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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

この任務が終わったら俺……

作者: 飢えた娘

見切り発車なの。

許してなの!

「結婚するんだ」


誰かがひゅっと息を呑んだ気配がした。


任務遂行中の傍ら、そう言い切った青年、カイザルは静かに拳を振り上げながら呟いたのだ。


唐突だった。


あまりにも唐突だったのでそれを耳にした仲間たち、第三小隊の面々はぎょっとしてカイザルへと視線を向ける。


「いやお前このタイミングでそれはねーべよ」

「ん!ん!」


片田舎の出のウッドとその双子の弟、無口のドルトが首を縦に降った。

二人の目は信じらんねーとばかりに見開かれてる。


「いや、なんか唐突に感極まって心の声が漏れた。すまん」


カイザルはこの遠征で伸び放題になった無精髭をジョリジョリと撫で付けながら二人に謝った。

そう、この遠征が終われば任期が終わり、晴れて故郷の村に帰れるのだ。


この国、ガザニア連邦公国は四方が魔の森に囲まれ、人類は常に魔物との成層圏の奪い合いを果たしていた。

ある一定の範囲内の地形の中心には、オブジェクトオーブと言うものが存在し、それを確保した状態で1日保持し続けることが出来ればその地域の資源はその者の所属する国に送られるのだ。人類ならばその者の所属する国に。魔の者ならその者の所属する種族に。


ガザニア連邦公国とは謳っているが実際のところ3つの国からなる連合国みたいなものだ。


国同士のいざこざで消える命も多いと聞く。


まあ俺には関係のないことだが。


『俺……頑張るから!頑張って姉ちゃんを迎えに来るから!……だから!帰ったら結婚してくれ!姉ちゃん!』

『わかった!帰ってこれたら結婚だな!カイザル!』


清々しいほどの即答だった。

姉と慕うミアの泣きながら笑う仕草が今でも忘れらねぇ。

白銀の長髪に切れ長の瞳。ちょっと姉御肌なところがあれだけど、俺にとっては最高の人だ!


「こぉら、任務に集中しろやカイザル」


はっ……。


コツンと手甲で脳天を小突かれたカイザルは慌てて敬礼を取る。


「シリーズ隊長!ご苦労さまであります!」

「いや、お前任務中だぞ。何くっちゃべってんだよ?死ぬの?馬鹿なの?」 

相変わらずこの人は辛辣だなぁ。

「相変わらずこの人は辛辣だなぁ」 

「あ"?」

やべ、心の声が漏れた。


「いっぺん、死ぬか?カイザル」


がしりと頭を掴まれる。


「いだだだだ!」

「あぁん?この、シリーズ様のどこが辛辣だあ?あぁん?」

「いや、そうやってメンチ切ってくるとことかですよぉあだだだ!」

「ほぉー。言うじゃねぇかぁ?」

「いや、あだ!たんま!チョッたんま!た、助けろお前ら」


救援を呼ぶが視界の端でドルトとウッドが手のひらをひらひらさせて無理無理っててめぇらな!合掌すんな!


「あだ!隊長!美人さんなんですから!あだだ!スマイルスマイル!」

「!?」

「わっとと!急に離さないでくださいよ!」

「そ、そうかぁ?」

「いや、何照れてんすか。あーもーいたかったなぁ…」

「て、照れてねーし!」

ゴホン!

「で、なんの話してたんだお前ら?」


「えぇと、この任務が終わったら俺「あーー!隊長あっちに敵っす」んだ!」

「マジか!ちょっと行ってくるわ!カイザルてめぇ後で俺の部屋来いよ!わかったな!ドルトは俺とこい!残りのもんはここでオブジェクトオーブの死守!間違っても他の所属のもんに触らせんなよ?」

「「「「了解!」」」」


あー、早く任務終わんないかなぁ。


なんて考える俺の後ろでウッドがほっと胸をなでおろしていたのは。知る由もなかった。









軽く流し読み感謝なの。


はぁ、疲れたー


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