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シス・魂  作者: naonao
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序章

朝6時30分、私は台所に寝惚け眼を擦りながら参上する。


「御母さんおはよう。」


「おはよう。裕也を起こしてきてくれる?」


「うん。」


御兄ちゃんは、いつも起きるのが遅い。高校だから学校に行く時間が遅いというのもあるが、下手すれば10時頃に起きてくるらしい。

そして、遅く起きて言う事は「今日は、学校休む。母さん、仮病で休みますって学校に連絡しといて。」だそうだ。


仮病って・・・病気じゃないし・・・


御母さんも御茶目で、学校の先生に「口から泡を噴いて卒倒しましたので、本日は休ませます。」と嘘八百な報告をする。


御兄ちゃんは、学業も模試では毎回全国一位で、十二ヶ国語を話すとんでもない天才で、学校の誇りらしい。そして、御母さんの報告を聞いた先生の方が心配のあまり卒倒したそうな。


「御兄ちゃん、起きて。」


「睡蓮がほっぺにチューしてくれたら起きる。」


御兄ちゃんは、朝ほっぺにチューしてあげないと起きないのだ。


「もお〜・・・」


もお〜とか私は言うが・・・そこまで嫌ではない。

だって、御兄ちゃんかっこいいもん。


ちゅっ♪


「グットモ〜ニング!!マイシスター!!ああ、今日の睡蓮は何時もにも増して美しい。そうだ今から川柳を読むよ。『睡蓮や、あ〜睡蓮や、睡蓮や。』睡蓮の美しさを表した川柳だよ。」


即興で、某川柳をパクッた川柳を詠む御兄ちゃん。

意外と朝からハイテンションである。


御兄ちゃんと一緒に食卓に着く。


「裕也、おはよう。」


私にはあそこまでハイテンションに朝の挨拶をしたが、御母さんに対しては、「おっはー。」の一言で終わる。

悪いけど、おっはーは好い加減古いよ。


朝御飯は、トーストと牛乳とヨーグルトといったブレークファストの王道である。


食事の席は、いつも私の隣に御兄ちゃんである。

御兄ちゃんは、食べ難いにも関わらず、わざわざ私の方を向いて食べている。

何でそんな事をするの?と尋ねると・・・「睡蓮の美しさが最高の調味料になるからさ♪」と言い始める始末。


食事を取ると、学校の準備をする。

準備を整え終わる頃に何時も一緒に登校している友達が迎えに来る。

私はすぐに鞄を持って、玄関に向う。

玄関には私の友達の千佳と恵子がいる。


「「おはよう!!あれ、裕也先輩は?」」


この二人、実は御兄ちゃん目当ても有り、わざわざ遠回りしてでも家まで来てるのだ。


「もう直ぐ来るよ。御兄ちゃん早くして。」


「すまない!!《ガラガラ←二階の窓の開く音》とうっ!!《御兄ちゃんが二階から飛び降りる時の掛け声》」


飛び降りるまでに、六回転半をして逆立ちの形で地面に落ちてくる。


「ほっ!!」


再度掛け声と共に逆立ちの形からバック転をして地面に足をつける。

オリンピックの体操選手も真っ青な所行に千佳と恵子は「おおっ!!十点!!」と拍手する。


「睡蓮、遅くなって御免ね。おや、千佳君に恵子君ではないか。毎朝睡蓮を迎えに来てくれてすまないね。」


「いえ、好きでやってる事っす。気にしないで下さい。」


「そうです。早くしないと遅れてしまいます。急ぎましょう。」


「睡蓮、鞄が重たいだろう?御兄ちゃんが持ってあげようか?」


何時の間にか私の鞄を手に持っている・・・あれ・・・私から何時の間に鞄を取ったの?それより、取ってからその台詞はないと思うよ・・・


「じゃあ、御願い。」


「睡蓮ちゃんは、こんなかっこ良くて優しい御兄ちゃんがいて羨ましいっす。うちの兄なんて、かっこ良さのかの字も無いデブっすよ。」


腕を組み、言い捨てる。


「千佳ちゃん・・・それは千佳ちゃんの御兄ちゃんに失礼では?」


「いいんすよ!!あんな奴!!この間なんて、うちの下着片手にはぁはぁ言ってたんっすよ!!キモイから近くにあった野球バットで殴ってやったっす!!今は病院で寝こんでるっす!!」


「「「うわ〜・・・」」」


さ・・・流石にそれは・・・キモ過ぎる!!って言うか、病院送りは拙いよ・・・


「私の家は、御兄ちゃんがいないからやっぱり御兄ちゃんが欲しいかな。」


「でも、恵子の家って妹がいたでしょ?」


「御姉ちゃんって結構大変なんだよ。色々気遣わないといけないし。」


「ふ〜ん。大変なんだ。御兄ちゃんもやっぱり大変だよね?私の事とか?」


裕也は首が取れるんじゃないかと思うくらい横に振り、語り始める。


「全然苦じゃないよ。御兄ちゃんとしての苦が1だとしたら、御母さんに朝挨拶する苦が1000ってとこかな。」


「御兄ちゃん・・・それはちょっと御母さんに失礼だよ。」


「つまり、睡蓮は目に入れても痛くないほどかわいいって事だ!!」


握り拳を上に挙げ叫ぶ!!


「御兄ちゃん、恥ずかしいから止めてよ。」


「御免・・・」


くすんっ・・・と落ち込む御兄ちゃん。

そんな御兄ちゃんが可愛く、つい頭を撫でてしまう。


「あ〜、乳繰り合うのはいいっすから、急ぐっすよ。」


「そうですよ。朝のHRまで後5分しかないです。」


えっ!!本当だ!!


「御兄ちゃん、鞄かして!!」


私は御兄ちゃんから鞄を受け取り、皆と走って学校に向う。

御兄ちゃんは、捨てられた子犬のような目でこっちを見るが一先ず今は無視。

そして、全力疾走もした事も有り朝のHRはぎりぎりで間に合った。

そう言えば・・・今ごろ御兄ちゃん何してるのかな?

置いて行くのはちょっと酷かったかも・・・

帰ったら謝らないと。

しかし、その時は結構軽い気持ちだったが・・・後で後悔する羽目になった・・・

私のせいで・・・事件が起きるとはその時の私は夢にも思っていなかった・・・




《裕也Side》


俺は、今凄く機嫌が悪い!!マイシスターに置いて行かれるなんて・・・ああ・・・御兄ちゃんが悪かった!!御兄ちゃんのせいで、睡蓮が朝の登校で走る羽目になったんだ!!ああ〜!!転んで怪我してないよな!?車に跳ねられたりしてないよな!?変な人に声を掛けられてないよな!?

だめだ、授業に集中できない!!


「孤之白、問六を解いてくれ。」


教師が黒板の数学の問題を指差す。


「式はめんどいから、答えだけ言います。2x+3yです。ついでだから、問七の答えも言いましょうか?」


「いや結構だ。問七をう〜ん、鷺野解いてくれ。」


だめだ!!心配過ぎる・・・どうすれば良いのだ!?


と、睡蓮の事を考えていると何時の間にか昼休みである。

俺は、親の作った弁当を片手に屋上に向かう。

そこで、親友の流と飯を食う。

勿論飯の話題は、睡蓮がいかに美しく、妹がいかにすばらしいかである。


「お前は、その話題から好い加減離れろ!!その話題を、何年言えばすむ気だ!?中学一年の時から毎日語りやがって!!」


「それほど、妹はすばらしいと言う事だ。お前には分からんのか?」


「分からん!!なぁ、尋ねて良いか?睡蓮ちゃんも何時かは何所の馬の骨とも分からん男と結婚をするんだぞ。好い加減妹離れしろ!!」


結婚と言う言葉に裕也は過剰反応し、持っている箸がボキッと折れる。


「睡蓮が馬の骨と分からん男と結婚・・・もしそんな事が有ったら、その男を東京湾にコンクリで固めて沈めてやる!!」


「・・・本当にするなよ・・・」


「善処してやる・・・」




五間目、六間目を寝て過ごし、いざ睡蓮の元に!!

掃除当番?

掃除当番は流に押し付けてきた。

昼食のパン一週間分で受けてくれた。

金など腐るほど有る。

株取引や、色々な発明品の特許で、死ぬまで睡蓮と二人で豪遊するくらいの金が有る。

御昼御飯代など少しも惜しくない。それで、睡蓮と少しでも長く話せれるならばな。

俺は走る。睡蓮の元へ!!

50メートル5.8秒とオリンピック金メダリスト級の速度で睡蓮の元へ全速力で!!


そして、俺は走ること1分、下校中の睡蓮を発見した。

一緒に帰っているのは千佳君と、恵子君ではないか。


俺は手を振りながら、睡蓮を呼ぶ。


睡蓮達は俺に気付き手を振り返すが、突如「避けて!!」と叫ぶ。


・・・如何したんだ?


それと同時に俺の体が宙に浮く・・・


えっ?


俺はそのまま宙を舞い、地面に着地するが、ベクトルが横に引っ張り《ズザザザーーーー》アスファルトの上を滑る。


皮が剥け肉が裂ける・・・


そして、体の上を何か重い物が通過する。


ぐちゃっ!!


肉が潰れる嫌な音がする・・・


発信源は俺の体・・・


そして・・・走って俺に近付いてくる・・・睡蓮と千佳君達・・・


何か叫んでいるが何を言っているか聞こえない・・・


あ〜・・・瞼が重たい・・・

少し休もう・・・

そして、ゆっくり休んだら睡蓮とイチャイチャしよう・・・

そして、俺は目を閉じた。




御報告


ども、naonaoです。

シス・魂のPVアクセス数が16000を突破しました♪

オリジナル小説でPVアクセス15000を突破したのは本作品が初めてでして、嬉しさのあまり御報告させてもらいました。

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