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なん・・・だと・・・

 アデラちゃんが冒険者になった次の日。


 俺とアデラちゃんは今、街の外の草原に来ている。

 今回は、アデラちゃんがどのような戦闘スタイルで冒険者として活動していくのか決めるためにここに来ている。


 「さて、アデラちゃん。アデラちゃんがどんなふうに戦うのか、鍛える前に決めておこうと思う。でだ、それを決めるにあたって、重要な事がある」

 「重要な事?」

 「そう。魔力、つまり魔法だ。どんな魔法が使えるのか、これによって決めるのが一番やりやすいと思う。まぁ、あくまで最初はね」

 「最初は、ですか?」

 「そ、大体の方向性が決まったら、後は自分で、自分を思うように鍛えるんだ」

 「自分で、自分を……」

 「まぁ、まだスタートラインにも立ってないから、イメージがわきにくいと思うけどね」


 俺なんかは、教えてくれる人がいなかったから完全に自己流だ。

 俺の戦闘スタイルは、俺が使える魔法に依存しているから、このやり方だと、魔法を封じられる事が弱点になってしまうけれど。

 まぁそれは今後自身でカバーしていかなくちゃいけないことだ。

 奥の手は用意しとけよってことだね。

 これにつてはまた後で教えよう。

 いきなりいろいろ言われても分からないだろうからね。


 「じゃあ、まず魔力を調べてみよう」

 「魔力、ですか」

 「そう、魔力を動かせるかい?」

 「いえ、やったことが無いので分からないです」


 そう言って、彼女は少し落ち込む。


 「いやいや、いいんだよ。じゃあ自分の身体の魔力を動かすとこから始めてみようか。まぁ、安心して、これは結構簡単だから」

 「はい!お願いします!」


 どうやら気合十分のようだ。


 「じゃあ、ちょっと体に違和感を感じるかもしてないけど、それは悪い物じゃないから、少し意識してみて。それじゃあ、行くよ」

 「はい!」


 アデラちゃんが返事をしたタイミングで、俺はアデラちゃんの手をつかみ、アデラちゃんの魔力を動かしていく。


 「な、何かが、動いているような」

 「それが魔力だよ。その感覚を覚えてね」


 そう言って、俺は手を放す。


 「じゃ、魔力を自分で動かしてみてね」

 「は、はい。いきます!」


 アデラちゃんは目を閉じて意識を集中する。

 これはコツをつかめば簡単だ。

 俺が魔力の感覚を教えたから、結構あっさり出来るはずなんだが。


 「あっ!」


 お、出来たね。


 「うまくいったようだね」

 「はい!」

 「次はちょっと時間がかかるかも知れないけど、パパっとやってしまおう」


 次の奴は俺も結構時間がかかった。


 「ちょっと見ててな」


 俺は体の魔力を操り、『体の外』にだす。

 すると、俺の手から灰色のもやが出てくる。


 「この灰色のやつ、これが魔力だ。ここで、さっきの話を思い出してほしいんだけど、どんな魔法が使えるのか調べるって言ったよね。これは、身体から出した自分の魔力の色で確かめることが出来る」

 「なるほど、だからこれを最初にある必要があったんですね」

 「そういう事だ。それじゃあ、やってみて。これはちょっと時間がかかってもいいから、焦らずに、ゆっくりとね」

 「はい!」


 そして、彼女は目を閉じて集中する。

 これが難しいんだよねぇ。

 体の中なら、常に魔力に触れているから動かしやすいんだけど、体の外となると一気に難しくなるんだよね。


 こればっかりは自分でコツをつかんでもらうしかない。


 そして昼頃。


 朝から初めて、そこそこ時間が経っている。

 大体3、4時間くらいかな。


 適当な所に腰かけてボーっとしていると、アデラちゃんに変化があった。

 これは……出来たっぽいな。


 「あっ……これって」

 「おめでとう。かなり集中してたね。うまくいってよかったよ」


 俺はアデラちゃんのお魔力の色を見る。


 「私の魔力の色は、透明、ですね」

 「透明か……」


 透明だと、無属性の魔法か。

 魔道具の作成とか、錬金術に使われるから、戦闘向けとは言えな……!?いや、ちがう!透明じゃない!


 「アデラちゃん、もっとよく見てごらん」

 「え?……あっ、光ってる」

 「そう、光ってる。それも五つの色に」


 確かに魔力の色は透明だが、その周りを五つの色の光にうっすらと覆われている。


 「これって……」

 「それは精霊魔法が使える証だよ」

 「精霊魔法?たしか、精霊の力を借りて魔法を使うって聞いたことがあります」

 「そう、正しくそれだ。精霊魔法を使える魔力の特徴は、無色透明の魔力を色のついた光に覆われている事なんだ」

 「色のついた、光」


 しかしこれは……すごいな。

 俺が欲しい。

 彼女の魔力を一言で表すならば、チートだ。

 光っている色は、赤、青、緑、白、黒。


 赤は火属性、青は水・氷属性、緑は風属性、白は光属性、黒は闇属性。


 魔法には、基本的に五つの属性がある。

 それは精霊魔法も同じだ。

 つまりアデラちゃんは、五つの基本属性全てを使えるという事だ。


 それにしても五属性なんて聞いたこともない。

 二属性で数千人に一人だぞ?どんな確率だよ。

 いいなぁ、憧れちゃうなぁ、俺もそういうわかりやすくて派手な力が欲しかったなぁ。

 まぁ、こんなこと言っててもしょうがないんだけど。

 羨ましいなぁ。


 まぁ、それぐらいすごいってことだ。


 ちなみに、魔法の属性には基本の五つ以外にも属性があるが、それはまたの機会に。


 「シオン様、私は、精霊魔法が使えるのですか?」

 「そうだよ。……正直すごく驚いているけど。アデラちゃんは基本の五属性のすべての精霊魔法が使えるんだ。Sランクの冒険者にもそんなすごい人はいないよ」

 「え!?そんなにすごいんですか!?」

 「あぁ、おそらく、世界で君だけじゃないかな」


 これ……俺すぐに超えられちゃうかも……。


 「え、えぇ!?」


 やっとどれだけすごいか理解したかな?

 まぁでも実感わかないよね。

 しかし、どうしたものか。

 精霊魔法なんてそんなに詳しくないぞ。


 「そういえば、シオン様の灰色の魔力はどんな魔法が使えるのですか?」

 「ん~、ま、いいか。魔法には、基本属性のほかに、派生属性と特殊属性があるのは知ってるかい?」

 「は、はい。詳しくは知りませんけど」

 「俺の灰色で使えるのは、時属性、つまり特殊属性なんだ」

 「特殊属性!?それってとてもすごいんじゃないですか!?」

 「まぁ、ものによるんだけどね。俺が使える時属性ってのは、相当珍しいみたいでね。いくら調べても詳しい情報が出てこないんだよねぇ。だから、どんな魔法が使えるのかも分からないから、自分で作らなきゃいけないんだ」

 「えっと、私が出会った時に使っていた傷を治したのは、どうやってやったのですか?」

 「自分の時間を数秒過去に戻したんだよ。動きが速くなったりするのは、自分の時間を加速させているんだ。例えば、俺の時間の速さを二倍にしたら、周りからは二倍の速さになったように見えるけど、俺からは周りが半分の速さになっているように見えてるんだ」

 「な、なるほど……」

 「ハハ、まぁわかりにくいよね。自分で説明するのも難しいくらいだしねぇ」


 この時属性の魔法は、自分でも未だに研究中なんだよね。


 「さて、アデラちゃんがなんの魔法が使えるのかわかったから、本題に入ろうか」


 今回の本題は、アデラちゃんの戦闘スタイルを決める事。

 でも、俺は二択だと思うんだよね。


 「精霊魔法が使えるなら、俺のおすすめは二つだよ。一つ目は、純粋な精霊魔法使い。二つ目は、精霊弓師、精霊魔法を使う弓使いだ。どちらかというと、俺は純粋な精霊魔法使いをすすめる」

 「どうしてですか?」

 「使える属性が一つとか、二つなら断然精霊弓師なんだが、五つとなると、弓を使わない方がいいんだよ。理由としては、精霊弓師の方は矢に精霊魔法を付与して攻撃するんだ。で、この付与ってのが厄介でね。精霊魔法の付与ってのは、一つの物に対して一つだけしか出来ないんだ。でも、精霊魔法自体は、二つの属性を混ぜ合わせて使う事が出来るんだよ。で、おそらくは二つ以上でも、魔法の合成は可能なはず。それに、精霊魔法はかなり幅広い応用が可能だ。精霊魔法の性質を最大限生かすなら、やはり純粋な精霊魔法使いの方がいいんだ。でも、勘違いしないでほしいのは、精霊弓師が決して弱いって訳ではないってことだ」


 精霊魔法についてはこんなところだろうか。

 でも、まだ知らないことも結構多いんだよなぁ。


 「まぁ、まだ最初だから、試しにどっちもやってみてから選んでもいいと思うけどね」

 「……精霊魔法使いを、やってみようかと思います」

 「なるほど。よし、分かった。じゃあそれで行こう!」

 「はい!」

 「うし!じゃあ今日はもう遅いから街に戻ろう。明日から本格的に行くぞ」

 「はい!よろしくお願いします!」


 ふぅ、精霊魔法について調べなおさないとなぁ……。

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