『アクティブ……』解説
『アクティブ……』の解説です。
これも簡単な話ですね。この男は全く逃げることができずにゾンビに囲まれてしまったのです。それはなぜか。アクティブという言葉の続きにありますね。主人公は忘れてしまっているようですが、これはアクティブセーフティのことです。これは能動的に事故を未然に防ぐというシステムで、異常事態の前兆監視と、前兆現象が確認された場合の正常状態への回復(または異常事態の回避)動作とネットでは説明されています。すなわちモノやヒトにぶつかりそうになるとその手前で止まるようになっているのです。まだまだ技術的には実用化には早いですが、最近の車には搭載され始めているとかも聞きます。
しかしここで問題なのは、ゾンビが現れた時の人工知能の反応です。さて、人工知能は事故を防ぐことを最優先としている存在です。ならばゾンビを跳ねることは全くできないのです。しかもゾンビは理性がないので、歩道だけでなく車道にもワラワラといるわけです。しかも主人公がいるのは都会です。どんなに運転技術が高くてもそんなところをぶつからずに運転することはまず無理でしょう。もしかしたら同じように逃げようとして立ち往生したり事故を起こした車が路上にあるかもしれません。
そして人工知能の判断によってゾンビにぶつからないように寸前で止まってしまい、周りをゾンビで囲まれてしまったのでしょう。こうなってはもう逃げようがありません。彼は助けが来ないまま、一人寂しく死んでいくことになります。しかも食料なんてすぐに尽きるでしょうし、排泄物も車内で出すしかありません。空腹による苦しみは激痛となって襲い続け、糞尿とその臭いに曝されながら様々な感染症に侵されていくでしょう。もしかしたら肉が腐っていくかもしれませんし、どこからかうじもやってくるかもしれません。最後はそれらを払う力もなくなります。さらに窓の外にはゾンビの姿が消えること無く、恐怖する声が響き続けるのです。車もグラグラと揺らされるかもしれません。孤独の中、肉体的な苦痛と精神的な苦痛に苛まれながら彼は死んでいくのです。
こんな事態になってもアクティブセーフティのついた車を買いますか?切り替え機能がほしいところですね。
というかもっと明るい話を思いつきたいんですけど、なかなかに難しい。こんな話ばかりですみません。今回はゾンビに囲まれるというより、その死に方のほうが怖かったかな?
そう言えば機械任せに関連して一つ考察したことがあります。自動運転ですが、あれって需要があるのはタクシー会社ではないでしょうか?私のメインで書いている作品でもタクシーは自動運転を町中で実験的に導入していましたが、自動運転にはなんと言っても大きな利点があるので。それは人件費が全く掛からないということです。それも資本さえあれば個人経営のタクシー会社だって原理的には可能なのです。タクシーは運賃が高く、利用者もどんどん減っているらしいのですが、これの導入がなった時運賃も相当に安くなるのではないでしょうか?車検など色々考えなければいけませんが、私は素人なのであまり調べていません。しかしもし運賃が今よりも非常に安くなってしまった場合、バスも自動運転に変えざるを得ません。なぜなら自動運転車のほうが住宅街などに入れて便利だからです。安くて自分の家の前に5分前に来てくれるシステムがあったらバスよりもそちらの方を皆使うことでしょう。下手したらバス業界は大打撃を受ける可能性もあります。もしかするとバスが必要なくなってしまうなんてことも?棲み分けもこの狭い日本では難しいでしょうし、その点から考えると完全自動運転はデメリットが大きい気がします。ですので、アイロボットの主人公が使っていた車みたいに自動運転と人間の運転を切り替えることができる車を開発しなければなくなります。ここで重要なのは自分で運転するという点で、運転することが楽しいと感じたり、かっこいいと感じるヒトもそれなりに多くいます。そういう需要元を確保しておかないと自動車会社は自分の首を締めることになると思います。多分そういうことは皆理解しているだろうから、完全自動運転は宣伝文句で、会社のために完全自動運転車だけを生産することは絶対にありえないでしょうね。まあ、様々な商品を持っているからこそ生き残れるのですから、こんなことを考えなくても皆分かってるのでしょう。さて、自動運転が齎す結果はどんなものか考えると面白いですね。