると、カメラに向かって言った。


「AIさん、減点しないでくれよ! 教室を抜けるのは俺の都合じゃないんだから!」


 カメラが頷くように上下に動いた。


「じゃ、またあとで!」


 俺は教室を出て校長室に向かう。

 用件が全く見えないため、胸中がざわついていた。

評価(下の★★★★★)やブックマーク等で

応援していただけると執筆の励みになります。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ