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2話 母様にばれないように帰宅するのはたまんない

ジークについて

過去に3度母親の胸により窒息。女性の胸部に恐ろしいほどのトラウマを持つ。

気づいたら侵入経路のスタート地点に戻っていた。僕の家は本当に禁則地の真横にある。代々侵入者を阻むためにここに家を建てて守っていてその歴史は次期当主の僕で19代目になる。父上は毎晩のようにその歴史を自慢げに話してきて最近ではちょっと嫌だ。聞き飽きた。


「…スキルって何なんだろう。」


とりあえず落ち着いてきたのでボードを確認してみる。


―――――――――――――――――――――――――

スキルボード

名前 アークス・ボレアス・ジークフリント

年齢 8歳

性別 男

職業 未定

スキル フェロモン 万物合成

――――――――――――――――――――――――― 


なんだかわからない…。僕の知識じゃまだ説明も表示されないし、どうしようかな。


「とりあえず、うちに戻ろう。」


家に戻ると母様が鬼の形相で扉の前に立っていた。


「うわぁ…。あの表情の母様に見つかったらごはんは抜きだな、どうしよう…なんとかして裏から入れないかな。」


裏口に回ると1つドアがある。カギは…しまっていた。


「ダメだ…これじゃあもう母様に胸で押しつぶされて終わりだ。」


母様は僕が悪いことをすると全力で胸を押し付けて、窒息させようとしてくる。だから僕は胸恐怖症と言っても過言ではない。


「んー…カギさえあれば…」


そこで僕はふと思いついた。カギ作れちゃうのではと。


そこから10分万物合成のスキルを使用してみた。最初はわからなかったけど、だんだんとつかめてきた。このスキルは例えば石を掴んでカギのイメージをすると変形してカギみたいになる。これは地面の土を掴んでも同様にカギを作ることが可能だ。


「んー便利なスキルだ!できたーこれでお母さまにみつからない!」


石のカギを扉に差し込む。開かない。


「あれ?おかしいな…あ、僕のイメージしてるカギじゃ使えないのか…」


正確なカギの形なんて覚えてない。


「しょうがない、ドアを変形さしてその後また戻せばいいんだ!」


別の解決法を覚えて僕は気分が良くなった。


「あーら、何をしてるのかしら?ジークちゃん…」


それもつかの間、気分は落ちる。この怒気を含んだ声は…母様だ。終わった。


「こっちに来なさい!!!」


そのあと僕は母様の胸の中に1時間は包まれて、怒られた。


「どうして!!どうして心配をかけるの??ジークちゃん!!!!!!」


禁則地に入ったなんて言えるはずもなく、僕はただ窒息を逃れようと必死だった。胸なんか嫌いだ。なくなればいいのに。

はぁ…母様のお怒りとお仕置きはたまんない。


現象説明 スキルボード①


スキルボード

この世界では1人1人にスキルボードが与えられている。個人情報を示すもので、他人の物を見ることはできない。スキルボードに示される情報は本人の知識量と比例しており、スキルに関しては本人が理解しないと表示されない。



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