表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルティメット エンド  作者: 齋音寺 里
第三章・大地の息吹く場所
47/130

番外編・あるてぃめっと☆茶番劇その1(前編・上)

 こちらは、本編とは全く無関係なお話しです。

 ただし、本編三章までのネタや登場キャラも盛り込まれているため、軽いネタバレにご注意ください。

 完全なるネタ枠ですが、楽しんで頂ければ幸いです。

 おバカ三人組のマヌケな掛け合いを、微笑ましく見守って頂ければと思います。

 前置き、失礼致しました。

「レオンー! リオンー!」

 長くまっすぐな黒髪を揺らし、息を切らした少女がこちらに向かってくる。



「フィト、そんなに走ってどうしたんだよ?」

「だ、大丈夫? 苦しそうだよ?」



 はぁ、ひぃ、ふぅ、と呼吸を整えるフィト。

 その焦り具合から、よっぽどな事があったのでは、と兄弟は心配している。

 落ち着きを払うと、フィトはニコニコと笑顔を浮かべ話し始めた。



「あのね! すぐそこで、面白いものをもらったんだぁ!」

「面白いもの……?」



 レオンとリオンの頭上に、ちょいんとクエスチョンマークが浮かぶ。

 その面白いものを見せるために、わざわざ息を切らしながら走って来たらしい。

 何事かと思った兄弟の心配は、ご無用だったわけだ。

 一体それは、どれほど面白いものなのか。



「うんっ! そうなの! 何でも、ぐさぐさーで、ばびょびょびょーん! らしいよ!」

「ナニソレ!? めっちゃ興味なんだけどっ!?」

「うえぇ? お前、いまの説明でわかったのか? 擬音でしかないんだけど?」 



 まったく理解が追い付かない兄レオン。

 それに対し、キラキラとした眼差しをフィトに向け、リオンは興奮してハフハフしている。

 得体の知れないもの、という事が、好奇心旺盛なリオンの心をくすぐったようだ。



「いやいや、すぐそこってどこだ? てか、誰からもらったんだよ?」

「えっと……ほんとにすぐ、そこ? ラシーヌさんがくれたの!」

「ラシーヌさんが? 大丈夫なのか? それ……」



 明らかに怪しいといった顔つきをするレオン。

 からかい好きのラシーヌの事だ。

 何かよからぬものを寄越(よこ)したに違いない。

 それにしても、なんてアバウトな説明なのだろう。

 イマイチ嫌な予感を拭いきれない犬耳兄は、胡散臭(うさんくさ)さを感じずにはいられなかった。



「兄さんは、ほんとに細かいなぁ~。まるで、うるさい小姑みたいだよ?」

「お前、本編と同じツッコミ使い回しすんなよな……」

「ほらぁ、また本編とか現実的な事を言う~。そうゆうのは、気にしないのがセオリーってもんだぜぇ?」

「誰だっけそいつ……あぁ、グラシナに行く前に会った賊か。てかお前、キャラ崩壊してんぞ……大丈夫か……?」

「うるさいなぁ。僕は早くフィトの言う面白いものが見たいの! フィト~! 早く早く~!」



 リオンがそう言うと、フィトは待ってました! と言わんばかりに嬉しそうな顔をする。

 そして、面白いもの、とやらをふたりの目の前に出して見せた。



「じゃかじゃーん! これだよーっ!」



 ドンッ! と兄弟の目の前に出てきたのは――。

 大きなタルに、等間隔(とうかんかく)で四角い穴が開いた謎の代物だった。



「……フィト、これは?」

「これはねぇ、黒チョビひげ危機一発ってゲームなんだよ!」

「黒チョビひげ……?」

「危機一発……?」



 はじめて聞くふざけた名前の代物に、兄弟の目は点だ。

 一体これのどこに、黒チョビひげ要素があるというのか。

 名前を聞いたところで、これが何なのかさっぱりわからない。



「フィト、これでゲームするんだよね? どんなゲームなのか、全然想像がつかないよ?」

「えへへ。実は私も、さっき初めて見たし、これから初めてやるんだぁ! だからよくわからないの! とにかく、ざくざくーで、びよよよーん! なんだって!」

「相変わらず、わっかんねーなー……」



 頭をかきながら、レオンはそうつぶやく。

 フィトがあまりにも楽しそうにしているので、無論、微笑ましく思うのだが。


 もちろん、兄弟はこの『ゲーム』という遊びに付き合うつもりだ。

 しかし。心配症で勘が鋭い兄弟レオンとリオン。

 このふたりは読みに読みを重ねた為に、思いも寄らない迷路に迷い込んでいく。



 改めて、兄弟は思う。『黒チョビひげ危機一発』とは何なのか。

 兄弟は考えに考えを巡らせ、はっとした顔をする。

 



 危機一発というくらいなのだから、まさか、危険な代物なのか――?

 このタルには、爆薬が仕込まれているのでは――!?




 そう考えに至った途端、兄弟の顔色が一気に青ざめる。

 そんなヤバイ代物をフィトに贈るなんて。

 あの鬼畜妖怪(きちくようかい)ババァ、許すまじ。


 はち切れるほど被害妄想を膨らませ、兄弟はドツボにはまっていく。

 この被害妄想の酷さっぷりといったら、土の精霊たち顔負けだ。




 いや、待てよ?

 これ、まさかマジックアイテムなんじゃ――?




 爆薬の線だけではなく、魔法仕掛けとまで疑い始めた兄弟。

 何の効力があるのかは不明だが、危機一発、このネーミングが付いているほどだ。

 きっと絶大に危険なものに違いない。


 無数に空いている、恐ろしいあの穴から飛び出すのは、炎か、はたまた水か、風か。

 何の属性アイテムなのか。

 しかし、その割に全く魔力は感じられない。

 魔力探知できないほど、高度な魔法仕掛けのアイテムなのか。

 そして兄弟は、さらに恐ろしい仮説に辿り着く。




 黒チョビひげ危機一発って名前は、フェイクで。

 本当は、()()()()()()なんじゃ――!?




 黒髪少女、フィト、危機一発。

 無理矢理な脳内変換にて、フィトが危ない、そう確信した兄弟。

 フィトを一刻も早くこのタルから離さなければ、と慌てふためく。



「フィト! このタルは危険だよ! 早く逃げよう!?」

「これは俺がなんとか処理するから、その隙にリオンと先に行け!」



 レオンとリオンが必死に言葉を発した、その直後。

 フィトはゲームに使用する、レプリカの短剣を運んで来た。

 どうやら、兄弟がもんもんと絶賛妄想中だった時に、どこからかまた運んできたらしい。


 いまだゲームの内容も飲み込めていない兄弟。

 当然、レプリカ短剣の用途など分かるはずもなく。

 最も、フィトがゲームの説明をきちんと行わない所から、この事案は始まったのだが。


 目の前に並べられた大量の短剣を見て、レオンとリオンは目を見開く。

 何故に短剣がこんなに? といった様子のふたり。

 目の前の危険物の事が、頭から吹っ飛ぶほどのインパクトだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ