アフターメモリアル バイブル0-2
東歴と呼ばれる時代ー
人口減少かにともない開発を進めてきた分野に、人工知能を持つ万能のロボットを創造する目的で、ある組織が作られた。
自分で考える人工知能は一応の成功を見せたが、人型のボディを持つロボットに全てを入れ込むことはできなかった。
余りに膨大な演算を始終自ら行い続けるには要領が足りず、仕方なく、単純演算に関わる大部分を、据え置きの巨大演算処理機関に代行させることで、人工知能を持つロボットを作り上げることに、ようやく成功したのである。
常に中央演算処理機関ー通称マザーと繋がっているとはいえ、パーソナルや性別などから個を形成するといってもいい彼らを、ただのロボットとはもはや呼ぶべからず・・・。
今や彼らはヒューマリオノイドと呼ばれる存在となった。
彼らヒューマリオのイドとヒトが共に暮らす形の社会が形成されてから・・・数十年がたっていた。
自然はさらに衰退し、地上はヒトが暮らすには不向きな世界と成り果てていた。激しくなるだけの気候変動、四季に囲まれていたはずの極東の島にはすでに、季節のうつろいなど消滅して久しい。
極端に暑く、また極端に寒くを繰り返した結果、土地はひび割れ、作物は育ちにくく、今まではできていたことができなくなっていった。
地の底から沸き上がっていたはずの清水さえその多くが枯れ果てた。
その全てが、ヒトの大地に対する傲慢が招いた結果だとはわからなかったが。少なくとも、いきすぎた大地の侵略に、報いが訪れたと考えるもの達も一部にはいたことは確かだろう。
ヒューマリオのイドを含む一部のもの達は、それでも生き延びるために、ドームと呼ばれる町組織をいくつも作り上げた。五つの主要部の周囲にも、さらに円形に取り巻くように、ドームを作り上げていった。
そしてさらにその外側には寂れたままの自然が取り残されていた。
その自然の中には、市にはなれなかった村や、少人数のコロニーが、まだいくつも稼働し、都市以外にはほんの数体と言われているが、ヒューマリオのイドが派遣されている場所も存在していた。
すべてのヒューマリオのイドはマザーを介し繋がってはいるが、個々に独立した思考を持ち、それぞれが異なる環境とパーソナルを持ち、中には性別や細かな設定まで与えられ、ヒトの家族・・・とまでは行かなくても、掛け替えのないパートナーとして受け入れられてる個体も存在した。
ーそう、あの日マザーが暴走などさえしなければ、今でもヒトとヒューマリオのイドは共に暮らしていたのかもしれないのに・・・