第19章 高まる期待
ああ、溺れていく。
まだ月曜日だと言うのに、理沙も楓も止められなかった。
キスの合間に楓が囁いた
「三崎さんの全てを下さい」
の一言を合図に、通りに出た2人は、タクシーで理沙の家に向かう。
さすがにタクシーの中で続きをすることはなかったが、繋がれた手から同じ思いなのが伝わってきた。
口を開けばキスの余韻が消えてしまいそうで、沈黙に包まれる。
漏れてくる互いの息づかいに甘さを感じて、これから起こることに期待と興奮が高まって冷静な顔を取り繕うのが難しい。
早く着いてくれないと、抑えられない。
まるで盛りのついた高校生みたいな状態に、楓は苦笑する。
理沙の方でも、誰かにリードしてもらう初めての状況に、気恥ずかしさと甘酸っぱさを感じて、いっぱいいっぱいだった。
ようやく理沙のマンションに着くと、足早にエントランスをくぐる。
エレベーターで2人きりになった途端、楓が我慢できないとばかりに噛みつくようなキスをした。
理沙も、頭の中ではもっと冷静に、歳上の対応をと思うのだが、どうやっても楓の情熱的なキスには抗えない。
こんな所で、とか、人に見られたら、とか常識的な考えも、気持ちが通じた今、ブレーキをかけるのは難しくて、もっと欲しがってしまう。
幸い、部屋に着くまで誰に見られることもなかった。
さすがに鍵を探している間に、少し隙間が出来て、2人共自分達のがっつきぶりに赤面する。
「なんか、すみません」
「うん、、、私も」
理沙は靴を脱いで「上がって」と楓に言うと、恥ずかしいのを誤魔化すように、さっさとリビングに向かおうとする。
楓は理沙が落ち着いてしまいそうなのを見て、慌てて後ろから抱きしめて引き止めた。
「あなたを抱きたい」
少し躊躇ったあと、理沙は素直になろうと心に決めた事を思い出して、楓の手を引っ張り寝室に向かった。




