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意味が分かると○○な話  作者: 破月
7/18

アクティブ……

 これはちょっとだけ未来の話。とある都会の男の話。




 俺は車に乗ることが好きなんだ。仕事の通勤にも車を使うし、週末なんて町中を乗り回すことが趣味な極普通の平社員さ。休日なんか600kmは走っているし、もう楽しくて楽しく仕方ないんだ。サーキットライセンスも取って、昔はレースにも出場していたんだ。今でもグリップやドリフトなんてお手の物。なんなら彼女乗せて乗り回してみたいねぇ。


 まあ、彼女はいないけどな。


 一日の走行距離限度はだいたい250kmとか、300kmとか言われているが、今の俺には関係ねぇ。なんと言ってもこの新しい最新式の車があるからな。結構な額がしたが、この俺にはピッタリの車だったんだ。


 この車には最新鋭の人工知能が搭載されていて安全性が随分と向上したんだ。確か車を買った時の説明でアクティブ……なんとかと言っていたが、それはどうでも良い。兎に角安全ならそれで良いんだ。実験映像を見せてもらったが、居眠り運転を再現した衝突実験で衝突寸前で止まったのを見た時はそりゃ驚いたもんだった。だってありゃあ、時速120kmは出ていたはずだ。それでぶつからなかったのだから大したもんだよ。あの映像を見てこれを買うことを即決したね。


 これならどんなに激しい運転したって交通事故なんて起こらない。お高いが皆も買ってはどうだろうか?


 そんなある日に事件が起きたんだ。そのニュースを見た時は流石の俺も目を疑ったよ。なんだって、ゾンビが街中に現れたっていうんだからな。ここで俺は確信したね。俺のドライブテクニックなら簡単に逃げられると。それに俺は独身だ。親も他界したし、友達なんて作ってる暇なんかあったらドライブしてる。だから何も考えずに逃げられるのさ。後ろめたいことなんて何一つない。なんと幸運なのだろう!


 このまま車を乗り回して安全な場所まで逃げよう。そうだな。自衛隊の基地までこの車で全速力で向かうことにしようか。さあて、目の前にゾンビ共がいるな。追いつけるもんなら追いついてみやがれっ!




 その後、この男はゾンビに囲まれ車の中で苦しみの果てに死んだのだった。

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