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ルーツ  作者: Lotus
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出雲国と大江山(1)

 私が匹見町に行くのは殆どが夏休み、八月の連休だった。丁度その時期には祭りが行われる。役場前の広場には露天が並び、正面には舞台が設置される。そこで舞が行われるのだ。石見いわみ地方の神楽は石見神楽と呼ばれていて、ここでも幾つかの社中が舞を披露するらしいが、記憶を探ってみるとすぐに思い出されるのが『八岐大蛇やまたのおろち』と『大江山』である。スサノオノミコトの大蛇退治、源頼光の鬼退治の二つ。どちらも有名な話で、こういった舞は全国各地で行われるものだろう。私は匹見に行く度にこの二つは必ず見たように思う。そして私はそれらを見ながらちょっとした妄想にワクワクしていたのだった。

 この二つの話しか記憶に無いということは、幼い私は余程この組み合わせに魅了されたのだろう。出雲国と京都の大江山という二つ。『何故、遠く離れた匹見町で自分の地元の大江山が?』という驚きである。今考えれば前述のとおり全国何処でも取り上げられる有名な話なのだが……。

 大江山という山は京都府の北部にある山で与謝野町や宮津市、福知山市にまたがって広がっている。京丹後市にある我が家のベランダからは一部ではあるがその稜線を望む事が出来、京都府北部の住人にとっては『地元の山』という感覚が強いだろう。

 この山は余程、鬼好みの山の様で何度も鬼と呼ばれる何かが住み着き、三回鬼退治が行われたらしい。三回目が有名な酒呑童子しゅてんどうじの話だ。

 ちなみにこの酒呑童子伝説の山は別の山だという説がある。京都市西京区にある大枝山おおえやまではないかというもので、都を度々襲ったという酒呑童子の住まいとしては市内に近くて都合が良い。北部の大江山に住んでいたら、夜、都を襲うとして手下が何十人(?)居たか知らないが数台のワゴンに乗り合わせて夕方出発、京都縦貫道を南下して市内まで二時間切るかどうか……。都を襲う連中が交通法規を守る筈も無いのでもっと速いかもしれない。金銀財宝さえ手に入れれば帰りが遅くなるのも厭わないだろうし、自動車道の通行料も今のガソリン高も問題無いだろうが、当時は車も無い。大江山から都は遠すぎる。

 そんな説もあるのだが、とりあえず一般の認識としては北部の大江山であるというのが通説なのではないだろうか。

 

 この大江山と八岐大蛇という二つの話には、あまり一般には知られていないであろう繋がりがある。匹見町で同じ日に舞が披露されるなどという事ではなく、とても重要な、一説があるのだ。


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