第14章 持つべきものは
恵那はやっぱり太陽だ。
「理沙、久しぶり!」
玄関の扉を開けると、パンパンに詰まったビニール袋を片手に提げた満面の笑顔の親友がいた。
同じ年齢とは思えない程、相変わらずの愛らしい姿に思わず頬が緩む。
「色々買い込んだのね」
「コンビニの新作スィーツ、片っ端から買ってきちゃった。一緒に食べよ!」
「スィーツ女子、健在だね」
高校時代から、新作だと言ってはコンビニスィーツを買っていたっけ。
ソファに並んで腰掛けて、ハーブティーを片手に、2人で次々にお菓子を制覇していく。
「なんか学生時代に戻ったみたい」
恵那は理沙に振り向いてニコッと微笑んだ。
「そうでしょ。だからさ、学生時代に戻ったつもりで、理沙の話聞かせて」
あの日の土手で、泣き崩れている理沙に寄り添ってくれた恵那の姿を思い出す。
ああ、あの時から私は恵那にずっと救われてたんだな。
そんな温かな思い出に後押しされるように、理沙は言葉を選びながら楓との事を恵那に話した。
聞き終えた恵那は理沙に微笑むと、
「理沙は竹宮さんのこと大好きなんだね」
と、話を聞いていたとは思えない感想を言った。
「どこを聞いたらそう思うの?
アイツのことは嫌いって、顔も見たくないって今さっき言ったばかりじゃない!」
恵那は、理沙のイラついた様子を見て、何故かますます笑みを深める。
「理沙って、高校の時から大人っぽくて落ち着いててさ。
きっと会社でもそうなんだと思うの。皆んなに頼られて、かっこいいキャリアウーマンっていうの想像できる」
「そんなこと、、、」
「だからさ、そんなムキになって、誰かのことでこんなに落ち込んだり怒ったりする理沙見たことないよ」
そうかもしれない。
こんなにも心を乱してくるのは楓だけだ。
「ねえ、理沙。恋愛ってさ、結構かっこ悪いものだよ」
「どういうこと?」
「これまで理沙あんまり自分のこと話してこないけど、恋人、何人かいたよね?」
「まあ一応、、、」
なんかすごく恥ずかしい。
「でもきっとすっごいスマートな付き合い方だったんじゃない?」
「スマート?」
「相手を振り回したり、駄々こねたり、嫉妬したりしないってこと」
確かに、これまでは適当にデートして、ちょっと面倒そうになったら、理沙の方から距離をとって波風立てずに終わるようにしてきた。
「付き合うってそんなもんじゃないの?」
「全然違うよ!好きで誰にも取られたくないって思ったら、がむしゃらになる。
きっと側からみたら、すっごくかっこ悪いと思うけど、それで一緒にいられるんなら、何だって出来るんだよ」
そっか。
なんか圧倒されるな。
「だからさ、理沙が泣く程振り回されてるのって、その竹宮さんがすごく理沙の中で大きな存在になってるってことなんだと思う。
ねえ、竹宮さんに見つめられるとドキドキする?」
理沙は、うっと言葉に詰まって顔を伏せてしまう。
あの瞳に捉われると自分が自分じゃなくなるようになる。
恵那は理沙のそんな姿を見て満足そうに頷く。
「理沙、きっとそういう事だよ。
もう分かってるよね?」
理沙は親友の一言に、自分の気持ちを認めるしかなかった。




