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流れ星  作者: 遠藤 敦子
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 僕は高校に入学してから2年間で16回告白された。その都度「ごめん、好きな人がいる」と断ってきたのだけれど、好きな人というのは同じ文芸部の1年生の後輩の巣山(すやま)しま子だ。小柄で可愛らしい見た目のしま子ちゃんは男子からの人気が高く、僕なんかが付き合える相手ではないと思っていた。それで振られても良いから気持ちを伝えたいと考え、部活終わりにしま子ちゃんを呼ぶ。

 「しま子ちゃん、話があるんだ」

僕がそう言うと、しま子ちゃんは「話ってなんですか?」と不思議そうな顔をしている。部活が終わったので、部室には今僕と彼女しかいない。これは絶好のタイミングだと思い、話を切り出した。

「ずっとしま子ちゃんのことが好きだったんだ……。僕で良ければ付き合ってほしい」

僕がそう告白すると、しま子ちゃんは

「私も坂巻(さかまき)先輩のことが好きだったんです。私で良ければよろしくお願いします」

と言ってくれたのだ。こうして僕としま子ちゃんは恋人同士になる。

 付き合い始めてからは、部活帰りに一緒に帰ったりショッピングモールでデートしたりしていた。高校生なのでお金のかかるようなデートはできないけれど、僕たちは誰もが認める仲良しカップルだ。「お前ら仲良いのな」と冷やかされたこともあるくらいだった。しかし、付き合って10日後に僕たちの関係にひびが入ったのだ。

 「私、中学生時代に同級生の男子にストーカーされたことがトラウマになってるんです。レイプしてやるって言われて、机に無理やり押し倒されたこともありました。坂巻先輩と付き合ってトラウマがフラッシュバックして、もうこれ以上付き合い続けるのは難しいです……。ごめんなさい」

しま子ちゃんからLINEが来たことで、僕たちの関係はあっけなく終わる。僕への好意はあるけれど、しま子ちゃんは中学生時代のトラウマで誰かと付き合うのが怖いと言っていた。

「一緒にトラウマを乗り越えよう。俺が守るから」

「ずっと待ってるから」

と送ったけれど、しま子ちゃんの心に僕の言葉は響かなかったのだ。

 しま子ちゃんと別れて以来、僕は学校に来るのが辛いと思うようになった。文芸部では僕たちが別れたことはすでに知れ渡っており、興味本位で

「しま子ちゃんと別れたんだって? 何があったの?」

「あんなに仲良かったのになんで別れたの?」

と詮索されることが増えた。その都度僕は適当にのらりくらりと交わしたけれど。

 お互いに好きでいるのに付き合うことはもうできない。別れてもなお、同じ部活なのでしま子ちゃんを避けることはできない。文芸部にはカップルが何組かいるのに、どうして僕たちはうまくいかなかったのだろう。そう思うと、唯一の息抜きだった部活に行くことも苦痛だ。小学校教員になりたくて国立のS教育大学を目指しているけれど、なかなか勉強に集中できなかった。

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