第3話 理利の気持ち
side理利
「で、一応聞いておくけど肝心の探してるやつって誰???」
俺は今、知らない奴の人探しを手伝っている。
まぁ、暇だったししょうがねえから手伝っている。深い意味は無い。
それに、断ったとしてもしつこく頼んできそうだからオーケーしただけだ。
そんなことを考えていると、薫が口を開いた。
「悠柳君です!」
は?
聞き間違いだろうか。俺はとうとう幻聴が聞こえるほどおかしくなってしまったようだ。
こいつが俺の本当の名前を呼んでくれるわけがない。
実際本当の俺の名前を呼んでくれるやつなんて誰一人いなかった。あいつだって…俺の名前なんて
だから俺はもう1回聞き返した。
「聞き間違いかもしんねーから、もう1回言ってくんね?」
「悠柳君です!」
は?は?は?は?は?は?は?
嘘だろ?
「へ、へ〜なるほどね。」
それって………
俺じゃん。
実は俺は2つの姿をもっている。
明るい雰囲気の仮の俺(理利)
暗い雰囲気の本当の俺(悠柳)
もちろんまわりの人間は仮の俺を愛した。
家族だって、信頼していた親友までもが…
だから
俺はずっと自分を偽って生きてきた。人生を諦めていた。
でも、いつも誰かが現れると心の中で期待してしまう。
もしかしたら
こいつなら、本当の俺を
"見てくれるかもしれない”と