第二魂 守護霊と書いて『じゅばくれい』と詠む
俺は帰ったんだ!!だけど・・・こいつは無いだろう・・・
何故俺が、黄昏てるのかって?
教えてやろう・・・俺の体が既に火葬されて墓に埋まってるのですけど・・・
つまり俺は戻る体も無く霊体のままである。
すげえ・・・透けて向こうが見えるし・・・
でも、壁擦り抜け出来ないんだよな〜・・・
さて・・・これから俺は如何すれば良いのだ・・・
不幸中の幸い物は触れる様だ・・・
先程、俺の御経を上げたと思われる坊さんと棺桶に火を付けたと思われる火葬場の主任を殴ってきたしな・・・
封筒に入ってる万札をうひひひ言いながら数えてたからな・・・
聖職者にしては有るまじき行為だな。
こうなったら、出てくる答えは一つだ!!
睡蓮の守護霊になってやるのだ!!
そして、睡蓮を守ってやらねば!!
拳を握り締め守護霊――睡蓮にとっては寧ろ呪縛霊――と成る事を決意する。
良し・・・家に帰ろう。
そして、帰ったのは良いが鍵が閉まってて家の中に入れない。
う〜む・・・姿は普通の人には見えない様だから、チャイムを鳴らしても誰もドアを開けてくれそうに無いな・・・俺の家は玄関についてるカメラで訪問者をチャックできるからなぁ・・・
まぁ、いっか。鳴らしちゃえ♪
ぴんぽ〜ん♪
そして、待つ事10秒、ガチャッとドアが開く。
おいおい、ちゃんとチェックしろよ!!もし強盗とかだったら如何するんだよ!?睡蓮よ・・・
ドアを開けたのは睡蓮だった。
「えっ!?・・・あれ?今確かにチャイムの音がしたんだけど・・・誰か居ないのですか?」
睡蓮は何かに一瞬驚き高い声を上げるが、直ぐに抑揚を取り戻す。
そして、声に誰も反応しないので、庭に出て来訪脚を探す始末。
睡蓮御免よ!!御兄ちゃんのせいで・・・でも、今の内だ・・・
裕也は家にささっと侵入する。
「おかしいなぁ〜・・・悪戯かなぁ・・・」
そう言って、睡蓮は家に戻る。
そうやら、今日は学校を休むのだろう・・・
それより、俺の部屋はどうなったのだろう?
裕也は自分の部屋が自分が死んだ為どうなったのかが心配になり確認に向う。
そして、部屋に入って絶叫する。
「なんじゃこりゃーーーーーーー!!」
裕也の部屋は、押入れと化していた・・・もはや、寝るスペースすらない。
俺は、何所で寝れば良いんだよ!?はっ、そうか!!睡蓮と一緒に寝れば良いんだ!!
俺は守護霊だしな。常に近くに居て守ってやらないと!!
決して、疚しい気持ちなど無いぞ!?
本当だぞ・・・
なんて、思ってると睡蓮が俺の部屋にやってくる。
久々の生睡蓮だ〜!!えへへへ・・・抱きつきたいなぁ〜。でも、悲しい事に睡蓮には俺が見えないんだよな・・・抱き付いたら脅かすだけだし・・・
「御兄ちゃんの馬鹿・・・勝手に死んじゃうなんて・・・」
馬鹿って言われましたよ俺!?もうショックで死んでしまいそうだ・・・って、俺既に死んでるじゃん。
睡蓮はそう言い残し、自分の部屋に戻る。
さて・・・今日は睡蓮にずっと憑いていてやろう。
俺も睡蓮の部屋に向かう。
運の良い事か睡蓮の部屋のドアは開けっぱなしだったので俺は自分で開け閉めせず中に入れた。
ドアが閉まってたら、如何しようかと思ったぜ。ドアが誰も居ないのに行き成り開くなんて普通じゃありえないしな。
睡蓮はベットに横になって、掌で目を隠していた。
良く見ると・・・涙が!?
御兄ちゃんのせいなのか!?
「睡蓮、御免ね・・・」
聞こえないと思うけど、一先ず謝る。
当然反応は無い・・・
俺は、暫くの間睡蓮のベットの傍に座っていた。
天使や鬼達との戦いで疲れたせいか、どんどん眠くなり気付いたら夢の中だった・・・
「脱国者の名前は孤之白 裕也。只の高校二年生です。全ての事においてパーフェクトで、神童と呼ばれていたそうです。好きな物は妹・・・趣味は妹を愛でる事。嫌いな物は妹に近付く害虫(男)だそうです。ちなみに死因は、交通事故です。」
天使は、円卓に座る者達に裕也に付いて話す。
「ぎゃはは、おもしれえ奴だなぁ〜。」
「兄弟愛は犯罪ですぞ!!」
「ゼウスうっせえ!!それより、あの餓鬼は如何するつもりだ?」
「聖魔降臨戦が終わるまではほっておくつもりだ。」
「ほ〜・・・なんでぇ、慈悲の心って奴か?」
「そんな所だ・・・聖魔降臨戦まで後4日・・・今回も無事成功する事を祈るだけだな。」
「つうか、サタンの野郎に封印を掛けた奴もよ。66年に一度復活するなんてめんどくせえ事しなくてもよ〜。いっその事殺しちまえば良かったのによ。」
「それができれば、既に殺している。初代オーディン、ゼウス、閻魔、アヌビス、ヤハウェの当時最強の五名が死して更にラグナロクを起こされて、漸く掛ける事に成功した封印だ。今のサタンは魅女の力無しでは当時の千分の一の力もだせん。だから我々は何度も封印に成功しているのだ。それに奴が、66年に一度、6月6日に力が強まり封印を解くのは仕方ない事だ。だからこそ、我々は何度も封印を施さなければならないのだ。」
そう『終幕』を起こしては成らないのだ。
『再びの66年の休息』を迎えねばならんのだ。
後4日・・・
目を覚ますと悲しい事に睡蓮が居ない・・・
というか・・・マダ朝?
違う・・・丸々一日寝てたという奴か!?
守護霊としてありえない事を!!
睡蓮レーダー発動うぅぅぅ!!
説明しよう!!睡蓮レーダーとは、裕也の特殊能力の一つで、第六感にて睡蓮を見つけ出す物である!!
これ以外にも、睡蓮アイや睡蓮イアー足る物も有るが、今回は割愛させていただく。
発見!!むぅ〜・・・学校に居るのか・・・
ならば取る行動は一つ、俺も学校に向うぞ!!
裕也は窓を開け、「じゅわっち」と飛び立つ・・・しかし、数秒後地面に落下・・・そこからは走る赱る!!
霊体に成った為か運動能力が上昇している。
ほぼ、車と同じ速度で一般道を爆走しているのだ。
走る事5分、目の前には睡蓮の通う中学校が有る。
校門が閉まっているが、裕也はジャンプして門を飛び越える。
そして、下駄箱より進入。睡蓮の居る2年A組に向かう。
ドアを少し開き中を覗く、今日はテストの日の様で、生徒全員が頭を抑え「う〜」と呻きながらテストを解いてるのが見えた。
睡蓮!!解けてるのか?解けてるのか?って、寝てるじゃん!?
う〜む・・・心配だ・・・
今皆はテストに夢中だし・・・少しドアを開けて入っても問題無いよな。
裕也は自分の体がギリギリ通れる程度ドアを開き教室に進入。
そして、睡蓮の近くに向う。
睡蓮の解答を覗き込むと見事真っ白である。
すいれーーーーーーーーん!!これぐらい解けよ!!
しょうがない、御兄ちゃんが今回は解いてあげよう!!
誰も見てないよな・・・
裕也は睡蓮のシャーペン《ピンク色でウサギの絵が書いてある》を手に取り、問題を解き始める。
懐かしいな〜、俺が小学校の頃解いてた問題じゃないか。
そうだ、サービスして、高校で習う定理とか使って解こっと♪
良く分からない公式や定理で次々と埋められていく、睡蓮の解答。
ぴく、ぴくぴく・・・
シャーペンの音に反応してなのか、時折睡蓮の体が動く。
む・・・そろそろ起きそうだな。
だが、こっちはもう終わったのさ。
シャーペンを睡蓮の手に握らせる。
ぴくぴく・・・
睡蓮が眠っている所を教師が発見し接近。
そして、肩を揺さぶって睡蓮を起こす。
「孤之白、起きろ。寝る余裕が有るほど俺の問題は簡単だったか?おっ、全部埋めてるじゃないか・・・サービスだ、今から採点してやる。」
げっ、あのハゲは山田じゃないか!!
あの野郎!!
だが、睡蓮の解答を見て驚くが良い!!わ〜はっはっは!!
ちなみに、睡蓮は「私全部埋めたっけ?真っ白だった気が・・・」と呟いている。
「ぬわんじゃこりゃああああ!!」
突如、山田が叫ぶ。
「孤之白、なんで教えても無い高校で習うはずの定理をこうぽんぽん使ってるんだ!?」
「えっ!?」
驚き返す睡蓮・・・
「すばらしい!!満点だ!!」
テスト中なのに感嘆の声を上げる山田。そして、「すげ〜!!」と拍手をするクラスメイト達。
「ふえええ〜!!!!!!何で〜!!!!」
はっはっは、嬉しいか?睡蓮。
裕也は満足そうな笑みを浮かべ教室から出ていく。
『聖魔降臨戦』まで、後4日・・・
キャラ紹介
『孤之白 裕也』この話しの主人公。永全不動八門一派・神代氣強流の使い手。神代氣強流については、当サイトで私の書いている魔法少女リリカルなのは Silver friendSを参考にして下さい。
極度のシスコンだが、かなり最強の部類に入る。宝具、神器とかは無い。本人曰く俺の宝具は麗しの宝具『睡蓮』だそうだ・・・