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プロローグ
たくさんの人が血を流し、たくさんの人が死んだ。
そして、私のお腹も……
手で触るとねっとりとした感触が分かる。血だ。
「薫!!!!」愛しい人の声が聞こえる。大好きなあの人の声。
反射的にその人の声がするほうに顔を傾けると、辛そうにそして悲しそうに顔をゆがめ、涙をこぼしながら私を見て叫んでいる人がいた。
悠柳君だ…
「ねぇ!!目を開けてよ……!薫……」
辛そうな声が聞こえる……泣かないで……悠柳君。
私の目が閉じかかっているのに気づいた彼はそう泣き叫ぶ。
悠柳君がここまで感情をあらわにしたのははじめてだった。
私は彼の頬から流れる涙を拭うように、手を伸ばす
悠柳君……ごめんね……
私は心の中で何度も何度もこの言葉を唱える。
ぽたぽた……
ぽたぽた……
悠柳君の目から涙がこぼれ落ちると同時に私の目からも涙がこぼれ落ちる。
「俺を、置いてかないで……」
だんだん視界がグラグラしてくる。
そっか……私
もうすぐ死ぬんだ……
愛する、悠柳君を置いて……