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エピローグ


「理沙、こっちこっち」


理沙は会場に入ってすぐ、恵那が手を振っているのを見つける。

隣にいるのは、恵那と同じく理沙の高校時代の親友、明日香だった。


「明日香も来てたんだ。珍しいね」


「今回は、先生のお別れ会も兼ねてるからね。色々お世話になったし」


3人が来ているのは、高校の同窓会、兼、教師を辞め地元に帰ってしまう元担任のお別れ会だ。


「久しぶりに会ったけど、理沙若いね。お肌ピッチピチ」


「なに、そんなおばさんみたいな発言?私達同じ年でしょ?」


明日香はニヤニヤしながら、爆弾を落とした。

「やっぱり恋すると綺麗になるって本当なんだ」


理沙はキッと恵那を見る。

「恵那!明日香になに言ったの?」


恵那は、ほんわかスマイルを崩さず、サラリと言ってのける。

「とうとう理沙に本気の恋人が出来たって言っただけだよ」


「『言っただけ』じゃない!」


ムキになる理沙に、明日香は珍しい物を見たように、ますます笑みを深めた。


「あのクール一徹、女王様の理沙が、そんな子供みたいにムキになるなんて、めっずらしー」


「でしょ?竹宮さんに告白する前の理沙、悩んでてめっちゃ可愛かったんだよ」


「告白してきたのは、あっち!、、、あっ」


明日香は理沙の思わぬ暴露に、乗っかってくる。


「へえ、聞きたいなあ。どんな風に告白されて理沙はメロメロになっちゃったの?」


「メロメロになんてなってません!」


「理沙は素直じゃないから」


理沙は会話の流れを変えようと、違う話題を持ち出す。


「今日、マキとあいつは?」


「奏のこと、いつまで『あいつ』呼ばわりするの!奏なら出張だよ」


「なんか出張多くない?」


「うーん。2、3カ月に1回ぐらいなんだけど、たまたま重なっちゃったんだよね」


「マキは子供と一緒にお留守番。ウチ、預け先ないしね」


「そっか、まだ子供小さいもんね」


色々な事情を乗り越えて、子供を育てる決心をした明日香。

恵那だって同棲歴10年以上だ。

理沙は、自分の事しか考えてこなかった、これまでの生き方が少し恥ずかしくなる。


恋愛にしても、一緒に暮らす、人生を共にする覚悟を持ったことがなかった。

そういう人と巡り合わなかったと言うより、理沙の方が踏み込むのを躊躇ってきたから。


今まで誰かと暮らすなんて思いもしなかった。

でも今なら。

楓となら、きっと。


理沙の脳裡に漠然とした未来像が浮かんでくる。


同窓会を終えて帰路につく途中、携帯に楓からメッセージが送られてきた。


「同窓会楽しかった?理沙の家で待ってるよ」


理沙の胸にじんわりと温かい気持ちが広がる。

この溢れる気持ちを早く届けたい。


玄関のドアを開けると、待ってくれていた恋人を思いきり抱きしめる。


「楓、一緒に暮らそう」


驚いた顔をした楓は、すぐに満面の笑みで答えた。


「喜んで!」






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